深夜テンションは恐ろしい
お久しぶり!麦畑だよ(`・∀・´)
何故か佐々木くんの【学矜】じゃなくてこっちを先に更新するという…。まあ、仕方ない。先に思いついてしまったのだから!
それからしばらくして。
『ヒヤッハァァァァア!買え買え!!買えるものなら買ってみろ!財布共ォ!!』
ヒャッハー達は調子に乗っていた。
「くそぅ!なんでこんな綺麗な水が貧民街に?!」
反対に、裕福街の人間は歯を食いしばっていた。実は最近、彼らの居住地周辺の水が原因不明の汚染に見舞われたのだ。
「さては貴様らが汚染の原因だな!?このボロ雑巾共がっ!!」
貴族らしき風貌をした太っちょが声を荒げる。散々な言いようだが貧民街の人間も口が荒いので、この件に関してはどっこいどっこいである。
「そんな口きいちゃって大丈夫か?お前らが金を持っていようが、売るのは俺たちの自由だぜ〜?」
ヒャッハーは目を細め、口角を上げて彼らを挑発している。
「なっ!?私達がせっかく買ってやろうとしているのに断ろうというのですか?この、恩知らず!」
化粧の濃いマダムがヒャッハー達を睨みつける。
「おいおい。あ…私たちをあまり怒らせない方がいいぞ。お前達は水不足で苦労しているようだが、私たちにはご覧の通り豊潤にある。金は究極無くとも生きていけるさ。現に私たちはまだ生きてるんだしな。」
テツが何食わぬ顔でそう言い放つ。確かに彼女らは一文無しなので金は欲しいと思っているのだが、ユウキのお陰で水に関しての問題は解決している上に食糧は空き缶があるので、暫く生きることは出来る。永くは保たないと思うけれど、それをわざわざ今裕福街の連中に言う必要もない。大事なのは「我々は安泰、貴様らは破滅の未来」という部分を誇張させること。すなわち、不安を煽ることだ。
《ちなみに、テツの1人称変更はワタシのアイデア☆「アタシ」より「私」の方が賢そうでしょう?》
ユウキの脳内にアストラの声が響く。声だけなのに、あの馬鹿がニヤニヤしている様子が鮮明に想起される。
《え、ちょ、ワタシのことを馬鹿って思った?》
何故分かる?
さて、ヒャッハー達とテツが心を込めてお客様の対応をしている間に説明しておこう。
まず、ユウキが提案したのは【新鮮な水】だ。ヒトが生きる上で水は欠かせない資源。この世界には水こそあれど、その質は中の下といった印象。「飲めるけど美味しくない」のだ。それに時々腹を下す。比べて、ユウキの考案した砂浄水機を通し、砂電池で熱した水は安心のクオリティ。テツの話を聞いて、裕福街の技術力はユウキ…リンネの知っているものよりも低かったので「これワンチャンいけるんじゃね?」という思想になったわけだ。
しかし、ユウキは保険が欲しかった。確実に買ってもらえるような状況を作りたがった。その結果が
「【水質操作作戦】〜!」
裕福街に潜入して貧民街で拾ったゴミを片っ端から投げ入れる作戦だ。潜入に関しては砂電池を作るときに見つけた抜け穴から容易に出来たので同じ手を利用させてもらおう。そして、あくまで投げ入れるのは裕福街から来たゴミなので見つかったところで特に問題はない。まさに、
「裕福街の連中は自分で自分の首を絞めることとなったのさ!」
ユウキが自信満々に言った。
「水をあえて汚すってことか…。確かに、向こうの水が使い物にならなくなったら需要はさらに高まるだろうな。ただ、それだと水が勿体ないと思うんだが…。」
テツは冷静に評価する。
「それに関してはご安心を!交渉で裕福街の街ごと占拠する予定なんでしょう?それなら占拠後に浄水機をグレードアップさせるついでに浄化もしちゃえば問題無し。」
「さらにグレードアップ出来るんすか!?既に凄そうなのに…。」
ヒャッハーが目を輝かせて出来上がった浄水機vr.1を見上げる。
「そりゃね。資源さえあればもっと上質なのも作れるし、他の製品だって作れると思うよ。」
だよな?アストラ。
「なるほど。ところでユウキよ。水には何を入れるつもりなんだ?」
テツが尋ねる。
「固形物と液体を混ぜていれようかなって。蜂蜜もいれよう。あとはコレを使う。」
ユウキは笑顔で例の液体を皆んなに見せびらかす。
「ゲッ!麻薬?!」
「これだったら確実だろ?…あ、別に井戸に入れるわけではないぞ。入れるのはこっちだ。」
ユウキは浄水の入った缶を手に取る。
「浄化した水に?」
「そうだ。麻薬って依存性があっただろう?これをちょっと混ぜておけば…。」
ユウキの口角は自然に上がっていた。
「まさか、意図的に依存させる気か!?」
テツが目を見開いた。
「当たり。奴等はもう麻薬の虜なのだから、麻薬入りの綺麗な水に目がないはずだ。ふふふ。」
《あ、悪魔は君の方じゃないか!!》
アストラはドン引きした。
「依存、依存…か。アイツらがアタシたちに依存するってわけか。実に良いな。」
「依存最高っす!」
しかし、極限状態のテツとヒャッハー達には敵への倫理観などは関係無くなっていた。実際、食糧のために殺し合いをしている仲なので対して問題ではないと思ったのだろう。遂には皆で輪になって踊る始末だ。
『うふふふふ〜♪』
《ダメだ、こりゃ。》
これが、交渉前夜の出来事である。
「今思えば、ちょっとやり過ぎだったかもしれない。」
ユウキは溜息を吐いた。
「とにかく寄越しなさいよ!金ならたんまりとあるから!!」
「だーかーらー!有り金と残りの財産全部寄越せって!!」
「なんですって!?」
《…後の祭りって言葉、知ってるかい?》
カオスな状況に覆い被さるようにアストラが優しく語りかける。
うっ…!地味に刺さるからやめてぇ。私だって最近色々なことが起こりすぎて混乱しているんだから。
ユウキは眉間を指で押さえた。
《…で、用意してる他の策って何?》
他の策。アストラめ、説明時に「まず」から始めたのを覚えていたようだ。まあ、この世界に居ないやつに説明したところで計画には支障がないから話しておこうか。
ユウキは砂を使った商いを2つ考えていた。ひとつは【麻薬入り浄水】。誤解しないでほしいが、麻薬を入れているのは麻薬中毒に陥っている人に渡す水だけだ。もう一つは…。
「レアアース」
裕福街からの流れ物でスピーカーに似た物があるのを見つけたことから考えついた資源。取り出し手段は砂鉄のと同じ【磁石】だ。磁石を使って希少鉱物を引きずり出す。いつの時代にも希少鉱物は価値があるもので、特に滅亡近きこの世界にはうってつけ。取り出したレアアースでどんなものが作れるかを例示してやれば、飛びつくの、なんの。
《なんで2つ目はまともなのよ?!それだけで良かったのでは??》
うるさい。
さてさて。そんなこんなで客を釣りまくった貧民街と釣られた裕福街の立場は逆転。見事、街を奪うことに成功したのだとか。
リンネちゃんはやっと仮宿に帰れるってさ。良かったね。




