表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第六章・魔法王国イエロートパーズ/天使の炎と地獄炎
110/395

ミカエルとラティエルのフレア捜索

 聖天使教会十二使徒のミカエルとラティエルは、ブルーサファイア王国のリゾートビーチにいた。

 二人とも水着であり、ビーチパラソルの下で優雅に寝そべり、トロピカルドリンクを飲んでリラックス。ラティエルは大きく伸びをすると、細身なのに大きな胸がたゆんと揺れた。


「はぁ~……リゾート最高!」

「…………ねぇラティエル。あたし、あんたにフレアの居場所を調べてって言ったのに……ほんとにここにいるの?」

「ん~……もうちょっと待って。わたしの能力で捜索してるけど、まだ見つからないみたい」

「ほんと頼むわよ……教会を出ちゃったから量産型も階梯天使も使えないのよ」

「わかってるわかってる。それよりミカちゃん、ビーチボールで遊ぼうよ!」

「ビーチボール?」

「うん! ほら、あれみて」

「ん……」


 波打ち際で、男女がビーチボールを使って遊んでいるようだ。

 交互に打ち合い、打ち返せなかったボールが海に落ちる。負けた男は悔しそうに苦笑し、罰として浜辺にある出店でイカ焼きを奢っていた。


「ボール投げ合って楽しいの? つーか、あたしがあんたに負けるわけないじゃん」

「もーっ! すぐに勝負ごとに持っていくんじゃなくて、一緒に遊ぶってことが大事なの! ミカちゃん、せっかくの休暇だったのにずーっと寝てるし!」

「だってやることないし」

「だ・か・ら! それじゃ駄目なの!」

「な、なによあんた」

「せっかく私が遊びに誘っても全然遊んでくれないし、お部屋に行っても寝てるか留守だし、こうやって海で遊んでるのにミカちゃんは、ミカちゃんは……」

「わ、わかったわかった……遊ぶ、遊ぶから」

「…………ふふ」

「あ、あんた今笑った!! ウソ泣きね!?」


 ビーチパラソルの下で騒ぐミカエルとラティエルは、リゾートビーチをエンジョイしていた。


 ◇◇◇◇◇◇


 ビーチバレーは、ミカエルの勝利で終わった。

 十ポイント先取の勝負で十対一でミカエルの勝ち。一ポイント取られたのは、波打ち際に落ちていた貝殻を思いきり踏んで悶絶している間に取られたポイントだ。


「…………貝殻め」

「み、ミカちゃんが勝ったんだからいいじゃない」

「うっさいわね。つーか……なんであんたまでここにいるのよ」

「もちろん、ミカちゃんを綺麗にするためよ♪」


 ここは、ブルーサファイア王国で最も格式の高いリゾートホテル。

 一泊金貨二十枚という値段で、庶民は泊まることはできない値段だ。天使である二人は人間の通貨などいくらでも手に入るので、最も高い場所に泊まることにしたのである。

 そして、二人がいる場所は……個室の浴場。

 ミカエルが入ると、なぜかラティエルも入ってきた。風呂場なので当然ながら裸で、同性なのでお互いに隠しもしない。


「さ、こっちに座って。髪を洗ってあげる」

「えぇ~? 適当で「駄目」……わ、わかったよ」


 ラティエルが怖かったので従うミカエル。

 金色の蛇口をひねるとお湯が出た。ミカエルの髪を優しく濯ぎ、植物の油から作られた液体せっけんを手に取る。そしてゆっくり優しく泡立て、ミカエルの髪を洗っていく。


「うん、やっぱりいい……ねぇミカちゃん。人間の作った石鹸、とってもいい匂いだし髪もサラサラになるよね」

「んー……どうでもいい。それよかさっさと終わらせて」

「はーい」


 髪を洗い、ついでに手や足、身体も洗う。ミカエルは抵抗せず、ラティエルにお任せした。

 自分でやると適当になるのを自覚しているので、ラティエルに任せるのがいい。


「ミカちゃん。お肌も髪もすっごく綺麗……女の子なんだし、綺麗にしなきゃだめだよ」

「どーでもいい。どうせなら男に生まれたかったわ……」

「はいはい……うん、終わり。じゃあ湯船に」

「はいはーい」


 適当に返事をして湯船に。

 白い石を切り出して作られた浴槽には、キラキラしたお湯が波打っていた。しかも花が浮き、香りも素晴らしい。

 ミカエルはそんなのお構いなしに湯船に……。


「あぁぁ~……いいわぁ」

「ミカちゃん、そんな声出しちゃダメ」

「はいはー……い」


 湯を堪能していると、ラティエルも湯船に。

 しばし、無言でいると……ラティエルが言った。


「天使はすごいけどさ……何かを創造し生み出すことに関しては、人間の方が遥か先に進んでるよね……この液体石鹼も、お昼に食べたイカ焼きも、この建物も……」

「…………やめなさいよ。十二使徒のくせに、人間を褒め称えるの」

「…………うん、ごめん」

「ドビエル辺りが聞いてたら、やっかましいことになってたわよ。あいつ、人間嫌いで有名だからさ……以前、あたしに喧嘩売ってきたから叩きのめしてやったけどね」

「あ、そんなことあったね。ズリエルさんが大慌てでさ、ミカちゃんが」

「あのさ……前から思ってたけど、ミカちゃん言うな」

「えー……可愛いのに」

「それが嫌なの。あたしは聖天使教会十二使徒最強、炎のミカエルよ?」

「ふふ。私からすればミカちゃんはミカちゃんだけどね」

「はぁ……それより、さっさとフレアを探しなさいよ」

「やってますー……」


 ほんの少し、頭がボォーっとしてきた。


 ◇◇◇◇◇◇

 

 風呂から上がり、冷えたワインを一気に流し込むミカエル。


「っぷぁぁ~~~っ!! うんまっ!!」

「ミカちゃん、お行儀悪い」

「やかましい。あんたも飲みなさいよ」

「んー……それよりミカちゃん、服着てよ」

「暑いから後でね」


 ミカエルは、バスタオルを巻いただけのスタイルで下着すら付けてない。

 ワインをガブガブ飲み、顔を赤くしていく……どうやら酔っているようだ。


「はぁ~……きんもちぃぃ~~~」

「ミカちゃん、お行儀……ああもう、だらしない!!」

「うっひゃい!! あんたも飲みなしゃい!!」

「もう、お酒弱いくせに一気に飲むから」


 ミカエルはベッドにダイブ。タオルがはだけお尻が丸見えだった。

 とても十二使徒最強『炎』のミカエルには見えない。ラティエルはミカエルをベッドに寝かせ、布団をかぶせてあげる。


「さーて、ミカちゃんも寝ちゃったし……真面目に探すかな」


 ラティエルは、壁に手を付けて目を閉じる……そして数十分後。


「ん、みつけた……ここ、イエロートパーズ王国?」


 あっさりと、フレアを見つけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ