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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第2章 ダンジョン攻略編

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ダンジョン探索

私と――いや、今は“妹のユリア”として同行しているユーリシア様とともに、冒険者ギルドを訪れていた。


目的は、ダンジョン探索のための即席パーティとの合流だ。今日初めて会う仲間たちと、冒険に出ることになっている。


「どんな人が来るのかな?」

ユリアは、少し緊張した様子で辺りをきょろきょろと見回す。


「真面目な人たちだといいけれど……」

そんな会話をしていると、一人の女性が私たちに歩み寄ってきた。


「あなたが、サティさんですか?」

活発そうな短髪の少女。軽装に鋭い目つきが印象的だ。


「はい、私がサティ・フライデーです。あなたもパーティの参加者ですか?」


「うん、ティナって言います。索敵が得意で、隠れてる魔物とか罠とか見つけるのが得意!」


「よろしくお願いします。こちらは――」


言いかけたところで、さらにもう一人が駆け込んできた。


「遅れてすみません! エミリです。弓使いで、遠距離支援が得意です!」

彼女は知的な雰囲気を持つ、背中に弓を背負った優等生タイプの女性だった。


二人の視線が、隣にいるユーリシア様へ向かう。


「サティさんは分かったけど……そっちの子は?」

「私の妹の、ユリアです」


即答する。王女だと知られれば、ややこしいことになる。だから、妹という設定を貫くしかない。


「よろしくお願いします」


「よろしくね!」


「姉妹で冒険者やってるんだ~」


「ええ、そうなんです」


慣れない設定に内心ヒヤヒヤしながらも、堂々としていれば案外どうにかなる――そう信じていた。


「じゃあ、ダンジョン探索の依頼を受けようか」


「ティナ、受付お願いできる?」


「任せて!」


ギルドのカウンターには顔なじみの受付嬢がいる。私が出向けば、「サティさん!?」と大騒ぎになるのは目に見えている。だから、今回は他のメンバーに任せた。


* * *


第1階層。じめじめとした石の回廊を進みながら、ユリアが尋ねる。


「ここって、何階層まであるの?」


「不明だよ。5階層より下には、まだ誰も到達してないみたい」ティナが答える。


「サティさんは行ったことありますか?」


「私はないわ。ここはあまり魔物も出ないし、深部を目指す人も少ないの」


「魔物と戦いたかったなぁ……」

エミリが少し寂しそうに言うと、私は微笑んで答えた。


「焦らなくていいわ。上達すれば、きっと戦えるようになる」


「はいっ。頑張ります!」


その日は第2階層の入口まで探索し、切り上げることにした。戦闘はまだなかったが、奥へ進めばきっと雰囲気も変わっていくはずだ。


* * *


帰り道、ギルドの外で次の予定を立てる。


「次はいつがいい?」

「3日後の午前なら空いてる!」ティナが即答し、他の2人も同意した。


そのまま、ギルド近くのレストランで夕食を取ることに。4人での食事は賑やかで楽しく、自然と笑顔がこぼれた。


会計のタイミングで、私は言った。

「お金は私が出すから、みんな先に帰ってて」


「ありがとう!サティ!」


3人が帰っていく中、ふいに後ろから懐かしい声が届いた。


「先輩?」


振り返ると、そこにはルリの姿があった。


「……久しぶりね、ルリ」


「本当にお久しぶりです。最近、お仕事お休みされてるって聞いたので……」


「ちょっとね。でも、元気よ」


彼女の笑顔を見るだけで、気持ちがほどけていくのが分かった。


「また今度、ご飯食べましょうね?」


「もちろん。そのときは私の奢りね」


「やった!約束ですよ?」


そう言って手を振るルリに、私は笑って返した。


ギルドの喧騒の中で、ふと心が穏やかになる瞬間。

彼女とこうして話すと、自分の原点を思い出す。

……忘れていた、あの頃の自分を。

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