「応援するなつってんだろ――モンスター全員が元気すぎて、もう観客席みたいでした」
なぜか応援されました。
罠の確認に来たはずでした。
全員、名前の話をしました。
今日は通常運転に戻す予定でした。
第一罠は基本の落下床。
第二罠は粘着床。
第三罠は強制退場罠。
初心に戻るのは、大切です。
今日の罠には自信があります。
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ダンジョン配信中(登録者:331)
女神様「マスターは、今日も見られています」
剣士「いつもの空気に戻ったか?」
杖つかい「戻ってない気がします」
罠職人見習い「スライムが妙に前向きです」
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最初に来たのは、ミリさんだった。
「今日はスライムさんたちの様子を見に来ました」
「攻略目的でお願いします」
「はい。攻略しながら見ます」
違います。
攻略と観察は、同時に処理する業務ではありません。
ミリさんは第一罠の手前でしゃがみ、スライムAを撫でた。
落下床は、当然のように反応しない。
「この子、大きくなりましたね」
「......在籍六十日目です」
「名前ついてますよね?」
「暫定識別番号です」
次にガレンさんが来た。
「ガルル! 元気か!」
ガルルが礼をした。
「挨拶しないでください」
「いいじゃないか。仲間だろ」
「暫定識別番号です」
ガレンさんは第二罠の粘着床に足を取られた。
普通なら止まる。
ですが、ガレンさんはその場でスクワットを始めた。
「粘着負荷がちょうどいい!」
「罠は筋トレ器具ではありません」
遅れて、ドーガさんとノノカさんも来た。
「今日は応援に来たぞ!」
「師匠! 精神状態と罠精度の相関図を作ってきました!!」
「応援と研究を同時にしないでください」
第三罠が発動した。
四人をまとめて退場させるはずだった。
しかし、ドラゴンウォームが天井から落ちかけた。
ミリさんが受け止める。
ガレンさんが支える。
ドーガさんが「ナイスキャッチ!」と叫ぶ。
ノノカさんが「モンスター連携まで計算済み!!師匠すごすぎる!!!」と記録する。
「計算していません」
全員が、なぜかこちらを見ている。
「......応援されていますか?」
シア様が横で笑った。
「そうですか〜?」
コメント欄が流れた。
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ダンジョン配信中(登録者:331)
剣士「応援回だ」
杖つかい「モンスターも応援してる」
査定員「応援による罠効率低下を確認」
女神様「マスターは困っていますね」
罠職人見習い「でもちょっと嬉しそうでは?」
女神様「見ています♡」
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「嬉しそうではありません」
声に出してしまった。
ミリさんがにこっと笑う。
「また来ます」
「......どうぞ」
言ってから、私は固まった。
コートの裾に文字が増えていた。
【どうぞ:言った】
【また来ます:受理】
【暫定識別番号:七回目】
「消してください」
消えませんでした。
感謝するなつってんだろ。応援については......改善の余地があります。
うおおおおおおおおおおおおおおおおお何応援してくれてんだああああああ!!やめろ!
【今回の登場キャラクター】
・ミリ、ガレン、ドーガ、ノノカ:応援しに来た常連たち。
・シア様:全部見ている女神様。
【今回のズレパターン】
観光型+応援型。罠よりも応援と名前問題が前に出ました。
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【今話のダンジョンデータ】
ダンジョンランキング :774位 → 742位
配信視聴者数 :331名 → 338名
本日の用途 :常連応援会場
コートのメモ(今話) :「どうぞ:言った。暫定識別番号:七回目」
【モンスター管理状況】
スライムA:在籍60日目 稼働率0%(応援)
スライムB:在籍58日目 稼働率0%(応援)
ガルル:在籍59日目 稼働率0%(胸に手を当てた)
ドラゴンウォーム:在籍50日目 稼働率0%(落下未遂)
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