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エピローグ1

 俺はその日のホームルームが終わってから、お目当ての奴の席に向かって歩き出した。


針山はりやまだったか。頼みがある」


「は、はい? 羊野さん? えっと、何用でございましょうか……?」


 いきなり話したこともない俺に話しかけられ、そばかすがトレードマークの針山はりやまは酷く困惑し、怯えているようだった。

 彼もどちらかといえば弱い能力のせいで、いわゆるナード的な立ち位置に籍を置いている。俺とはまあ、広い目で見れば同族っちゃ同族だ。


「確か、お前さんの能力は『物質を復元させる』だったよな」


「は、はい。そうですけど」


 自己紹介の時に口にしていたそれは俺の記憶通りだった。


「んじゃ、これ直してくれ」


 俺はビニール袋に包まれた、布の切れ端の塊を差し出す。


「えー、でも……」


 渋る針山に、俺は釣り餌を垂らす。


「……報酬は、春山はるやま季楽璃きらりちゃんのフィギュアでどうだ。高いやつ」


 針山の好きなキャラを引き合いに出した瞬間、彼は目の色を変えた。


「何ですと!? それはそれは、お任せください!!! 羊野様!!!」


 彼はそれを受け取って机に置き、手を向けてウキウキで修復を始めた。少し時間がかかるっぽいし、フィギュアも買うことになったが、新しいのを買うよりは安くつくだろう。


「助かる。どれが欲しい?」


「えーっと、どれもいいんですよー。最近発売されたのも衣装が魅力的だし、初期の頃に売られてたのもレアで欲しいし、あ、あのポルモンとコラボしたのもいいし、いやほんと苗字も一文字違いで、まさに僕ときらりちゃんは運命……デュフフフ」


 俺は自分の世界に入り込み始めた針山をガン無視して、スマホを取り出す。


「一個だけだからな。決まったら……俺の連絡先に送ってくれ」


「分かりました! ご主人様!」


「キモいからやめてくれ」


 そうして俺らは連絡先を交換した。そういえば、鷹崎とそういうの交換してないな。


 いや、別に繋がりたいとか思ってないけど。


「いやー、元々羊野さんとは話したいと思ってたんですよー。なんとなく、属性がインキャという点で同じなのではと」


「一緒にすんなボケ。これっきりの関係だからな」


 釘を刺す。先ほどは同族と言ったが、馴れ合いなんかごめんだ。


「ところで、これ何なんです? もうそろそろで直り終えますけど」


 まだバラバラの布の破片。能力の行使が終われば、その時点から一瞬で復元されるらしい。


「ああ、それはだな」


 俺が説明しようとすると、ビニール袋内の破片が自発的に動きだす。元の形に戻っていって、そして、紺色のそれは元の姿を顕現させた。


「……これ」


 その中に姿を現したのは女子生徒の制服上下だった。


「サンキュー。助かっ」


「彼女持ちですか!!! けっ!!! やっぱあなたなんか仲間じゃないです!!! くそぉ!!!」


 何を勘違いされたのか、針山はビニール袋を手に取って俺に投げつけてくると、荷物を持って颯爽と帰っていった。悪かったな、仲間じゃなくて。


 しかしその直後には一番高いフィギュアをねだるメッセージが、俺のスマホに届いていた。いやそこはちゃっかりしてんのかよ。


 通販での購入画面を証拠として送ってから、俺は昇降口を後にした。

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