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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第10章 異界編

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最終決戦 : 契約剣 vs 禁忌理論

空間が裂ける。

《霧核》の中心に広がるその領域は、もはや“世界”の体をなしていなかった。


天も地も存在せず、漂う霧がすべてを構築している。


そしてその中心――虚空に浮かぶ“玉座”に、ザイデンは座していた。


> 「ここは“選択されなかった未来”の残骸だ。

私が守り続けてきた、もうひとつの世界」




「……どういうこと?」


フィーネが問うと、ザイデンの仮面が崩れ落ちる。


現れたのは、年若くもどこか人間離れした美しい顔。


だが、その瞳には深い疲れと絶望が刻まれていた。


> 「かつて……この世界には、もうひとつの“選択”が存在していた。

エリシア、お前が“扉を閉じた”あの日までは」




「……扉……?」


ザイデンは静かに語る。


「《異界》とは、本来、世界の“可能性”の集積地だった。

ある世界が滅びれば、別の世界が生まれる。

だが――お前が“可能性の門”を閉じたことで、この宇宙は“再生”を止めた」


サティが息をのむ。


「それって……新しい世界が生まれなくなるってこと……?」


「そう。滅びた世界は“記憶”として霧に変わり、

それを私が、この《霧核》で“保管”し続けていた」


ザイデンは立ち上がる。

その身体から黒銀の霧が噴き出す。


「だが限界だ。

このままでは、すべてが霧に飲まれて終わる。

私はそれを回避するため、もう一度、“扉”を開けねばならない」


「それで世界中を“霧”にしたのね……?」


「そうだ。記憶を霧として集め、“可能性の核”へと還元する。

そのために必要なのが――《契約者》の魂。つまり、お前だ」


ザイデンの右手に、黒い剣が出現する。


「お前の魂を《霧核》に融合すれば、“再起動”が可能となる。

滅びを超えた世界が再び生まれる」


「……あなたの理論、間違ってはいないのかもしれない。

でも、私は――今を生きてる人たちを踏みにじる理屈なんて、認めない!」


フィーネが《契約剣・ルクレシア》を抜く。

霧の空間に剣光が煌めいた。


「私は、誰かの命を“材料”にした再生なんて望まない。

今ある未来を、私たちの手で築くために戦う!」


ザイデンは、うっすらと悲しげに笑った。


「やはり君は変わらない……。だから私は、君に賭けられない」


次の瞬間、空間が震えた。

ザイデンの剣とフィーネの剣が、互いに空間そのものを削り合う。


> ――ギィィンッッ!!




「フィーネ、後方は任せて!」


サティが防御陣を展開、霧の反響を打ち消す。


「ありがとう、サティ!」


霧と記憶と空間が交差する異界の最終決戦――

その幕が、いま開かれる。

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