第3話 宅配司書と女学生 ⑬
ブックトーク
開催場所:ロンドン エーシェント大学 女子学生寮
対象者:スウィーティ・ハニービーンズ
テーマ:『孤独からのギフト』
あなたに以前、アンデルセン童話の『ナイチンゲール』をお勧めしたのを覚えておられますか。
読んでくださったのですね。『愛らしい物語だった』――そうですか。
ではここからもう一歩、物語の世界へ踏み込んでみましょう。
王様は美しい声の鳥ナイチンゲールを捕まえ歌わせます。
ところが、ダイヤモンドとルビーで飾られた金のナイチンゲールが手に入ると、それまで歌っていた生身のナイチンゲールはあっさり森に放されてしまいましたね。
ナイチンゲールは森から、たった一羽、王様の寝室を眺めたでしょうか。
黄金にルビー色に輝き、ネジを巻かれて歌う鳥を羨ましそうに、つぶらな目を細めて。
自分だけをよそにして談笑する家族を見つめるどなたかのように。
孤独、だったでしょうか。
『物語に続きがあってよかった』――そうですね。
月日が経つと、金のナイチンゲールは壊れ、王様は病気になります。
頼むからもう一度歌ってくれと、金のナイチンゲールに王様が涙ながらに頼んだその時、鈴を振るような歌声がそばで響き渡るのです。
かつて捨てられた、あのナイチンゲールが、王様をなだめに来たのです。
王様を病から救ったのは、黒く地味な生身のナイチンゲールでした。
打ち捨てられた孤独の果てにギフトがある――それを示す本がこの世にはあります。
孤独がもたらしてくれるほのかな光。
それらを感じられる本を集めてみました。
美しい声でさえずるナイチンゲールのように、大空を自由に飛べたら。
幼い頃一度は誰もが描く幻想。
飛行機により、今やそれは幻想でなくなりつつあります。
新大陸を開拓していった大航海時代があるように、航空業界にも、人々が命を賭して空を開拓していった時代があり、そこには多くの命が星の彼方へと潰えた黎明期もありました。




