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ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜  作者: 柴咲心桜
第2章 ダンジョン攻略編

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謁見

「なぜユーリシア様が、私の部屋にいるんですか!?」


目を覚まして最初に見たのは、窓辺で紅茶を楽しむ王女――ユーリシア・レーネ・エルディアだった。


昨日の任務後、たしかに彼女は王城へ戻ったはずだ。


「メイドには伝えてきたから大丈夫ですよ」


「……なんて伝えたんですか?」


「これからは戦士の家で暮らすと」

……それ、絶対に大丈夫じゃない。


「と、とりあえず今から城に戻りましょう」


「信じてないですね?」


「信じてます。でも、皆さんの誤解を解かないと」


「誰も誤解なんてしてませんよ」


「……行きますよ」


* * *


城へ向かうと、案の定だった。


「ユーリシア様はどこですか!?」

メイドたちが、慌ただしく廊下を駆け回っている。


「すみません」

私は近くのメイドに声をかけた。


「はい、どうされました?」


「ユーリシア様を、お連れしました」


「そうですか……って、今なんと?」


戸惑うメイドに、私はきっぱりと繰り返した。


「ユーリシア様を、ここにお連れしました」


「……ありがとうございます。昨夜から戻られず、心配していたのです。それで、あなた様は?」


「サティ・フライデーと申します」


「私はエルナと申します。姫様、お部屋に戻りましょう」


「もう、サティは私の戦士なんだから。一緒に暮らしたっていいでしょ?」


「サティ様。今の姫様のお言葉、事実でしょうか?」


「……はい。事実です」


「なんと……! それは陛下にご報告しなければ」


「え、王に……ですか?」


「はい。姫様には今まで、戦士がおられませんでしたから。これは王国にとって大変喜ばしいことです」


まさかそんな大ごとになるとは思わなかったが、従うしかなかった。


* * *


王宮の謁見室には、貴族たちがずらりと並び、玉座から王が私を見下ろしていた。


「其方が冒険者サティか。我が名はアーノルド・エルディア。エルディア王国の王である」


私は片膝をつき、恭しく頭を垂れた。


「表を上げよ」


「ありがとうございます」


王の隣にはユーリシア様、そして姉と思しき気品ある女性の姿も。


「此度、其方が愛娘ユーリシアの戦士となったと聞き、どのような人物か見てみたくてな」


「畏れ多きお言葉です」


「この後、宴を開く。楽しんでいってくれ」


「私などのために……恐縮でございます」


「そう堅くなるな。もっと気楽にせよ」


「陛下、冒険者が国王に気楽に話すのは難しいかと」宰相が進言する。


(本当にその通りです……)

私は心の中で深く頷いた。


「わしは其方と親しくなりたいのだ。堅苦しいのは嫌いでな」


「……わかりました、王よ」


「それで良い。アーノルドで構わんぞ」


「……アーノルド、ですね」


* * *


宴では、見たこともない豪華な料理がテーブルを埋め尽くし、私は目を輝かせていた。


そこへ、二人の男女が近づいてくる。


「はじめまして」


「僕は第一王子、ウィン・エルディア」


「私は第一王女、アイリス・エルディアよ」


「ご丁寧にありがとうございます。冒険者のサティ・フライデーと申します」


「君が噂の《死神》だってね」


「ウィン様も……ご存じなのですね」


「まあね。宴は楽しんでるかい?」


「はい。料理が素晴らしくて」


「それは良かった。では、また会おう」


「またね」


ふたりは優雅にその場を去っていった。


(この国の王族って、みんな……意外と親切なんだな)

温かい気持ちのまま、私は再び食事に集中する。


* * *


宴のあと。


お土産を抱えて帰宅した私は、明日から始まる護衛任務に備えて早めに床についた。


「宴の翌日に護衛仕事……さすがにきつい。次からはスケジュール、ちゃんと見ておこう」


そんな反省とともに、私はベッドに潜り込む。


* * *


翌朝――


「おはようございます」

「おはよう、サティ!」


新しい一日が始まる。


ユーリシア王女の戦士としての、私の任務もまた。

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