178:彼らのその後。そして……
そうして、ヴァンガード連合王国は恐ろしいほどのスピードで大改革が始まった。
既存の貴族たちも殆どが前国王とつながっており、そのほとんどが牢屋に叩き込まれるか、処刑されるか、軽ければ国外追放などの処置がなされた。
他の貴族たちは自分から国王になろうとはしなかった。
それなら誰が国王になるのだろう。
……まさか。
まさかこうなるとは思わないものだ。
「……Why!?」
テイラーが国王になるなんて。
「がんばれー。」
生暖かい目で俺達はぱちぱちと拍手をした。
「プレアデス……Help……」
「俺にゃ無理だ。フィエンと一緒に国を立て直してやってくれ。」
「……分かったよ。やればいいんだろ?やれば……!」
その直後、覚悟を決めたようにテイラーは告げた。
貴族や民衆たちが大量にいる中、テイラーはその言葉を告げた。
「俺は!絶対君主制を廃止するッ!」
貴族たちは一瞬にして困惑した。
まさか絶対君主制を廃止するなどということは予想していなかったのだ。
「これからは貴族院と衆議院の二院体制で国を動かすッ!」
……大日本帝国かな?
戦前の日本の政治体制に結構似てると思うんだが。
「テイラー……こりゃこの先は茨の道だぞ?」
「分かっている。だが、こうしなければ民衆は苦しいままだ。」
「それは確かにそうか。」
貴族を立てつつ民衆の意見も取り入れるには十分な構造じゃないか。
こうしたテイラーの活躍もあって、ヴァンガード連合王国は魔法を応用した工業製品を生み出すなどの発展を遂げ、労働環境も大幅に改善された。
テイラーが労働に関する法律を作りまくったのだ。
例えば1週間に週休二日を設けること。
1日に労働していいのは8時間まで……とか。
「よし、一旦こんなところでいいかな。」
プレアデスはペンを止め、その日記を眺める。
「我ながらいい出来だ。」
今日までにあったことをざっくりまとめたが、なんとも日記というのはちょっとした日課にできるのだと感じさせられた。
「もし日記に題名をつけるとするなら……異世界レストア日記かな。」
なんだかしっくりくる名前だ。
そうして、プレアデスはこれから長きにわたって異世界レストア日記を綴っていった。
もちろん、それまでにいろんな出来事があったが、それはまた後日。
~16年後~
「ふわぁ……暇だなァ。」
プレアデスは相変わらずクルマを弄っていた。
「さて、今日もおしごとおしごと。」
最近は仕事が多くて困ったもんだ。
「何でこんなことんなっちまったんだか。」
「そりゃ先輩が色々したいっていうからそれができるようになろうとしたら必然的にこうなっただけじゃない。」
「……確かに。……てか、なんで先輩呼び?」
「なんとなく。」
「……なんでぇ?」
「いいじゃない。」
すると、どこからともなくエンジン音が響き渡ってくる。
「このエンジン音は……。」
「なんか懐かしいね。先輩。」
「敬語外れてる状態での先輩は違和感の塊過ぎる……が、懐かしいエンジン音だな。16年ぶりか?」
「そうなるかな?」
「GR86のFA24エンジンか……。莉奈でも来たか?」
そのエンジン音は整備工場のすぐそばで止まった。
「おじちゃん!」
そこにはすっかりと成長し、背も伸びた少女が立っていた
「お。久しぶりだな。莉奈。」
「ひさしぶり。葉月おじちゃんたち。」
「それで?こっちに来たからには何か用事があるんだろ?」
「そうそう。おじちゃんにプレゼント。」
「?」
「ちょっとこっちに来て。」
そう言われたプレアデスたちが莉奈について行くと、GR86と共に来た軽トラが居た。
「よ。久しぶりだな。兄貴。」
「柊真かぁ。久しぶりだな。」
「兄貴。アンタのインプレッサの復活式を始めようぜ。」
「・・・?」
「俺たちはNEWエンジンを持ってきたんだよ。アンタのためのな。」
「……なんだって?」
「EJ22Y。それをそのインプレッサのぶち込むんだ。」
「EJ22Y?」
「そうだ。前のEJ20Gとは比べ物にならないくらいパワーに耐えられる。以前の2倍は耐えられる。」
「うっそだろおい。」
「本当さ。ま。とりあえずそのエンジンを渡して俺は帰るよ。」
「……頑張れよ。柊真。」
「もちろん。」
そう言うと柊真は一瞬にして消えるのだった。
そして。
ズォォォォォォォ………
「いい音だ。それじゃあ行こう。GC8。」
〘止まった時間を取り戻すよ!〙
ガレージが開き、綺麗に晴れ渡った快晴の中、インプレッサは歩みだす。
まるで、未来へと時を紡ぐように。




