#149 知識
それから二日後、林班による中宮マンションの捜査が行われた。この中宮マンションは住人からの通報により、捜査を行うことが決まったのだ
「林、六階と七階にはいなかったぞ」
そう言ったのは冨沢だった。この中宮マンションは地下一階、地上七階のマンションのため、林班はそれぞれ場所を決めて捜査していた。その捜査は、林が地下一階と地上一階、小牧が二階と三階、中鈴が四階と五階、そして冨沢が六階と七階を調べていた
「小牧と中鈴の所は何か不審なところあった?」
林は二人にそう聞いた。しかし小牧と中鈴は首を横に振った
「おかしいな。ゾンビの目撃情報は地下一階にある駐車場だったのに、こっちはゾンビのいた痕跡すらなかったよ」
「どうする?本部に戻る?」
そう聞いたのは冨沢だった。すると林は手帳を取り出すと、三人にこう言った
「いや、先に三階へ行こう。この通報をした人物の所にね」
林はそう言うとマンションの扉を管理人に借りたカードを使って開けた。そして中に入ると三階へ向かって階段を登り始めた。そして三階につくと、その通報した住人の部屋へと向かった……
「冨沢、この部屋の住人を呼び出してくれないか?俺は念のために拳銃持ってるから」
「分かったよ」
冨沢はそう言うとインターホンに指を置いた。そして林が拳銃を持ったのを見るとボタンを押した……
ピンポーン!
そんな音が部屋の中から聞こえた。しかし人が出てくる気配がしなかった
「いないのかな?」
冨沢はそう言うとボタンをもう一度押した。しかし部屋の中からは誰も出てこなかった
「いないみたいだね。明日にでもまた来よう」
林はそう言うと拳銃をしまった
「明日も来るのかよ。鍵開いてたら最高なのによ」
冨沢はそう言うとドアノブをひねった。すると扉は変な音を立てて開いたのだった
「林二佐、部屋の床に紙が……」
「なんだこれ?」
小牧にそう言われると林は部屋に入った。そして床に落ちていた紙を拾った。そしてその紙を見ると三人にこう言った
「どうやら騙されていたようだ。これ見てみな」
林はそう言うと小牧に落ちていた紙を渡した。その紙には「お疲れ様です by tray」と書かれていた
「ふざけた奴等だ。捕まえたら殺所にぶちこんでやる」
林はそう言うと靴を脱ぎ、部屋に何かないか調べ始めた。しかし冨沢はその紙に書かれていた意味が分からず、こう聞いた
「どういう意味だ?」
すると小牧はこう説明した
「trayとはトランプでいう三番のこと…… そして読み方はトレイ。これで分かりますか?」
トランプの数字には呼び方がある。一はエース、二はデュース、三はトレイといった感じで呼び名がついているのだ。そして東京本部が戦っている組織の戦闘員もこの名前がつけられている
「そういう事か。だから林はすぐに奴等の仕業だと気づいたのね」
冨沢はそう言うと靴を脱ぎ部屋の中に入っていった。すると小牧に中鈴がこう話しかけた
「小牧はよくそんな事を知ってたね。俺は知らなかったよ」
「これは倉科准官に教えてもらったんです。殺所警備の時に……」
小牧はそう言うと、倉科に教えてもらった時のことを思い出した。その日は殺所の警備のために殺所にいた。警備の交代で小牧が警備室に入ると、中では林や倉科がトランプをしていたのだ。そこで倉科が豆知識としてトランプの数字について話していたのだ
「そう言うことだったのね。じゃは俺達も調べようか。邪魔にならない程度に……」
中鈴にそう言われると小牧は部屋に入った。このマンションの部屋はそこそこ大きく、部屋の中には荷物が沢山置いてあった……
ゾンビ殲滅局東京本部、対策2専用室……
「何があったんだ?何でこんなに人がいないんだ?」
そう言ったのは有川だった。そのとき、対策2専用室にはほとんど人がいなかった。どの班も捜査があるらしく外に出ているのだ
「どうやら昨日沢山の通報があったみたいで、その対処に追われてるみたいですよ。有川特官」
有川はそう言われると後ろを見た。するとそこには部下の秋津がいた
ガチャッ!
突然対策2専用室の扉が開いた。すると中に宇土が入ってきた。宇土は部屋の中に入ると一直線で有川の所にやって来た
「有川さん。今日の会議は中止だそうです」
「分かった。ありがとよ」
有川がお礼をすると宇土は部屋から出ていってしまった。昨日の大量の通報により、「マル食品羽町工場作戦」の内容を知っている笛中や神尾、林が出席できないのだ。なので仲野は仕方なく会議を中止にしたのだった
「もしこの通報、あの組織の妨害行為だとしたら大変ですね」
秋津はそう言った。エース達は過去にもわざと大量の通報をして、ゾンビ対策官を現場に向かわせたことがあった。なので今回も何かあるのではないかと有川は疑い始めた……
秋津紅葉
准ゾンビ対策官
武器……高熱剣
拳銃




