閑話・もう1つの物語 アルフレット視点
あけましておめでとうございます。
今年も精一杯頑張りますのでお付き合いのほどよろしくお願いします!!
「カローラがエヴェルス公爵令嬢と共にどっかにいった!?
あーもう!!昨日の今日だっていうのにカローラは何考えているんだ」
昼休み前に学院につき、ミリーをディックと共に探していた俺の耳に入った言葉に思わず足を止め視線を向ける。
声の主を探せばゲームの主人公だった。
思わずディックと顔を見合わせる。
(マーケットで何かあったのか?)
ディックが小声で聞いてくる。
そう言えばマーケットを監視してもらってる人間から報告書が来てたが、まだチェックしてなかった。
「お、落ち着いてよセシル!!あ・・・」
ディックに報告書の事を告げた時、主人公の前にいた少年がこちらに気付き、主人公もこちらに視線を向け無言のまましばらく対峙する。
このままどうするべきかと思ってるとディックがわざと聞こえるように言った。
「アル。昼休みが終わる前にリアの所に行くぞ」
そう言い、歩き出すのでディックの後について歩き出すと主人公の動く気配がした。
「待ってください。僕も一緒に連れて行ってください」
「理由は?」
ディックが素気なく言い、俺は何も言わずに傍観することにした。
「妹に用があるのですが、エヴェルス公爵令嬢と一緒らしいのです」
「あーそう。なら、リアの側にいたら伝えておくよ」
「なっ!!結構です。場所を教えて下さい」
「断る」
ディックは容赦なくきっぱり断り、主人公の顔は怒気が増していく。
後ろで成り行きを見守っていた少年がたまりかねて主人公の服をひっぱる。
「セシル!!殿下もいるのにその態度は失礼だよ」
「私は気にしない。学院では身分に関係なく平等にだ。
ところで君達の名前は?」
「し、失礼致しました。僕の名前はクルトと言います。
彼は幼馴染でセシルです」
「そう、クルトにセシルね。
先程、声が聞こえてしまったんだが、昨日の今日とはは何かあったのか?」
「え、あ、あの・・・」
クルトと名乗った少年はオロオロと視線を彷徨わせ、それを見たセシルと呼ばれた少年が溜息をつきながら口を開いた。
「昨日、僕達がついた時には既にいなかったで人伝に聞いた話だけですが、
エヴェルス公爵令嬢と名乗る金色の髪の少女がマーケットを荒らしたそうです」
「リアなら昨日は朝からアルとデートしてたよ。
デート場所がマーケットならアルもいたはずなんだけど?」
「昨日は平民街に行ってマーケットには行ってないよ」
ディックは先程から不機嫌な態度をずっと維持している。
セシルはディックと俺の言葉を聞くと深呼吸をし、先程まであった怒気を治めこちらに頭を下げた。
「失礼な態度で申し訳ありませんでした。
ですが、妹に用事があるのは事実です。場所を教えてもらえないでしょうか」
「わかった。リアは多分裏庭だ」
クルトはその場で別れ、俺達3人は裏庭に向かう。
裏庭にはディックがミリーに教えた秘密の場所があるらしい。
無言のまま裏庭の俺さえも知らない場所についた時、突然声が聞こえてきた。
「平民街で襲われた!?」
聞いた事のない少女の声に俺達は足を止める。
俺達の場所から姿は見えないが、ミリーの声も聞こえるからもう一人の声はカローラ嬢なのだろう。
聞こえてくる話に最初は疑問だらけだったが、どうもこの世界はギャルゲー以外のゲームの世界でもあったらしい。
(なぁ。この話俺達が聞いてたって知ったらリア怒らないか?)
(でも、ここまで聞いて退くわけにいかないだろう?
それにこれで謎が解けそうな気がしないか?)
小声でやり取りをしている俺達をセシルはジーッと見つめていた。
しまった、彼はこの状況を理解してないのかもしれない。
説明を求められても困るし、どうするべきかと考えているとセシルがポツっと呟いた。
(この場にいる全員が記憶持ちって事ですか)
・・・・。
記憶持ちって意外に多いのか?
考えながらも耳は2人の会話に傾けているとカローラが俺に話すべきだとミリーを説得している。
先程ミリーは、俺達の仲は良好だと言っていた。
それは少なくともミリーは俺に好意をもっていると判断しても間違いないはずだ。
ミリーが何故俺達が記憶持ちと思いながらも自分の事を言わなかったのかはわからないが、ミリーが俺に好意を寄せてくれてるのなら俺達の関係は変わらない筈だ。
考えているとセシルが突然”あのお節介”と言いながら俺達が止める間もなく2人の前に飛び出して行ってしまった。
セシルは余程妹が大切なのだろう。
現在トラブルに巻き込まれているように見えるミリーに妹が近づくのをよく思ってないようだ。
気持ちは分からなくもない。
(なぁ。このまま俺達ここにいたらまずくないか?)
ディックの言葉に確かにそうだと思い、立ち去ろうかと考えていると足音が近づいてくるのが聞こえる。
そして現れたのはミリーだ。
ま、まずいと思いながらも当初の予定を思い出した俺はミリーを城に連れて行くことにした。
当然、馬車の中は居心地が悪かった。
この後の事を考えて俺は小さくため息をつく。




