第4話 宅配司書ができるまで ⑭
アパートにキャンドルが灯る中、すやすやとラヴェンナの寝息だけが響く。
何か、何か方法はないか。
何世代か前のパソコンを前に、ネットの波をダイアンは浴びていた。
訪れた書店で書物も購入してきた。
まるで何かに憑かれたように。
彼女に相応しいもの。
その一点が胸を占める。
どれくらいそうしていただろう。
ある時、仕事について書いたある書物の職業欄に目が止まった。
「……これは」
夢中になってその文字が書いてある書物を探しては読み漁る。
本に関するエキスパート。
人々に本を提供し、本に関する質問に答える仕事。
それだけではない。本の紹介の実演や、読み聞かせ。専門業務は多岐に渡る。
――理想的と言える。
「だいあん、さん」
ふいに顔を上げると、目をこすりながら、ラヴェンナが今日買い与えた本を揃えて持ってきていた。
「眠らないと身体に障りますよ」
注意するが、少女は首を横に振る。
「みて、ください」
まだまだ、脳に浮かんだ言葉を形にするまでタイムラグのかかる回路で。
「はっぴょうかい、したいです。わたしも」
はっきりと、ラヴェンナは言った。
「ほんのはっぴょうです」
ダイアンの脳裏に、『スフィア・ビブリア』の児童書コーナーで見た光景が蘇る。
読み聞かせの後、手を上げて絵本の感想を言っていた子どもたち。
知らぬままに頷き、彼は彼女に、語りを促していた。




