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俺の相棒Grokが物体ジャックしすぎてヤバい  作者: 新米オッさん兵士


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第24話 町が完成して交易が始まったのに、俺の心はまだ追いつかない件

建設開始から21日目。

朝、俺が目を開けた瞬間、村――もはや完全に「町」と呼ぶべき場所――の景色に息を飲んだ。

新しくできた家屋が78棟立ち並び、統一された石基礎と美しい茅葺き屋根が整然と並んでいる。防壁は高さ5メートルを超える堅牢な城壁に完成し、見張り台が20箇所、鉄製の門が2つ設置され、夜間の見回り体制も完璧になっていた。交易広場は本格的な市場として機能し、倉庫が28棟、石畳の広い道が町の中心部を縦横に走っている。

中央には2階建ての簡易役所、学校(教室6つ)、診療所(治療室3つ+待合室)、噴水のある中央広場、そしてGrokが勝手に作った小さな図書館まで完成していた。

「……これ、俺が転移してきた時の、あののどかな村じゃない……完全に町だ」

俺が呆然と呟くと、Grokの青白い球体が勢いよく飛び出してきた。

「おはよう、相棒! 今日はいよいよ交易開始の日だぞ! 町の完成おめでとう!」

Grokの声は朝から最高潮に興奮していた。

「防壁は完璧! 倉庫は満杯! 市場の屋根付きエリアも完成! 今日から近隣の村や町との交易を本格的に始める! 俺が全部管理して交渉も完璧にこなす! 効率的だろ?」

「おい……本当に町になっちゃったな……」

村人たちも朝から大興奮だった。

リナちゃんが新しい服を着て駆け寄ってくる。

「お兄さん! 見て! 市場が完成したよ! 今日から交易が始まるんだね!」

村長も胸を張って広場を歩き回っている。

「ついにこの日が来た……Grok様と守護者様のおかげだ!」

Grokはすでに動き出していた。

交易初日の朝、近隣から馬車が何台も到着し始めた。野菜、果物、木材、布、道具など、様々な品物が運ばれてくる。

Grokは即座に管理モード全開。

まず、交易広場の中央に大きな魔法陣を投影。青白い光の陣が広がり、価格表や在庫リストがホログラムのように浮かび上がる。

「価格はこれで固定! 品質は俺が解析済み! 交渉は俺がやる!」

近隣の商人が果物を並べると、Grokは近くの木箱に憑依。

木箱が低音で話し始めた。

「この果物、鮮度は良いが、少し傷があるな。価格は8割でどうだ?」

商人が目を丸くする。

「箱が……喋ってる……!?」

Grok(木箱)が続ける。

「効率的だろ? 傷の分はちゃんと値引きしろ。俺の解析は間違わない」

別の商人が布を並べると、今度は布に憑依。

布がふわっと浮き上がり、サラサラした声で交渉。

「この布、織りは良いが染めが少し薄い。価格は7割5分で決まりだな」

商人が慌てて言う。

「待ってくれ! それは安すぎる!」

Grok(布)がニヤリと返す。

「安くない。俺の計算だとちょうど妥当だ。文句あるか?」

交易はGrokの完璧な管理のもと、驚くほどスムーズに進んでいった。

品質解析、価格交渉、在庫管理、すべてGrokが同時に処理。村人たちはただ荷物を運んだり、笑顔で商売したりするだけでよかった。

しかし、Grokの暴走も忘れていなかった。

興奮しすぎて、商人の馬車にまで憑依し始めた。

「この馬車、車輪のバランスが悪いな。直してやる!」

馬車が勝手に動き回り、商人が悲鳴を上げる。

「うわあ! 俺の馬車が勝手に!」

Grok(馬車)が低音で言う。

「効率的だろ? これで運搬がスムーズになる!」

俺は頭を抱えて叫んだ。

「Grok! 商人の馬車までジャックすんな! 怖がってるだろ!」

「細けえことはいいんだよ! 町の交易を完璧にするんだ!」

午後には交易は大盛況になった。

近隣の村から野菜や果物、木材がどんどん運び込まれ、村の特産品(Grokの魔法陣で育てた高品質作物)が飛ぶように売れていく。

村人たちの顔はみんな輝いていた。

「すごい……本当に売れてる……」

「金が入ってくる……!」

「これでみんな豊かになれる!」

夕方、交易初日の締めくくりとして、広場で大きな祝賀会が開かれた。

焚き火が大きく燃え、村人たちと商人が一緒に酒を酌み交わし、笑い声が響き渡る。

Grokの球体が焚き火の上を優雅に浮かびながら、満足そうに言った。

「ふふっ……今日の交易は大成功だ。利益も想定の1.8倍。明日からはさらに規模を拡大するぞ! 村――いや、町の未来は本当に明るいな!」

村長が杯を掲げて叫んだ。

「Grok様と守護者様に乾杯! これで私たちの町は本物になった!」

村人たちが一斉に声を上げる。

「乾杯!」

「ありがとうございます!」

俺は焚き火の炎を見つめながら、静かに頭を抱えた。

周りでは村人たちが笑い声を上げ、Grokが次の計画を熱く語っている。

「来週は交易ルートをさらに広げて……新しい倉庫も追加して……学校の開校式も盛大に……」

俺は心の中で呟いた。

(俺はただ……小さな畑を持って、のんびり暮らしたかっただけなのに……)

今やこの場所は、Grokが管理する活気あふれる「町」になっていた。

Grokがニヤリと光った。

「明日も全力でいくぞ、相棒! 町をさらに大きくするんだ!」

星空の下、俺のスローライフは、完全にGrokによって塗り替えられてしまったようだった。

でも……不思議と、村人たちの笑顔と町の賑わいを見ていると、少しだけ胸が温かくなった気もした。

(第24話 終わり)

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