四等冒険者
俺とカグヤは、その後も魔法学園に通って模擬戦の相手をした。
新入生だけでなく、在校生の相手もさせられた。ぶっちゃけあんまり大したことがない……実戦経験はあまりないのかもしれない。
そして、仕事終わりにフリオニールたちと飯を食うようになった。
俺とカグヤとシラヌイ、フリオニールとラモンとレイラだ。ラモンはぽっちゃりの魔法剣士科で、レイラは魔法格闘科に所属している。どうも俺のアドバイスが欲しいようで、今日も仕事終わりに待ち合わせをして飯にする。
「おーい、二人とも!」
「お、フリオニールたちだ」
待ち合わせ場所は、冒険者ギルド前。
依頼の報告を終えると必ず三人でやってくる。
ラモンが汗をハンカチでぬぐいながら言った。
「ふぃぃ、今日も暑いねぇ」
「いや、普通だと思う。ラモン、もっと痩せれば?」
「ははは。ボクは標準体重さ」
「えー……」
とてもそうは思えん。腹は出てるし顔つきも真ん丸だし。
レイラはシラヌイを撫でながらカグヤに言う。
「カグヤさん、カグヤさんの言う通りに戦ってみたら、上級生に一撃入れることができたんです!」
「うんうん。その調子で頑張りなさい!!」
「はいっ!!」
『わぅぅん』
女の友情なのか、カグヤも満更ではなさそうだ。レイラもカグヤと俺を先生みたいに思ってるのか、いろいろ戦闘に関しての質問をしてくる。
もちろん、フリオニールとラモンもだ。
「さ、食事にしよう。昨日は魚だったから、今日は肉にしないか?」
「お、いいねぇ~。ボク、お肉ならいくらでも入るよぉ」
「ふふ、そうですね。今日はいっぱい食べたい気分です! カグヤさん、一緒に食べまくりましょう!」
「もちろんよ。アタシ、毎日肉でもいいわ!」
「俺はやだぞ……まぁ今日は肉でいいけど。シラヌイもいいか?」
『わんわんっ!!』
こんな感じで、魔法学園の依頼を指名で受けて十日……イエロートパーズ王国での生活になじんでいった。
◇◇◇◇◇◇
そして、ついにその日がきた。
「ヴァルフレア様、カグヤ様。本日より四等冒険者に格上げとなりました。おめでとうございます」
いつもと同じように、魔法学園での模擬戦相手を終えてギルドに報告すると……なんと、俺とカグヤの冒険者等級が上がった。
いきなりのことで驚き、顔を見合わせる俺とカグヤ。
「え、い、いきなり?」
「ま、マジですか?」
「はい。依頼達成数が一定に達しましたので格上げです」
「じゃ、じゃあ……討伐依頼、受けれる?」
「はい」
「お、おお……やったぞ!! 四等だぞ四等!! あと一つ上げればダンジョンに挑戦できる!!
「あ、質問!! SSレート倒せば等級上がる?」
「はい。SSレート討伐はかなりの功績ですので、四等から三等に上がるのは間違いないでしょうね」
「「よーし!!」」
俺とカグヤはハイタッチ。これで次の依頼は決まりだ。
「えー、魔法学園の指名依頼は如何なさいますか? 明日も指名で入っているのですが」
「えー……もうやんなくていいわよ。ね、フレア」
「そうだけど……まぁ、世話になったし、明日だけ参加して事情説明して終わらせるか?」
「うぇぇ~? 面倒くさいぃ」
「フリオニールたちにも言っておかなきゃだろ」
「……ま、いいかぁ」
というわけで、明日一日だけ魔法学園の依頼を受け、その次は討伐依頼を受けることにした。
ギルドを出ると、シラヌイを撫でるレイラ、話をしているフリオニールとラモンがいた。
「やぁ、お疲れ様。さっそく食事に行こう」
「ああ、そうだな。話したいこともあるし、さっさとメシにしようぜ」
俺がそう言うと、三人は首を傾げた。
ここ数日通っている大衆料理店で食事をして、俺とカグヤの等級が上がったこと、魔法学園の依頼は明日で最後にすることを報告する。
「そっかぁ。でも、等級が上がったのはおめでたいよねぇ」
「確かに!! フレアさん、カグヤさん、おめでとうございます!」
「ありがとね!」
カグヤとレイラはグラスを合わせる。すると、フリオニールが大きく頷く。
「君たちが魔法学園の依頼を受けるのは明日で最後だが、食事はしてくれるんだろう?」
「もちろん。なぁカグヤ」
「ええ。アンタたちと食べるの好きだしね」
そう言って、俺たちはもう一度乾杯した。
◇◇◇◇◇◇
魔法学園の教師たちからは残念がられたが、最後の模擬戦を終えた。
魔法学園は三年制で、結局俺とカグヤは殆どの生徒の相手をした。ま、誰一人として俺とカグヤを傷付けることはできなかったが。
けっこうアドバイスもしたし、これからの生徒たちに期待しよう。
最後に、教師たちからお礼の言葉をもらい、冒険者ギルドに報告。これからの模擬戦相手は他の冒険者に依頼するらしい。でも、気が向いたら受けてくれとのことだ。
今日はフリオニールたちはいない。魔法学園は座学もあるので、宿題があるとか言ってた。というわけで今日は俺とカグヤとシラヌイだけ……なんか、フリオニールたちがいるのが当たり前だったからちょい寂しい。
「ふふん。四等四等~♪」
「なんだ、ご機嫌だな」
「まぁね。等級上がるの初めてだし」
「四等だけどな」
「ま、地道に行きましょ。で、今日は二人きりだし、何食べる?」
「そうだな……フリオニールたちはいないし、明日は討伐依頼を受けるし、前祝いで肉行こうぜ」
「お、いいわね。じゃあ焼肉!!」
「おっし。行くぞシラヌイ」
『わぅぅん!!』
今日は焼肉を食べ、明日に備えて早く寝ることにした。
そして翌日。再び冒険者ギルドへ……そして、依頼掲示板に貼ってある『アナンターヴァイパー討伐』の依頼書を剥がして受付へ。
「じゃ、これで!! ふふーん……今度は四等として受けるわ。問題ないわね!!」
「確認しました。依頼内容の確認です。標的はSSレート魔獣アナンターヴァイパー、討伐後は解体し、毒袋と牙と眼球を持ち帰ること。報酬は大金貨十枚。依頼者は魔法学園理事長ブリコラージュ様です」
「はいよ。毒袋と牙と眼球ね……えーっと、毒袋って普通の蛇と同じかな?」
「少々お待ちください…………過去の討伐記録によると、アナンターヴァイパーは八つの頭を持つ大蛇です。毒袋は頭部にあり、最も大きな頭部から取れる毒袋が好ましい……とあります」
「なるほど。つまり、頭を持ち帰ればいいってことだな」
出現場所は、デスグラウンド平原の森。イエロートパーズ王国から徒歩で半日くらいの場所だ。俺とカグヤなら走ればすぐに着く。
依頼を受け、俺とカグヤはギルドの外へ。
「ま、頭をぶった切って持って帰ればいいってことだ」
「楽でいいわね。それに、道中も魔獣がいたら狩るわよ」
「ああ、俺も第三地獄炎と第一地獄炎のオーバードライブをもっと試したい。のんびり行こうぜ」
「ええ、じゃあ行くわよ!!」
「はいよ。ってか仕切んなよ」
『わぅぅ』
さーて、SSレート魔獣倒してさらに昇格するぞ!!




