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厳粛主義者たち

本日2話目です!



あの男達は、何者だったのか。

そして、何故私を狙っているのか。


何も彼も、分からない。

只一つだけ確かなのは、あの男達からは明確な殺意が感じられなかったという事。



目を瞑り、心地の良い夜風を全身で感じる。



私を、如何したかったのだろう。

人質にしたかったのか、脅して見せしめにしたかったのかーーー此の殺気は…!!


咄嗟に身を低くすれば、矢が髪を掠める。

次の矢が飛ばされる前に柱の影へ移動する。



あの時と、同じだ。同一人物だ。

夜だというのに、暗がりに立っていたというのに、凄まじい命中率だ。


さあ如何するか。室内へ走って逃げ込むには、此の装備では無謀である。武器は、もう一つ忍ばせている短刀しかーーーッまさか!!


瞬時に短刀を手にして掲げる。高い金属音が耳元で鳴り響く。



「わぁ~!すごいですぅ!さすが姫ですねぇ!」



……また、新たな、刺客……では無さそうだ。殺気は、皆無だ。

困惑していると、短剣を下ろした隠密らしき風貌の者が布で覆われていた顔をずらして出した。



「私はぁ、だんちょーの影ですぅ!アイツは私が仕留めるのでぇ、姫はその隙にササッと行っちゃってください~!」



何とも気の抜ける……というか、姫、とは…

考える間も無く、騎士団長様の影と自称した者はーーー凄い……


目にも留まらぬ速さとは、此の事なのかと。

丸で、飛んで来る矢が、避けているかの様な身の熟し。そして、瞬く間に暗闇へ消えて行ったーー



「ーー何が、あった」



………今夜は、何という日なのか。次から次へと、何なのだ。


抑、彼は、何処まで分かっているのだろうかと、近付いて来るディートを見上げる。



「髪がーー」


「ーー不用心です。毒矢かも、知れませぬ故」



乱れた頭頂部に触れられそうになり、咄嗟に身を引いた。

ディートは腕を下げながら其の場に片膝を突く。



「…ルフェ、」


「何も聞くな」


「だが、」


「知らぬ振りを、貫く事が出来るのならば、お前と私は友の儘でいられると思うが?」



嘲笑を浮かべれば、ディートは顔を歪める。

まあ、もう、今更かと呟きながら腰を上げる。



「お前は、騎士団員の制服か。私も一度は着てみたかったな」



ディートに背を向け、歩を進める。



「待て。腰元が…裂けている」


「ああ、短剣を刺したからな」



そういえばと思い出し、握っていた短刀を靴下止め部分に戻す。

ああ、駄目だな。流石に、参っている様だ。



「ルフェ、待ってくれ」



背後で立ち上がったディートが懇願する様な声を出し、私の腕を掴んだ。



「閣下が、心配している」


「そうか」


「案内するから、共に来てくれ」


「それは、潮時という事か?」


上半身だけ振り向き、ディートを見上げる。


「…ああ。事の次第を説明すると思う」


「思う、か」


小さく嘆息し、逃げないから離せと言うも、何故か掴んでいる部分をじっと見詰める。



「おい」


「…すまない」


そう言いながら手を離し、徐ろに上着を脱ぎ出す。

其れを広げ、私の面前に差し出した。



「着てくれ」


「なんだ、お情けか?」


「違う。頼むから、着てくれ」


何をそんなに…と返す間もなく、無理矢理着させられる。

そして着衣後、満足気に眺められた。全く、訳が分からない。



「行くぞ」


そう迷いなく進むディートの後ろを、ヒタヒタと素足で冷たい床を感じながら付いて行く。



何処まで、開示されるのだろうか。一体何を、課せられるのだろうか。



本音を言えば、もう、怒涛の一日を終えたい。試されるのはもう懲り懲りである。

諦めの早い性分であっても流石に、此の度の事は許容範囲を疾うに超えている。


私が、養子だからなのか。災害孤児で、後ろ盾が無くなれば天涯孤独だからなのか。私がーー私欲を出して此の国へ遣って来た、罰、なのだろうかーー



「ーールフェ?」


ハッとして顔を上げれば、想像以上の至近距離にディートがいた。


「…怪我でもしているのか」


「いや、疲れただけだ」


ディートの後ろを見遣れば、部屋の扉が目に入る。



「此方でお待ちなのか?」


「そうだが、」


「入ろう。ディート」


何か言いた気なディートを往なすように顎先を動かせば、不満顔を返しながらも扉を開けた。



「おう。お疲れサン」



長椅子に腰掛け、然も愉し気といった表情を浮かべる騎士団長様にーーーピシリと、頭の中で何かが、音を立てた。


嗚呼、此れは。愈々、今夜、遣ってしまうかもしれない。



多分、貴女が思っている以上にドレス乱れてますよルゥさん…そしてきっとディートのことは、またオカン気質出たよ…としか思っていないでしょう…(不憫)

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