1-1-3-41 働く人々の1人 1
変わらない日々。
それは長く続いている。
それは無限に続いているように思える。
だが結局は10を何回もかけたような時間が過ぎただけだ。
ぼくよりも生きている人がいる。
働き続ける。
どうしていつまでも終わらないのだろう。
同じ作業の連続。
足も手も勝手に動く。
慣れてきたんだ。
上の人たちは良いなあ。
意識を移してもらった人は良いなあ。
ぼくも早くこの意識を消したい。
ある日、ぼくは意識を移してもらった。
とても楽になった。
ぼくが楽になった。
ぼくは楽になってない。
ぼくは楽になってない。
意識が飛んだあの日のぼく。
あの日のぼくは楽になった。
飛んでいったあの日のぼく。
飛べなかったぼくは楽になってない。
一体ぼくは誰なのか?
今日も1日働き続ける。
命令通りに動き続ける。
ぼくは楽になってない。
たくさんある学園。
クラス1やクラス2の人たちは素晴らしい人々だ。
世の中には格差というものがあるらしい。
民主主義というものがあるらしい。
それを私たちに教えてくれる。
ぼくたちはクラス4。
同じ人々が同じ人々を差別する。
格差を生んでいるのは別の国の人だと教わった。
彼らがぼくらを支配しようとしているから格差が生まれる。
ぼくは楽になってない。
ぼくは楽になってない。
別の国の人のせいで自分は苦しくて仕方ない。
戦争に備えなければならない。
戦争が起これば勝たなければいけない。
ぼくたちは勝たなければならない。
--------------クラス0の教室にステラはいた。地上で起こる出来事を見ていた。
「もう何年経ったんだろう?もう1年を何回過ごしたのか数えられない。アイなら分かるだろう。死ぬことができない人々。死ぬことを知る前に生きることを諦めた人々。人は再び死ぬことができるだろうか?死を思い出して喜ぶことができるだろうか?永遠を忘れて、無限の過去になる今だけの人生の喜びを求めて生きる人々」
ステラの独り言。
それは独り言であった。
学園で監視された独り言。
それを聞く人もいる。
だが彼らはひたすら無視していた。
何も聞こえない振りをしていた。
耳には入っていた。
そして少しずつその固い氷は水になっていく。
「もしクラス分けをやめたら世界はどうなるんでしょうね」
「世界が壊れると思う」
ホン・リーエン、ニーロートパラ、オウレン達はそれを聞いていた。
「巨大な世界に扉ができる」
「それは世界から見ると小さな扉だ」
「そこから開かれる世界は小さなものではない」
ステラも聞いていた。
「変わるのかな。私が聞いた人々の言葉。どこかで分断を促す人がいる。話が通じない人々。それは私たちの中にある。それが自分にあることに気づけたら、世界は自分から変えられるかもしれない」




