転生
「ーーーーーーーーー」
「ーーー」
なんだ、俺まだ生きてるのか。
眩しい、何も見えないのに何かが動いているのがわかる。
(は?)
ゆっくりと目を開けてすぐ視界に映ったのは二人の男女だ。
どちらも俺を上から見下ろしている
男の方は綺麗な橙色の髪をしていて今にも泣きそうな目で俺に笑みを返している。
「ーーーーーーー」
女性の声とともに膝枕をされているかのような視点になる。
すごく綺麗な人だった、暴力性を感じるとても澄んでいる赤色の髪をしている、なんと言っているかは理解できないが、その声色はひどく甘く不思議とこっちもセンチメンタルな気分になってしまう。
視界に映るその顔は、幸せを全身で味わっているかのような表情をしていて見ているだけで羨ましさすら感じてしまう、知っている顔だ、何度か見たことがある、昔母がよくむけてくれた顔だ。
見慣れない天井の作り、知り合いの中で見たこともない二人。不自然なとこを上げようと思えばまだまだ出てくる。
体全体が思うように動かない。
俺はどうなったんだ。
まずは状況を把握しなくてはいけないと思い、思い切り体を動かそうとする。
(動け!動け!うご...あぇ)
精一杯の思いで動かした腕は確かに動いた、だが視界に映ったのは少し肉つきがよくムチムチとした小さな手だ。
ーー
一週間が経った
状況を飲み込むのには少し苦労したが俺は生まれ変わった、これは紛れもない事実だ。
生前読んだ本の世界でよく見た設定を自分が受けることになるとは思いもしなかった、だが記憶を持ったままで赤ちゃんの生活はなかなかに苦痛だ、自由に体を動かせないし意思の疎通もできない不便なことがありすぎる。
「ーーーーーーーーーー」
俺を抱えている赤毛のおそらく母親の女性はなんと言っているのかはわからないが歌のようなもの口ずさんでいる、全身で人の愛を受けるのは久しぶりすぎて内心動揺しまくりだ、特に授乳の際は悪いことをしているんじゃないかと思ってしまう。
ーー
そこから一月が過ぎ季節は巡り一年ほどがたった、ここにはカレンダーなど日数がわかるものがなく正確な日付はわからない。
首もすっかり座り、体も自分の意志でハイハイできるほどになり始めて、俺の体はゆっくりと、しかし確実に成長していった、好きに動けるようになった時は軽く感動した。
「ライトー?どこ行ったのー?」
一年もこの環境にいると言語もかなり理解できるようになった
俺の名前はライトと名付けられたみたいだ。
「もうまたそんなとこに行って、危ないから私から離れちゃだめですよー」
声の主のティアは俺の母親だ、赤毛のボブをベースとした三つ編みをしている綺麗な女性だ、家事をしてない際は俺につきっきりでいつも幸せを噛み締めているかのような穏やかな目つきをしている、ずっと俺とくっついてたいのか暇さえあれば俺を抱きかかえ愛を振り撒いている、巷で言う親バカだ、こんなにも人に好意を寄せられるのはいつぶりだろうか、不思議と昔の緊張感や劣等感は感じない、自分の存在を丸ごと肯定されているかのような奇妙な感覚だった。
奇妙といえばこの家は電気が通っていない、その代わり平然と手から火をつけたり水を出している、始めて見た時はびっくり仰天したが今となっては見慣れて自分が地球ではない星のもとに生まれ変わったことにも順応した。
「ただいまー!」
元気溢れるエネルギー全開の大きな声とともに帰ってきたのはこの世界での俺の父親ソラだ、橙色の髪が一本結びで肩甲骨あたりまで伸びている、勇ましくも幼さを感じる顔立ちをしている。
「お帰りなさい、あなた」
帰宅早々熱いキスをする二人。
昼間から夫婦愛を見せつけてくる二人をよそに俺は小さな窓から外を見渡す、板ガラスを作る技術がまだないのか窓から見ようとすると歪んで見える、それでも何度見ても心奪われる景色だ、遠くに見える小麦色の畑や青く澄み渡った空、何一つ視界を妨げるものがない、生前の世界じゃ考えられない風景だ。
「あなた、ライトったらちょっと目を離したらすぐ椅子を登って窓を見にくのよ」
「元気な証拠だろう?男は常に動きたくてしょうがないんだよ」
「でも!もし怪我したらって思うと居ても立っても居られなくて」
「この家でする怪我ぐらいならセラだけで治せるだろう?教会も近いし気にすんなよ」
似たような会話を四六時中繰り返している、それを聞いていると実感する、自分は生まれ変わってまたやり直せるのだと。
後悔しかない人生だった。
全ての選択を間違えた。
自分だけじゃなく他人にも迷惑をかけた。
あんな思いはもうしたくない。
もうあの過去は忘れよう。
俺ならやれる、全身全霊で自分のために。
人並みに生きて、恋愛をして、本気で努力をして最高の人生を送ってみせる。
小説を書くのは初めてなので書き方など指摘があればご教授願いたいです。




