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第1話 宅配司書と作家志望 ⑰
次に紹介する本はルーシー・モード・モンゴメリが著した『青い城』です。
カナダのデイアウッドという田舎町で、二十九才のヴァランシーは結婚できずに周囲からオールドミスのそしりを受けています。
アウトサイダーに自らなったというより、ならざるを得なかった悲劇的な彼女。
極めつけには医師から心臓病によりあと一年しか生きられないと告げられるのです。
自分は今まで生きてすらいなかった。それなのに死のうとしているのか。
序盤の描写は実に暗澹としています。
ですがどうぞここでページを繰る手を止めないで。
中盤から、彼女は自ら雄々しいアウトサイダーに一転します。
どうせ残り少ない命。言いたいことを言ってやれ! ひらきなおるのです。
思うままに親戚に意見し、気になる人にアタックまでする。――いいえ、それどころか、自分から結婚の申し込みまで、大胆にもやってのけます。
女性が妙齢になっても結婚できないことを恥とする親族一同に彼女は言い放ちます。「あなたたちが恥と思うことと、わたしが恥と思うことは違うの」
そんなヴァランシーは見ていて気持ちがいい。
彼女は心の中に青い城を持っていると言います。
そこでは幾多の恋人たちが彼女を訪ね、優雅な暮らしをする。
家族に反発しついに家を出た彼女の行く先に青い城はあるのでしょうか。




