「ここは私のものですと言うなつってんだろ ――好きとは言いません。でも、ここは私のものです」
ここが好きか聞かれました。
好きとは言いませんでした。
別の言葉を、言いました。
今日の罠は、ガレンさん向けです。
第一罠は筋力で押し返すほど重くなる反発壁。
第二罠は踏むほど沈む負荷床。
第三罠は、ガルルとの接触を防ぐ分断線。
最後の対策が、一番重要です。
今日の罠には自信があります。
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ダンジョン配信中(登録者:462)
女神様「今日は、マスターが何を言うか見ています」
剣士「ガレン回だ」
杖つかい「筋肉で全部壊す予感」
査定員「分断線に期待します」
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ガレンさんは、普通に来ました。
「よっ、DM!」
「DM呼びは保留です」
ガレンさんは第一罠に入った。
反発壁が押し返す。
ガレンさんは押し返した。
「いい負荷だ!」
「罠は負荷ではありません」
第二罠の負荷床が沈む。
ガレンさんは腰を落とした。
「足腰に効く!いい鍛錬になる!!」
「だから筋トレ器具ではありません」
第三罠の分断線が光った。
ガルルは、線の前で止まった。
ガレンさんも止まった。
「ガルル、今日はダメか......」
ガルルが礼をした。
ガレンさんは笑った。
けれど、今日は突破しなかった。
「今日は攻略しに来たんじゃない。見に来た」
「観光でしたか」
「違う。ここのDMが、ちゃんとここにいるか」
「......私は、ここにいます」
「知ってる。もうここを突破しようとは思わない」
「攻略放棄ですか」
「違う。ここのDMがここを好きなのがわかる」
「好きではありません」
即答でした。
シア様が、横で小さく笑った。
「そうですか〜?」
スライムAがぷるぷるした。
スライムBもぷるぷるした。
ガルルが胸に手を当てた。
ドラゴンウォームが天井から落ちて、床でぱたぱたした。
「全員、何か言いたそうにしないでください」
ガレンさんは笑った。
「好きって言わなくてもいいんじゃないか。別の言葉で言えばいい」
私は、コートを見下ろした。
そこには、何度も書いて、何度も消そうとして、結局消せなかった言葉がある。
ここは、私のものです。
「ここは」
「うん」
「......私のものです」
通路が静かになった。
シア様だけが、私の隣に立った。
肩が触れる距離だった。
「聞きました」
「配信中です」
「知っていますよ〜」
コートに文字が浮いた。
【ここは私のものです】
【消した跡なし】
【シア様:隣】
【肩:接触】
【心拍:記録しない(二回目)】
感謝するなつってんだろ。ここは私のものです。
だから勝手にぱちぱち拍手してんじゃねえぞてめえらあああああああああああ! 天井ドラゴンも落ちるなあああ!!




