部活だっ!!
オレはユニフォームの上着を脱いで体に巻かれた包帯を先輩たちに見せつけてやった。
「け、けっこうスゴイ……な? なあ優香」
「う、うん……(ゴクリ)」
「派手にやられちゃって」
「ちょっとくるっと回ってみ?」
「はいっ!」
オレは高速で左回転した。
「はやすぎだろっ!」
「もっとゆっくり!」
「はいっ!」
今度はゆっくりと左回転してみせた。
その時オレは先輩方の異変に気が付いた!
「先輩たち! どうしたんですか!!?」
「は?」
「なにが?」
「鼻から血が出ているじゃないですか!!」
「えっ!」
「あっ!」
先輩方は自分の鼻下を触って、指についた血を見て驚いた。
「大丈夫ですか! 体調がよくないんじゃないですか!!?」
「うるさいっ!」
「だまれっ!」
「顔も赤いですし!」
「これくらいどうってことないっ! さっさと訓練始めっぞ!」
「はいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
「「うるせえバカーッ!!!」」
さすが先輩方だ。ちょっとの体調不良なんか気にもしない。
いつもオレたち新入りのトレーニングに付き合ってくれるやさしくて強い先輩方。
オレも負けていられない、もっとがんばろうと思った。
上着を着ようとしたら先輩たちが「そのままで良いんじゃないか?」、「そうだ。着る時間がもったいないだろ」と言うので上着は簡単にたたんで隅のほうに置きそのまま訓練をすることにした。
* * * * * *
パチンッ! パチンッ!
「ほら! もっと早く走れよ!」
「はい!!」
ダンプカーの大きいタイヤにロープをかけてそれを引きずりながら走る訓練をした。
タイヤの上に乗っている内田先輩が鼻血を出しながらもオレにムチを打ってくれた。
やさしい。
* * * * * *
ポンッ! ポンッ! ポンッ! (ピッチングマシンがボール飛ばす音)
「ちゃんとボールを見ろっつってんだろ!」
「早すぎて見えませんっ!! あ痛っ! がっ! ああっ!」
剛速球を打つ訓練もした。
田村先輩が鼻血を出しながらもボール投げマシーンに次から次へとボールを入れてくれる。
やさしい。
だけどなかなかバットに当たらない。
ボールは次々とオレの身体にぶつかって跳ねた。
ボールが当たっても耐えられるほどの強い身体作りも兼ねているんだと内田先輩が言っていた。
* * * * * *
「百八十! 百八十一! 百八十二! 百八十三!」
スクワット中は内田先輩がオレの肩にまたがって負荷をかけてくれた。
「もっと深くしゃがめよ! 私の脚はしっかりとつかめ! 絶対に離すんじゃねえぞ。離したら許さねえからな!」
「はい!! 百八十四! 百八十五!」
激しい運動をしていると手にも汗をかく。
内田先輩の脛は毛を剃ったあとのチクチクが残っていて、それが滑り止めの代わりになるので掴みやすくてとてもいい。
* * * * * *
腕立て伏せは田村先輩と内田先輩二人がオレの背中の上に立って負荷をかけてくれた。
「二百六十一、二百六十二……」
「平岡! 声が小さくなってきてるぞ! もっと腹の底からだしてみいや!」
「はいっ!! 二百九十三!! 二百九十四!!」
「テメエいま数飛ばしただろ!?」
「ちがいますっ!! 二百九十九!! 三百!!」
「また飛ばしたな!?」
「ちがいますっ!! 」
ふと、水飲み場の方を見たら鈴木萌果が突っ立っていてこっちを見ていた。
目が合うと彼女はプイと視線をそらしてどこかへ行ってしまった。
「よそ見してんじゃねえぞ平岡!」
「集中しろ! もういっかい二百からだ!」
「はいっ!! 二百一! 二百二! 二百三!」




