依頼終了と初ダンジョン
さて、お昼ご飯食べてお腹も膨れたし仕事を再開しますか。午前中とやることは変わらないし、どんどん作っていこう。
うーん。同じ事しかやらないと、どうしても飽きてくるね。単純作業は嫌いじゃないけど飽きは辛い。
・・・そうだ!良いこと思いついた。
まずひたすら薬草をすり潰していく。回復薬十個分ぐらいができたら、大きな窯に水と一緒に入れる。そして、サブ職業を二魔術師に変更。
水魔法を使って窯の中身を一気にかき混ぜる。真水じゃなくても普通に混ぜれるね。
十分混ぜ終わったら、回復薬の瓶に詰めていく。これで回復薬(大量生産Ver)の完成だ。
標準よりも曇って見えるので品質は大丈夫みたい。
今のをもう一回繰り返すと目標の百個に届いた。追加で作ってもいいけど、今日はここまでにしておこう。これだけでも十分な稼ぎだし、品質も良いのばかりできるようになったから、スキル上げも良い頃合いだろう。
使った器材を洗ってから店側に続く扉を開ける。店は相変わらず客が入っていない。
カウンターに座っているナクシが私に気づき、声をかけてくる。
「リフィアちゃん?どうかしたの?」
「とりあえず、いっぱい作ったから終わろうかと思って」
「そう。じゃあ今から確認しに行くわね」
店番はいいのかと思ったけど、客がいないし確認はそこまで時間が掛からないだろうから大丈夫だという事にした。
私はナクシと共にまた作業場へと戻っていく。
「結構作ったわね。いくつ作ったかは数えてるの?」
「合計で百個かな。品質で分けてるから確認お願い」
「百個かー。この短時間で良くこの数作れたわね。っと、それよりも確認していくわね」
そう言って、低い方から品質を確認していく。低い方から標準までは何事も無かったけど、高品質の途中で動きが止まる。
「・・・うーん。ねえリフィアちゃん」
「どうかした?もしかして失敗してた?」
「失敗じゃないんだけど、もしかして作るときに魔法使った?」
「うん。使ったよ。一気に多く作ろうと思って水魔法で掻き回したんだ」
「なるほどね。えーとね、リフィアちゃんこれ回復薬じゃなくて魔力薬になっちゃってるわ」
魔力薬って確か魔力を回復させる薬だっけ。材料は変えてないのにな。原因はやっぱり魔法を使ったことだろうね。
「これは成功にもできないし、かといって失敗にもできないわね」
「そっか。ならどうする?」
「もしよければ買い取らせても貰うわよ。二十個あるから銀貨一枚ぐらいかしら。もっと高くてもいいけれど」
「材料はここにあるの使っただけなのに、そんな高くていいの?」
「魔力薬の価値は材料じゃなくて使った魔力だし、品質もかなり良くできてるからね」
「じゃあ、それで買い取ってもらえる?」
「分かったわ。他の回復薬と合わせて銀貨二枚と大銅貨五枚ね。品質が良いのも多かったし、少し色を付けさせてもらったわ」
ナクシは報酬内容を書き加えた受領書を渡してくる。
「これをギルドで出せば報酬を受け取れて、依頼達成の証でもあるから落とさないようにね」
「ありがとう。これで今日は帰らせてもらうね。次は仕事以外で来させてもらうよ」
私は受領書を受け取りナクシに別れを言う。
「ふふっ。楽しみにしているわ」
そうして初めての受領依頼は終了した。
さて、今は冒険者ギルドで報酬を受け取り、宿で寝た翌日だ。
いやー、仕事ってやっぱり疲れるねー。でもやらないとご飯も食べれないし、少しの苦労は仕方ないかな。
それより今日の予定だ。今日はまた新しい職業を使ってみようと思う。せっかく鉱山の町なんだから採掘士や鍛冶屋なんかをやってみたい。新しい装備とかも手にいれたいからね。
一般に公開されている坑道は冒険者ギルドで調べといたし、早速行ってみよう。
坑道が一般公開されていたら取り尽くされているんじゃないかと思うが、そんなことは無い。この坑道には魔物が出るらしく、その魔物によって鉱脈が回復しているらしい。
魔物が出るせいで戦う術のない人は入れないけど、私達みたいな冒険者が入ったりしている。魔物も倒せて一攫千金も狙える場所として冒険者の間では有名になっている。
そして、この坑道の名前はなんと、ジビシャダンジョンと呼ばれている。
ダンジョンだよ、ダンジョン!異世界行ったらとりあえず入っとけ、で有名なアレだよ!
楽しみだなー。鉱山の街のダンジョンだからやっぱりゴーレムとか出るのかな?土とか岩系の魔物が多そうなイメージがある。そういう敵には打撃とか魔法が相性が良さそうだ。私は魔法メインで戦うようにしよう。
坑道の前には兵士と今から入ろうとしている冒険者が数人いる。兵士の方はこの坑道から魔物が出てこないか見張ってるんだろう。冒険者の方は・・・うん、あまり関わりたくもないしなるべく視界に入れないでおく。
私は兵士と冒険者を素通りして坑道に入って行こうとしたけど、兵士に呼び止められた。
「おい、そこのお前」
無視しても良かったんだけど、出るときにも会いそうだから素直に止まる。
「なんかよう?私はさっさとこの坑道に入りたいんだけど」
「いや、決まりで一応忠告しないといけなくてな。ここは魔物が出る坑道だ。見たところほとんど丸腰だが大丈夫か?それに一人だと大変だぞ」
どうやら私のことを心配してくれる良い兵士だったようだ。
「大丈夫だよ。私は魔法メインだし近接もある程度こなせるから」
「なに!魔法使いだと!」
今のセリフは兵士じゃなくて冒険者のものだ。ちっ、面倒そうな奴に絡まれちゃったよ。
「お前、今魔法使いと言ったな」
「はあ、確かに言いましたが何か?」
「うちのパーティには魔法使いがいなくてな、良ければ一緒に行かないか?いくら魔法使いだって一人じゃ厳しいだろ?あんたにも利点はあると思う」
初めに無視しようとした理由はこれだ。遠目から見てもこのパーティには魔法使いがいなかったから、私が魔法使いだと知ったら誘ってくる可能性があった。
確かに一人は大変だ。まあ、私はソロが好きだからその申し出を当然断るんだけど。
「そこの兵士さんにも言ったけど、私は一人でも大丈夫だからお断りするよ」
さて、こいつらを無視してさっさと行きますか。と思い坑道に向かうが、突然腕を掴まれた。掴んだのは当然さっきまで話していた冒険者だ。
私はさっきから少しだけイライラしていて、つい、氷魔法で作ったこぶし大の大きさの氷を腹に飛ばしてしまう。
掴んでた力は無くなり、その場に崩れ落ちる冒険者。だいぶ威力落としてるしすぐ復活するだろう。
「あー、兵士さん。見ての通り先に手を出したのは向こう側なんで、事情聴取なんかはやめてくださいね」
私はとりあえず、弁明だけしておく。兵士の「あ、ああ」という声が聞こえたので、さっさと坑道に入って行った。
・・・この冒険者のパーティーメンバーには悪いけど、君らの為でもあるんだから我慢して貰わないとね。
坑道の中は以外と広く、人が横並びで歩いても腕を振り回せるぐらいの幅がある。
魔物が出るんだし、広くないと戦い辛いから拡げたのかな?だとしたら人があまり通らない通路は、狭くなってそうだね。
ただ、とても暗い。普通の人なら光源がないと一歩先も見えないだろうな。私は暗視のスキルがあるから問題ないけど。
さすがに入り口付近には鉱脈が無いから、どんどん奥に進んでいく。分かれ道もあったけど、とりあえず右を選んでおいた。
こうすると帰りは左を選ぶだけで帰れるから、わざわざマッピングする必要がないからね。
また分かれ道に当たり、右側に行こうとすると気配察知が何かの気配を感じ取った。
どうやら魔物みたいだね。魔物は大体似たような気配をしているから、人間なんかとは判別ができる。
さて、ダンジョン初の魔物はどんなのかな。
魔物がいるらしき場所を目視できる地点に来た。
魔物の大きさは二メートル以上かな。シルエットは蛇だが、よく見ると岩をただ繋ぎ合わせたような歪なものだった。
・・・これがゴーレムなのかな?予想と全然違う。私が想像してたのは人型だったんだけど、これはどう見ても岩タイプのあれだ。
私が前世の知識との違いに戸惑っていると、どうやら向こうも私に気が付いたようで、頭らしき部分をこちらに向ける。
馬鹿なことを考えている場合じゃないね。
幸いなことに向こうの動きは遅い。まるで蛇のように這いずりながら寄ってくるからだ。
だったら近づかれる前に先手を打たせて貰うかな。
職業は昨日から変えていないから、サブ職業に二魔術師が入っている。
岩だからただ魔法をぶつけただけじゃ倒せないだろう。だけど、一番得意な水魔法を使って水を出してぶつける。
水は当たったが、ダメージは入っていない。だけど、これでいい。
私はさらに氷魔法を発動させる。目標はもちろんゴーレムだ。
氷魔法が発動すると、ゴーレムが被った水が一気に凍る。ゴーレムの動きは徐々に遅くなり、動かなくなった頃には完全に凍りづけになってしまった。
ぶっつけ本番でやってみたけど、問題なく成功したね。
氷魔法だけでもできたかもしれないけど、わざわざ水魔法を先に使ったのは、簡単に言ってしまえば節約のためだ。
まず、水魔法に比べて氷魔法は消費が大きい。理由は空気中の水分を集めて、さらに温度を下げるという事を一つの動作でやっているせいだ。
ただ、氷魔法で水を集めるより水魔法で集めた方が集めやすい。
だから先に水魔法で濡らしておいて、その水を凍らせた。手間が掛かるが、その分消費する魔力がかなり抑えられて、さらに凍りづけになるまでの時間もあまり掛からなかった。
節約していくのは、ダンジョンに長く潜るためだ。長く潜ればその分魔物と多く出会うから、途中で魔力切れなんてしたくないしね。
ダンジョン初の魔物も倒したことだし、この魔物を回収してどんどん潜ってこー。




