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第20話 魔法陣

翌朝、冒険者ギルドで依頼を受注した時、ついでに図書館について聞いてみた。場所は中央広場にある城塞都市役場隣にあり、入場料は銀貨1枚と大銅貨1枚。帰る際に何もなければ銀貨1枚返ってくる。


成程、買った本を読み終わったら行ってみよう。


買った本は当たりだった。錬金術は低級ヒールポーションの作り方から始まり、錬金術の基礎が書いてあり、魔導具についても魔道具の種類や歴史、簡単な魔法陣の書き方などが丁寧に書いてあった。巻末には一般的な魔法陣や未だに解読されていない魔法陣などが載っていた。おまけの魔法陣例の方が多かった程だ。


これらの魔法陣も鑑定で読み解く事が出来た。これは今後楽しみだ。


歴史のテキストも為になった。城塞都市リンドルンガが所属する国はトルドア王国。その建国からの歴史が書かれており、神話も交えて面白かった。精霊やあのグリフォンも出てきて中々ファンタジーな内容だった。


建国王は精霊とグリフォンの力を借りてこの地を切り拓き建国したとあった。本当かねぇ。


図書館も含めて色々な歴史書を読んで違いを見つけるのも面白そうだな。


魔道具に使われる素材も興味深い。ロッカ草から錬金術で成分を抽出、抽出した成分に魔力を浸透させる。それをスライムの体液に均等に混ぜると粘土のようになり、その後任意の形状にして時間が経つと魔力が抜けて硬化するとあった。また、硬化した物に再度魔力を浸透させようとも形状の変化は無い。軽く丈夫で加工しやすく熱にも強いそうだ。


スライムみた事ないぞ。どこに居るんだ?冒険者ギルドで聞いてみる。


「スライムですか?」


「はい」


「スライムはダンジョンか、この辺だと川の上流にいる可能性がありますね。スライムはお金になりませんよ」


「そうなんですね。ありがとうございます」とメリーさんにお礼を言ってギルドを後にする。


そうだロッカ草も分からんな。雑貨屋で聞いてみる。


「ロッカ草かい。そうだなこの辺だと川沿いにあるかな」


「探してみます。ありがとうございました」と雑貨屋を出て川へと向かう。


川沿いに生えている草を片っ端から鑑定。1時間鑑定し続けて5本見つける。少ないな。スライムもあるし上流へと移動しながら鑑定を続けると確かに上流に近づくにつれてロッカ草も多くなって来たように感じる。


3時間、川を上流へと向かいながら歩いてロッカ草を40本採取。それからさらに1時間上流へと向かうとポヨヨンとしたゼリーが動いている。鑑定。


《スライム(G-)・・・・食べられない》


スライムだ。棒で叩くとベチャっと潰れた。ヨワッ。すかさず体液を回収。周辺にいるスライムを叩き続けて体液を回収。結構な量が手に入った。


さて帰りましょう。


宿の部屋に入ると早速実験。ロッカ草を収納から出して結界の容器を用意する。イメージを固めて抽出。


容器の中に薄い青の半透明な液が残る。これを繰り返して全てのロッカ草から成分を抽出する。


結界の容器を用意してスライムの体液を入れる。抽出した液に魔力を込めて浸透させる。これをスライムの体液に均等になるように混ぜ込む。


おお、透明感が無くなり粘土のようになった。これを素早く結界の型に入れて成形。2㎜の板状にする。暫くすると魔力が抜けたのか硬くなる。


持った感じはプラスチックかな。少し曲がるからPPポリプロピレンな感じかな。


何か色々と使えそうだ。


コンロの魔法陣を思い出して無魔法を発動。イメージはCNC。


魔法陣を自動でスライム板に無魔法で彫っていく。ふぅ、完成。かなり綺麗に出来た。溝の深さは1㎜。


適当な魔石を収納から取り出して、無魔法で属性を無属性に変えていく。完成。


これを結界の容器に入れて無魔法で粉砕。粉状にする。これを粘土と混ぜて溝へと入れ込んでいく。入れ終わったら水魔法で乾燥させて、


うん、出来た。完成だ。


真ん中に火属性の魔石を置く。魔法陣に手を掛けて、


「発動」と唱えると魔法陣の上に火が付く。結界で五徳を作成して魔法陣の上に置く。


五徳の上に鍋を置いて水を入れる。暫くするとグツグツと煮立ってきた。


成程成程。出来たけど火力調整出来ないのは使えないな。


これは魔法陣の紋様を勉強する必要があるな。明日は図書館にでも行こう。


この後は今わかるだけの紋様と意味を書き出して行こう。紙を取り出して無魔法で鉛筆を固定。本を見ながら。無魔法でコピーして行く。


こうやって纏めると分かり易いな。


基本的には起こしたい現象を対応する紋様で再現する。同じ紋様を使っていても並びにより効果も変わる可能性がある。


プログラミングのようだな。


問題は魔法陣の大きさにより使用可能紋様数があるという事だ。魔法陣が小さいとその分紋様数も少なくなる。


これはどれだけ効率よくシンプルに組めるかのセンスが問われる。


面白いね。


色々と疑問がある。基本的に魔法陣は2重丸の外円と内円の間に紋様を描く。内円の中へは魔石。この魔石から燃料となる魔力が引き出されて、紋様に従い現象を再現する。


どうやら世界がなのか魔法陣なのか分からないが、紋様の効果が認識される最低限の大きさがある。これより小さいと発動しない。大きい分には認識される。


魔法陣の起点となる紋様は決まっていて、そこから右へ時計回りに処理されて行く。なので外円と内円の間に2段で紋様を描いても内側の紋様のみ読み取られて処理され、外側の紋様は処理されない。この場合は外円のまた外に円を描き、そこに紋様を描くことで内側の紋様から外の紋様へと移って処理される。勿論、その分魔法陣は大きくなる。また、魔力処理能力も魔法陣の大きさに依存する。大きければ大きいほど処理できる最大魔力量は多くなる。


これらのことを踏まえていくつかのアイデアが浮かぶ。


次はこれを実験したいが使いたい紋様が足りない。これは図書館に行くべきだな。

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] CNCは説明が無いと分からない人が多数ではないでしょうか?
[一言] 五徳って何だ?と思って調べたら、コンロの上にある物体の名称が五徳だったのか、初めて知った。
[一言] 曲がり具合ではPP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)の判別は出来ませんよ?
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