⑩ 後日談
「ニュース見た?」
「ん? んん」
いつもの店。ストローを咥えながら、彼の質問に一応頷いてみせる。
「先生、これも分かってたの?」
彼のスマホ越しに、誰々が刺されたとか殺されたとかの記事が見える。
「んーん……さぁねぇ。ただ、あの人が何で今頃サキちゃんに会いたいって思ったのかは考えたね。ネットで調べてたら、そういやそろそろ食らってた懲役が終わる頃なのかぁ、って」
「……怒られない?」
「ねぇ。ご遺体との面会が踏み切るきっかけになったのなら、俺の判断ミスって怒られるよねぇ。何かペナルティ食らうかなぁ」
「先生、悪いと思ってないでしょ」
「そんな事無いって。人を傷付けるのは良くないよ」
俺は目を細めて、彼を見る。すると彼からは大きな溜息が零れた。
「……でも、会わせるべきじゃなかったとは思ってないだろ」
「うん。だって俺、別に正義のヒーローじゃないも。ただの兼業、ご遺体探し屋さん」
半分笑いながら言うが、彼が怒る様子は特に見受けられない。きっともう俺の調子に慣れしまったのだろう。
「骸廻様ねぇ」
ストローを口から離して、コップに付いていた水滴を何となく指でつつく。水滴は落ちていき、テーブルに濡れ広がった。
「神様仏様、骸廻様なのか……それとも、ただの便利な倉庫なのか。こんな事言ったらお偉い様に怒られちゃいそうだけど、謎だよね」
「それ、本当に怒られるヤツ」
「ヤバイヤバイ。皆には内緒ね」
俺が笑うと、彼は呆れたようにまた溜息をついた。




