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プロローグ:いつかの昼休み
おいそれとため息もつけないな、と俺はそれを噛み殺した。左前に座る女の子があんな能力さえ持っていなければ、自由に振る舞えるのに。
「羊くん、なんで怒ってるの?」
「そうやって感情を読んでくるからだよ」
その女子はキョトンとした顔を浮かべ、呑気なことを宣う。人の匂いから大まかな感情や考えがわかる、だったか。面倒臭い能力持ちだ。
「でも、分かっちゃうんだからしょうがないじゃん!」
「いやま、そうだけどさ」
なるべく感情のメーターをゼロに近づけ、俺はスマホに視線を落とす。
『また能力者の仕業か 一夜にして消えた銀行のお金の在処は』
ネットニュースの欄には、俺らを貶めるような大袈裟な見出しがうざったく鎮座していた。
「……はあ……」
「……あ、不機嫌になってる!」
ああそうだ、おいそれとため息もつけないんだった。




