「また昔の話をするなつってんだろ」
グラッド対応罠を組みました。
しゃがまれました。
昔の戦いで鍛えたそうです。
今日も感謝されてしまいました。
今回の罠は、グラッドさん対応版です。
前回、盾で受けられた反省から、盾の届かない高さに拘束針を配置しました。入口付近にはガルルを置いています。
今日の罠には自信があります。グラッド対応版です。
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女神様「また来ましたね❤」
名無しの盾「また昔話?」
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「また来たぞ!」
「また来なくて大丈夫です、本当に」
グラッドさんは、前回よりも軽い足取りでした。
懐かしい場所へ来る人の顔です。
その顔を、私はあまり見ないようにしました。
今日の罠は、盾の上を狙います。
第一通路に入った瞬間、壁の上段が開き、斜め上から拘束針が走りました。
グラッドさんは、しゃがみました。
「……しゃがみましたか」
「体が覚えてた。昔の戦いで鍛えられてるからな」
「昔の話はダンジョンに持ち込み禁止です」
「いや、《《あの参謀》》がよく言ってたんだ。盾役は上を見すぎるな、足元を見ろって」
私は、コートの端を押さえました。
そこにある名前が、今日も少しだけ重い。
「……その参謀は、今どうしていますか」
「記録に名前がなかったから、途中で離脱したんだろうな」
通路の空気が、少しだけ止まりました。
ガルルが、入口付近から静かに歩いてきました。
グラッドさんへ礼をします。
「おっ、先日の骨だ! また会えたな!」
ガルルが、もう一度礼をしました。
心なしか嬉しそうに見えるのは、私の気のせいでしょうか。
「……ガルルがグラッドさんを覚えているように、見えますね」
「いい骨だな。ガルルというのか。ありがとう」
「骨に感謝しないでください」
グラッドさんは、罠を突破したのに、奥へ進みませんでした。
かわりに、ダンジョンの壁を見上げます。
「不思議だな。ここに来ると、忘れてたことを思い出す」
「思い出さなくて大丈夫です」
「ありがとう。また来る」
「だから、来なくて大丈夫です」「感謝も要りません」
グラッドさんが帰ったあと、ガルルは私のそばに来ました。
何も言いません。
骨なので、言えないのかもしれません。
けれど、今日だけは、いつもの礼をしませんでした。
―――
コートのメモは、少なくしました。
【ガルル:ハルカのそばにいた】
それだけです。
シア様は、しばらく黙っていました。
それから、いつもの声で言います。
「ハルカ、今日の罠は惜しかったですね〜」
「はい。改善の余地があります」
その返事だけは、すぐに出ました。
シア様のニヤニヤは、いつもより薄かった。
私は、針の角度を直していたので、見ていません。
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女神様「覚えているのは、良いことなんでしょうか❤」
名無しの盾「骨が空気読んだ?」
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改善の余地があります。
感謝するなつってんだろ。昔の話は持ち込まないでください。
本当に。
【今回の登場キャラクター紹介】
・グラッド:二回目の来訪。記録に残らない参謀の話を、悪気なく口にする。
・ガルル:今日はハルカのそばにいました。
【今回のズレパターン解説】
誤解型です。グラッド対応罠は、過去の戦闘経験によって自然に回避されました。
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【今話のダンジョンデータ】
ダンジョンランキング :65166位 → 65110位
配信視聴者数 :12名 → 12名
本日の用途 :思い出の再確認場所(非推奨)
コートのメモ(今話) :「ガルル:ハルカのそばにいた」
【モンスター管理状況】
ガルル(暫定識別番号):在籍6日目 稼働率0% 今日の成果:グラッドを記憶、ハルカのそばにいた
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