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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第六章・魔法王国イエロートパーズ/天使の炎と地獄炎

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デスグラウンド平原は魔獣がいっぱい

 デスグラウンド平原。

 イエロートパーズ王国周辺の平原。というか、イエロートパーズ王国は特殊で、集落や町がない。その理由はこのデスグラウンド平原だ。

 ここにいる魔獣のレートは非常に高い。A~級の魔獣が群れで闊歩したり、とんでもなくデカい鳥や二足歩行の化け物が歩いていたり……しかも地形も変な形で、湖があったり小高い丘があったりなぜか洞窟があったりとめちゃくちゃだ。

 だが、住んでる魔獣が強い分、ここの魔獣の素材はけっこうな金になったり希少なものが殆どなのだとか。一攫千金狙いでここに来て帰らぬ者に……なんてのはザラらしい。

 俺とカグヤは、イエロートパーズ王国の裏門からデスグラウンド平原へ。分厚い鉄の門の先は断崖絶壁になっていて、細い橋が掛けられていた。


「ここがデスグラウンド平原かぁ……お、見ろよ、でっかい鳥だ」

「ほんとだ。あ、あっちには……なにあれ? カマキリ?」

「さすがにこの断崖絶壁は越えられないみたいだな。シラヌイ、落ちるなよ」

『わんわん!!』

「じゃ、さっそく魔獣探しに行きましょ!! 今日のご飯は蛇肉~♪」

「お前、食うつもりか? まぁ俺も食いたいけど……」


 細い橋を渡ると、橋は上がり通行できなくなった。

 おいおい、もう戻れ……るな。俺とカグヤなら飛んで行ける。


「えーっと、ギルドからもらった地図によると……アナンターヴァイパーは平原北の巣穴にいるらしい」

「じゃ、道中戦いながら向かおっか」


 というわけで、デスグラウンド平原でのサバイバルバトルが始まった。


 ◇◇◇◇◇◇


 俺、カグヤ、シラヌイはデスグラウンド平原では小型の部類だ。

 なので、さっそく目を付けられた。


『ウォォォォーーーーンンンッ!!』

「お、なんだあれ?」


 黒いゴツゴツしたオオカミが遠吠えをした。すると、同じオオカミが一斉に集まってきた。

 その数……百か二百。おいおい、いきなりの洗礼だな。

 飛び出そうとしたカグヤの襟を引っ張り、俺は左手に黄色い炎を出す。


「さっそくやらせてもらおうか!!」


 黄色い炎が左手に絡みつく。そして、炎は形となり顕現する。

 黄色と黄土色が混じった巨大な爪手甲が装着された。


「魔神器───『大地の爪(テラ・ペ・ウェイン)』!!」


 第三地獄炎の神獣ガイアの力……見せてやる。

 俺は左手に炎を集め、思いきり地面に突き刺した。


「第三地獄炎『泥々深淵(でいでいしんえん)』!!」


 俺の起点とし、大地がドロドロに……そう、泥沼に変化した。


『ガッ!? ゴッボ、ガルルォ……』

『ガボッ、ゴボボ……』


 カグヤとシラヌイは俺の傍にいるから大丈夫だが、一斉に突っ込んできたオオカミたちは泥沼にハマっていく。そして、ゴボゴボ言いながら沈んでいった。

 第三地獄炎は大地に干渉する炎。

 土や砂を操る『大地讃頌』と違い、『泥々深淵(でいでいしんえん)』は大地を泥化して操る。弱点は同じく左手を地面に突っ込んでなきゃいけないことだけどな。

 オオカミたちは半分ほど飲まれようやく止まる。すると、我慢できなくなったカグヤが飛び出し、オオカミの一匹を蹴り飛ばした。


「さぁかかってきなさい!!」

『グルルォォッ!!』『ガウガウッ!!』『ガルルッ!!』

「あいつ……まぁいいや。俺もまだまだ本気じゃないしな!!」


 泥を固め解除。『大地の爪(テラ・ペ・ウェイン)』も解除し、右腕に赤い炎を燃やす。

 新しく手に入れた力、試させてもらおうか。


「【魔神解放(オーバドライブ)】!! 『火乃加具土(ひのかぐつち)・煉獄絶甲(れんごくぜっこう)』!!」


 魔神器の真の姿───右手の籠手がなくなり、背後に真紅の鎧兵士が立つ。

 肉体の代わりに炎が詰め込まれた鎧兵士は、俺の意志のままに動く。もちろん……格闘術も使える。 


「あんた、あんまり張り切らなくていいわよ」

「うっせ。お前こそ」

『ガルルルルッ!!』


 と、シラヌイがオオカミに飛びつき喉笛を食いちぎった。

 

「「あ……」」

『わんわんっ!!』


 シラヌイは得意げにほほ笑み、オオカミの群れに突っ込んだ。


 ◇◇◇◇◇◇

 

『火乃加具土(ひのかぐつち)・煉獄絶甲(れんごくぜっこう)』は、俺の意志で自在に動く。

 でも……俺が動きながらの操作は至難だった。俺と全く同じ動きをするから、全然関係ない場所で妙な動きをしたりする。何もない空間でパンチやキックをするのはちょっと間抜けだ。


「くっそ、使いづらい……」

「ちょっと邪魔!!」

「うわっ!?」


 『火乃加具土(ひのかぐつち)・煉獄絶甲(れんごくぜっこう)』が見当違いな場所でパンチやキックを繰り出し、カグヤの邪魔になっていた。

 俺は立ち止まり、煉獄絶甲を操ることに集中する。


「よし……いけっ!! そこっ!! 滅の型、桜花連げ───『わうわうっ!!』……え」


 シラヌイが俺の背後にいたオオカミに飛びつき喉笛を噛み千切る。

 やばい。煉獄絶甲の操作に集中してたせいで背後が疎かになってた。


「くっそ……!!」


 仕方なく解除する。

 くっそ……煉獄絶甲の操作がこんなに面倒だとは。一撃一撃の力は俺より遥かに上だし、常に燃えているから飛び道具は途中で燃え尽きる。しかも全身鎧だから物理攻撃も効かない。

 それに、魔神器の真の姿……オーバードライブには弱点があった。


「ぶっはぁ……くそ、怠い」


 体力をめっちゃ消費する。

 一日ぶっ通しで先生と模擬戦したときのように身体が重い。

 たぶん、オーバードライブは一日数分しか使えない。強力な分、制約も多い。


「アンタ、お疲れなら休んでなさい」

「うっせぇ!!」

 

 飛び掛かってくるオオカミを殴り飛ばし、俺はオオカミを蹴り殺すカグヤに言う。

 カグヤはまだまだ余裕だ。群れで襲い掛かるオオカミを見事な足技で蹴り殺している。

 俺は重くなる身体を奮い立たせた。


「流の型、滅の型『合』……【山茶花舞(さざんかまい)】!!」


 攻撃を躱しつつオオカミの集団を蹴り飛ばす。

 カグヤもシラヌイも戦い、ようやくオオカミたちが撤退した。

 足元には、首がへし折れたり内臓破裂で転がるオオカミの山ができている。


「終わり。ふん、楽勝ね」

「だな……あぁ~疲れたぁ」

「体力少なっ……アンタ、走り込みからやり直したらぁ?」

「うっせぇな」

『きゅぅーん』

「よしよし、ありがとなシラヌイ。まだまだ平気だぞ」


 煉獄絶甲はまだまだ慣れが必要かな……敵もまだまだ出そうだし、少しずつ慣れていこう。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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