「過去を知りたいと言うなつってんだろ――スライムに聞くな。気合いで聞くな。」
過去を聞かれました。
スライムにも聞かれました。
会話方法は気合いだそうです。
今日は、過去を聞かれました。聞いてきた相手は、ノノカさんです。
今日の罠は、改良版の多段感知罠。第一罠で足音を拾い、第二罠で姿勢を読み、第三罠で進行方向を変える設計です。
今日の罠には自信があります。八十三回目の自信です。
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女神様「マスターのコート、今日は右袖まで文字がありますね❤」
罠職人見習い「右袖まで!?」
剣士「設計図が服を侵食してる」
杖つかい「服ってそういう用途でしたっけ」
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ノノカさんは、入口から全力で走ってきました。
「師匠!! 過去を教えてください!!」
「師匠はいません」
第一罠が鳴りました。足音を拾った瞬間、床の感知糸が横に走り、ノノカさんの進行方向を少しずらします。
「この足音読み!! 過去の経験から来るやつですね!!」
「足音から過去を読まないでください」
第二罠が起動しました。姿勢を読んだ罠機構が、前方の壁を開きます。ノノカさんは感動で止まりました。
止まるな。そこは走ってください。
「師匠の前職、やっぱり戦術家ですか!?」
「前職の話はしていません」
「前があるんですね!?」
私は黙りました。
スライムAが、ぷるぷるしました。ノノカさんはそれを見て、目を輝かせます。
「聞きました!!」
「何をですか」
「スライムAが言ってました! 師匠が初めて『どうぞ』って言った日を覚えてるって!」
「スライムAに聞いたんですか」
「はい!」
「どうやって」
「気合いですよ!!」
「会話手段として成立していません」
スライムAは、なぜか肯定するようにぷるぷるしました。
やめなさい。あなたも乗らないでください。
その瞬間、第三罠が発動し、ノノカさんの足元に小さな誘導床が現れました。本来は奥へ誘導する設計でした。
ノノカさんは、それを見て叫びました。
「師匠! これは過去へ向き合えという導線ですね!!」
「違います。出口です」
「出口も過去の一部!!」
「出口は出口です」
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罠職人見習い「出口を哲学にするな」
剣士「ノノカさん今日も強い」
女神様「マスターの前の話は、まだです」
杖つかい「女神様の『まだ』が怖い」
査定員「スライムとの意思疎通は記録対象です」
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ノノカさんは撃退判定を受けながら、両手を振りました。
「また聞きに来ます!!」
「聞きに来ないでください」
「スライムAにも聞きます!!」
「それもやめてください」
改善の余地があります。
過去を聞くなつってんだろ。スライムに聞くな。気合いで会話するな。うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
【今回の登場キャラクター紹介】
・ハルカ:過去を聞かれると静かになる匿名DM。
・シアラ:配信上では「マスター」呼びを守りつつ、過去の話を止める女神様。
・ノノカ:罠職人後輩。スライムと気合いで会話したと言い張る。
・スライムA:何かを覚えている疑惑が出た。
【今回のズレパターン解説】
活用型。第一罠から第三罠まで、全部「過去への導線」と誤読された。
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【今話のダンジョンデータ】
ダンジョンランキング :4730位 → 4612位
配信視聴者数 :166名 → 171名
本日の用途 :過去聞き取り調査会場
コートのメモ(今話) :「スライムAの記憶:調査方法が気合い。却下。なのに反応あり」
【モンスター管理状況】
スライムA:稼働率0%(気合い会話疑惑)
ガルル:入口で礼を保留中
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