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ぼくの猫は破壊神 〜魔法学園の落ちこぼれ、最強の使い魔を復活させて成り上がる〜  作者: 芹沢政信
三章 校舎の地下に危険なダンジョンがあるという話
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3-10 校舎地下へ

「じゃあベル先輩は、校舎地下のダンジョンを探索しに行ったってこと?」

「学園内で行方がわからなくなったのなら、ほかに可能性はないだろうが。お宝に目がくらんだ生徒がひとり、また帰ってこなかったってだけの話さ」

「さすがに発想が飛躍しすぎじゃないかい。あまり考えたくはないけど、外部の人間に誘拐されたって線のほうがまだ現実味はあるよ」


 カイトの言葉を聞いて、ガードナーは呆れたような顔をする。


「商家のお坊ちゃんにしちゃお粗末な意見だな。校舎に施された感知魔法は王都の外壁の比じゃない。怪しいやつが立ち入ったらすぐに誰か飛んでくるぞ。……そもそも魔法学園はただの養成機関ではなく、魔皇殿そのものや過去の遺産を封印する箱でもあるんだ」

「てことはやっぱり、伝説級の魔法道具がごろごろ眠っているって噂も本当なんだね。ぼくもこの前、雑貨屋のお姉さんから七不思議の別バージョンを教えてもらったんだけど」


 するとガードナーがいきなり怖い顔をして「なんだと?」と返してくる。

 いや、別にそこまで食いつく情報でもないでしょ。

 ともあれぼくは納得しきれなくて、


「本番直前の大事な時期に、わざわざ危険をおかしてお宝を探しに行くかなあ」

「だからこそ、だろ。俺がシュレーターを使うと知って焦ったんじゃないか」

「なるほど。ベル嬢の目的はグリフディリオンか」


 カイトの言葉に、ガードナーはうなずく。

 そこまで聞いてようやく、ありえる話だと思えてきた。


「不死皇帝の妻にして古代種の末裔、魔皇パンドゥーラが携えていた伝説の遺物。グリフディリオンならシュレーターに対抗できる――いや、ぶっちぎりで優勝しちまうかもな」

「雷光のごとき速さで駆ける深紅の箒、か。それがもし校舎に眠っているのなら、いかにもベル嬢の好きそうな噂だけど……地下に通じる扉なんて実際あるのかどうか」

「あるさ。俺はこの目で拝んだからな」


 こともなげに言うものだから、ぼくたちはぽかんとしてしまう。

 どうしてそんなに学園のことに詳しいの、ガードナーは。


「探しに行くつもりなら場所を教えてやってもいいが……ただし今回の件は絶対、教師どもにバラすな。知られたら大問題になるし、扉を塞がれたりしたら俺が困る」


 いつか自分で探索するつもりだから、ということなのかな。

 だけどガードナー、ベル先輩を探しにいくつもりはないらしく、


「俺はこれから仕事があるし、ライバルに助けられるのもイヤだろうからな。お姫さまの救出はお前に任せるさ。まあどっちがお姫さまだか、わからなくなりそうだが」

「うるさいなあ……。でもぼくとカイトだけじゃ不安だし、校舎の地下を探索するならオーサに来てもらったほうがいいかな。今ちょうどお散歩中なんだけど」

「それなら問題ないよ。学園に向かう途中で拾っていこう」

 

 カイトはまるで、オーサの行き先に心当たりがあるような口ぶりだ。

 ぼくが不思議に思って見つめると、


「あの猫ちゃんは最近、ハニービーに餌づけされていたからね」

 


 ◇



「なあもっと、ハチミツをたっぷりとかけてほしいのにゃ……」 

「じゃあ三回まわっておねだりできる?」 

「にゃ、にゃ、にゃーん!」 


 王都居住区の一画、騎士の名門スティングス家。

 その屋敷のテラスを訪れると、優雅にお茶をすするハニービーお嬢さまと、プライドをかなぐり捨てた破壊神の姿があった。

 パンケーキに頭を突っこんでいる猫サマに、ぼくは白い目を向ける。


「はっ! 違うにゃ、話せば長くなるのだが――」

「見なかったことにするからさ、ぼくの頼みを聞いてほしいんだけど」


 事情をざっと説明すると、オーサは「面白そうだの」と了承してくれる。

 だけど厄介なことに、横で聞いていたお嬢さまが瞳をキラキラと輝かせて、


「まさかとは思うけど、私をのけものにするつもりじゃないでしょうね?」

「う……。ハニービーも来てくれるなら心強いかも」

「そうよねそうよね。ちょうど今朝、魔物をぶちころがしたい気分だったの!」


 なにそれ怖い。

 でもハニービー、身体強化系の魔法なら学園でもトップの使い手なんだよね。

 


 ◇



 で、ぼくらはそのまま学園へ。

 教師のほとんどが建国祭の準備に奔走しているせいかひとけがなく、おまけに嘘の用事を窓口で伝えたら、簡単に校舎の中へ入れてもらえた。

 あとは目的の場所に向かうだけなんだけど、

 

「やだ、ここって校庭の男子トイレじゃないの……」

「正確にはその隣にあるマンホールだよ。ガードナーが言うには王都の地下水道を通らないと、目的の扉にたどりつけないらしいんだ」


 自慢じゃないけどスラム育ちのぼくは汚いところや臭いところを通るのは慣れている。だけど男子のカイトはともかくハニービーはブツクサ文句を言う。

 で、マンホールに潜りこんだあと。

 王都の地下水道をぐるっと迂回して、校舎の真下あたりまで戻ってくる。


「しかしガードナーもよくこんな道を知っていたなあ。ドブさらいのバイトでもしていたのだろうか」

「地下水道を経由しないとたどりつけないのは盲点だよね。で、あれが扉っぽいけど」 

「ふうん、見た感じ厳重そう」


 とは言うものの、扉に施されていたであろう魔法の封印は経年で効力を失っていた。

 魔法学園、管理体制がずさんだなあ……。

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