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第1話 宅配司書と作家志望 ⑩

 その日から人が変わったように、プルメリアは書斎にこもり出した。

 ウィスタリア私立図書館から取り寄せた書物を熱心に読みふけり、また自らもアルファベットで記していた。

 猛烈に。

 ラヴェンナには追加業務として作業の合間のお茶汲みや世話が任じられた。

 ある日掃除を命じられて入ったその部屋に散らばったものを組み合わせると、物語ができあがった。

 ヨーロッパの架空の小国を舞台にした、王女の冒険譚だった。



 雑事の傍ら扉の隙間からそっと窺えば、小麦色の肌の美女が吐息をついている。

 あるページの右面を強調するように左面を下に織り込んだ、イギリスの文芸誌。

 美女はほうと吐息を吐く。

 今月も、選外。

 小さく呟かれた言葉を、はたきをはたきながら、ラヴェンナは確実に、捕らえる。


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