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177:EJ20G、解剖。

 プレアデスはただ、丁寧にインプレッサからエンジンを下ろす。


「このエンジンは確か2代目だったな。」


 そう。このインプレッサに乗せられていたエンジンは実は元々インプレッサに載せられていたものではない。

 このEJ20Gは2代目にあたる。

 最初に載せられていたのは新車時から載せられていたEJ207。

 このEJ207はプレアデスがECUを弄るテストベットにされたり、超ハードなセッティングを施され、冷却が追いつかず、オーバーヒートさせ、エンジンが焼き付いてしまい、使い物にならなくなってしまったのだ。

 ブロックも歪み、エンジンが死ぬ。

 冷却系に手を入れ忘れたプレアデスのミスだった。


 そして、そのインプレッサにレガシィのEJ20Gを積み込んだ。

 それがこの2代目エンジンの正体である。

 このレガシィのEJ20Gはただのエンジンなどではない。

 琴井が創り出した特注品であり、最高700馬力に耐えうるエンジンブロックだった。

 ただ、そんなレガシィを葉月はレインレースでスピンさせて事故ってしまい、無事だったエンジンだけ摘出され、埃をかぶっていた。

 ちなみに親父にめちゃめちゃキレられたそうな。

 それはもう般若の面をそのまま映したような怒り顔だったそうな。

 ただ、これがきっかけでプレアデスは車を壊さないように細心の注意を払うようになった。

 ……まぁ、それでも豪雨の中車を走らせてハイドロプレーニングで事故ったわけだが。


「よし。ざっと解体が終わったかな。」


 EJ20Gから出てきたのは、割れた上に裏は黒ずんだピストン、ボロボロに砕け散ったピストンリング、粉々に砕け散ったコンロッド、ねじ切れたクランクシャフト。

 そして、タービンブレードが欠けたT88タービンだった。


「……タービンブローからのエンジンブロー……か。」

「先輩。それって……?」


 葉月後輩が申し訳なさそうに恐る恐る聞いた。


「まず、タービンブローし、砕けたブレードがピストン内に混入。

 ピストンにそこそこの傷を付ける。

 更に3キロにも渡る過給圧の空気が何度にもわたって燃焼する。

 これによって傷は亀裂になり、ピストンリングは粉々に砕け散り、未燃焼ガスがブローバイガスとなった。

 しかし排出が間に合いきらず、亀裂から燃焼ガスが連鎖的に反応し、ピストンを破壊し尽くしたか。」

「……なるほど。そういう壊れ方ですか……。」

「残念だが、治すのはほぼ不可能と言っても過言ではないだろうな。」

「そうですよね……。」

「だが、だからと言ってやらない理由にもならない。」

「え?」


 プレアデスは決心したような目でエンジンを見つめる。


「俺は決めた。魔法を研究してこのエンジンを使えるようにしてやる。」

「先輩……。」

「……ま。その前にエンジンが転がり込んできそうなもんだがな。」

「それだったらエンジン治すのが無駄なような……」

「それならBRZにでも放り込んどきゃいいさ。」

「……それもそうですね。」

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