豊穣の国 ナスラク
やっぱり豊穣の国と言われるだけあるな。
市場には様々な種類の野菜に肉、果物がある。
ナスラクは内陸部に位置するため、魚に関しては
あまり流通していない。
その代わり野菜などの種類が豊富である。
少し歩いていると面白いものを見つけた。
『クラヒルの木』というらしい。
くるりと曲がった幹は赤色に染まっている。
手のひらより一回り大きいくらいのサイズ感だ。
なんでもナスラクでしかとれない代物らしい。
魔力のこもった土から生えたクラヒルの木は
食べれば魔力の回復速度が超アップ!という
スキルでどうにでもなる効果なためそこまで
そそられない。節約したいから買わないでおこう。
そう、左腕を治してもらわなければ。
町の人に聞いてみるかな。
「すいません、欠損した部位を治せる方をご存知でしたら居場所を教えていただけませんか?」
30代くらいの男の人にきいてみる。
「ああナスラクでは有名な人なんだけど、なぜ
知りたいんだ?」
「実は左腕をなくしてしまって」
「それは災難だ、居場所か。市場を抜けていった先に
その人の診療所がある。左腕を失ったから治して
欲しいとたのんでみれば治してくれるさ」
「ありがとうございました、いってみます。」
「ああ、気をつけて」
いやー親切な人だなあ。
とりあえず市場を抜けてその診療所に行ってみるか。
クライルにも診療所はあったがここは特に大きいな。
俺は診療所にはいる。
「受付はこちらです、」
聞こえてきたのは受付の女性の声。
俺は受付をして待つ。
「疾風さーん」
「はい」
呼ばれたため診察室に入る。
「左腕か」
医師が口を開く。
「ええ治していただきたく、」
「わかったよ」
例の医師はこの人なんだろうか、
見た目は12歳くらいの女の子だ。
髪は真紅に染まり瞳はエメラルドグリーンに染まっている。すると彼女は口をまた開く。
「再生開始 対象に欠損部分の再生力を与える」
特に変わった様子はない。
「一日経てば左腕は戻るよ。」
「ありがとうございました、名前をお伺いしても?」
「カラウ・メイよ、て名前知らないできたの?」
「すいません」
「まあいいけど。なんで左腕をなくしたの?」
正直にいうべきだろうか、
「ナスカラに向かっていた時、
途中で魔族と交戦して左腕を消し飛ばされました。」
「ちなみにどこで戦ったの?」
「クライルの砂漠地帯あたりですが」
周りにいた看護師たちの顔が青ざめている。
「よく、生きてたわね」
「運が良かったんです。」
なんで青ざめているんだろう。気のせいか。
「質問に答えてくれる?」
メイは目を閉じてまた開く。
エメラルドグリーンだった目は赤色に染まっていた。
「一つ目、出身地は?」
なんの意図があるのか質問がはじまった。
「クライルのはずですが、詳しくはわかりません」
「そう、2つ目、目的地は?」
「アリスカラですが、」
「3つ目、あなたのスキルは?」
「この質問に何の意味が?」
「スキルは?」
言葉でゴリ押し戦法らしい。
「物質に能力を付与できます」
「それだけ?」
「はい」
「最後の質問、魔力はどのくらいの量もってるの?」
「どのくらい、とは?」
「はかってないのね、わかった、じゃあこの箱に手を入れて。魔力はこれではかれるから」
「わかりました」
「なるほどね、あなたの魔力は少ないのね」
「ええ」
杯の魔力があるためそこは微妙なため肯定を
しておく。
「嘘ね」
杯の魔力がバレたのか?
「すいません、古代の神器の影響で」
「これで質問は終わり」
「なんの意味があったんですか?この質問は」
「あなたの調査よ」
なぜそんなことを?と思いつつ話をさらに聞く。
「私はスキルを2つ持ってるの」
「一つは情報をとりだすスキル、二つ目は他者に
回復能力を付与するスキル」
スキルを2つ持っている人間にははじめてあった。
まず1人につき1つのスキルではないということか。
メイは話を続ける。
「アリスカラに私もついていっていい?」
正直嫌だ、1人の方が気が楽だし。
「なんでですか?」
一応聞いてみると、
「アリスカラに用事があるの。」
「すいません、1人で行きたいんです、」
「嫌だって思ってるでしょ」
スキルで見抜かれたのか。
「私はね正直仕事が面倒だから遠くにいきたいの」
「旅行したいということですか?」
「まあ簡単に言えばね」
「この診療所は?患者が来たらどうするんですか?」
「ナースに任せておくわ」
ナースはそれでいいんだろうか。
「困ります!」
困り顔をした看護師たちは言った。
「じゃあ休診ねー」
実に気ままなメイであった。
「話に戻るけどあなたについていっていい?」
「嫌です」
「道中でまた腕を失うことになるかもよ?
そしたら私の出番よね?つまり連れて行くが吉!」
「嫌です」
俺は首を横に振る。
「私ナスラクの国王と知り合いだからブランジュまでの魔法陣を使わせてもらうこともできるわよ」
それは魅力的だ。一気に移動できることは
アリスカラに向かっている俺にとって好都合。
「お願い!連れてって!」
「わかりました、」
「やった!」
こうして喜びでガッツポーズを決めている女と
アリスカラへ向かうことになった。




