情報交換会
「あっははっはははは・・・。お、おっかしい・・・。
ぶふっ。リアが悪役令嬢でアルが俺様王子？それで俺も攻略対象者？
ま、まさか乙女ゲームまで出てたなんて・・・・。
だ、駄目だ笑いが止まらない・・・」
笑いを堪えることなく兄は思いっきり大笑いしてますよ。
こんなに笑う兄は初めて見ました。
これは兄の素なんでしょうか。
あ、今の状況は昨日の件の確認が終わって王子の部屋で私が隠していたことをぶち明けたところです。
王子も兄も乙女ゲームの存在を全く知らなかったようで、内容を聞いた兄は大笑いしています。
王子の様子はわかりません。
何故かって私が怖くて顔を上げられないからです。
「なるほどねぇ。ドーラから謎な発言が多いなって思ってたけど、
まさか乙女ゲームがあったとは予想もしなかったなぁ。
はぁ。でもこれでちょっとすっきりしたよ」
謎が解けたよと笑いまくりながら兄はいいますが、私は全くすっきりしていません。
王子も何か一言くらい言ってくれないですかね。
そしたら私もどういう行動をとるべきか決められると思うんですが・・・。
うぅ。本当にどうしましょう。
「ミリーは昨日の件はその乙女ゲームのイベントだと思うのかい？」
突然の感情のない王子の言葉に反射的に顔を上げてしまい、そのまま私の顔は凍りついていると思います。
何しろ王子の顔は声と同じく無表情で、そんな顔は私の記憶の中では初めてでした。
やはり、拒まれてしまうのですね。
体が冷えていく気がしますが、泣くわけにもいきません。
私も顔に表情を出さないように答える事にしました。
「似ているとは思いますが、本来私と王子と出は起こるべきイベントではありません。
それなのに破落戸達は私の指示で襲ったと言いました。
強引とはいえ、イベントの流れには似ています」
「こっちのイベントではマーケットの妨害が多いんだよね。
こっちは悪役王子の指示なんだけどさ。
実際にマーケットは最近トラブルが多いんだよね。
最初の頃は王子が裏で牛耳ってる設定だった盗賊が動いてたんだけど。
最近は関係ないのも動いてるって報告がきてるよ。
これってそっち関係？」
兄は私達の様子に気付かないふりをしているのかそれとも敢えてなのか何時も以上に明るい口調で喋っています。
「乙女ゲームでは２人の邪魔をする為にマーケットにも妨害していました。
ちなみに常に破落戸としか書いてなかったので組織なのかはわかりません」
「乙女ゲームだもんね。しかも家庭用携帯ゲーム機でしょ？
その辺は緩いよね。こっちは選択によっては胸糞悪いシーンもあったけどね」
遠い目をしながら言う兄の言葉に王子が一瞬、顔を顰めたのを私は確かに見ました。
そんなにひどいシーンなのでしょうか。
「ミリー。しばらく学校を休んで王城で過ごさないか？」
は、はいいい？
王子の言葉に私は思考が停止しそうですよ。
突然何を言い出すのでしょうか。
しかも王子の顔は未だに無表情。
何を考えているのかさっぱり理解できません。
「俺も賛成だな。リアの安全の為にもしばらくは王城にいるといいよ。
父上もこの件については賛成をもらっているよ」
「なっ！！」
冗談ではないです。
王子と気まずくなっている状態で王城で王子と共に暮らしてたら私の胃に穴があくじゃないですか！！
と言うか王子はどういうつもりで言ったんですかね。
「セシルが言った事覚えているかい？
最近公爵令嬢の指示だと言う破落戸が増えているんだよ。
最初はエヴェルス公爵家への嫌がらせかと思ってたんだけどね。
誰かが故意にイベントを起こさせている可能性もでてきた。
ミリーを陥れようとするならばそれなりの対策は必要だよね」
あ、あれ？
王子怒ってます？
何対して怒ってるのでしょうか。
全く分からないですよ。
さっきまでの無表情はどこいいたんですか。
「父上も静かに怒ってたよ？
売られた喧嘩は高値で買ってやるって微笑んでる姿を初めて見たな。
アル、黒幕見付けたら消しちゃってもいいよね？」
お、お兄様？
お兄様も今、笑顔でさり気無くすごいこと言っていません？
「もちろんだ。と、言いたいがそれは駄目だ」
よかった。王子はとりあえずまともらしい。
兄が不満そうに王子を見ていますが、消すなんてとんでもないですよ！！
「ただし、全て吐かせてミリーの潔白が証明されたならば何しても構わん」
ってええ！！！！！
王子まで何を言い出すんですか！！
兄は王子の言葉に笑顔になり、２人して不気味に笑っていますよ。
というか今は一体どんな事態になっているんですか！！
王子の無表情は私への拒絶ではなかったのでしょうか！！
さっぱりわかりません！！
