第84話 女の子の気持ち
「こっちに視線ください」
「えと……」
サークルも撤収。
私と春人はコスプレの広場へ。
カメラマンさんの被写体になっていた。
――パンツまで撮られるのは如何な物か。
けど、
「えへへ」
春人は嬉しそう。
大人の男の人にエッチな目で見られるのが大好きらしいので、今はその本願の境地……というと犯罪臭いですね。
「座り込めますか?」
「はい……」
媚び媚びのポーズ。
私も付き合う。
一応、春人に衣装を作ってもらったんだし、このくらいは。
「確実に呟かれるよね」
「えへへ……」
嬉しいのね……。
わからない世界。多分この先も。ちなみに名刺も用意していた。コスプレイヤーまで、私たちに注目している。
そりゃ私は在る意味で陰陽姉妹の原作なのだから、三次元の壁ぶち破ってるけども。
「凄いですね!」
「まんまって感じで!」
「再現率高すぎ!」
そんな御様子。
うーん……罪悪感増し増し。
普通に私基準での陰陽陽子なので、ある種の二次元の三次元化であるのは否定能わないのも事実で。
「今度合わせしませんか!?」
「私も!」
「あたしも!」
「とりあえずそれは後刻として」
名刺だけ渡す。
呟きサイトのアドレスを記してある。
「じゃあ目線ください」
「はーい」
「はい……」
パシャリ。
モデルってこんな感じなんでしょうか?
もちろん違う事は知ってるけど……なんかこう、ニヒリズムとか。
さりとて人は、立ち帰らず。
「人気ですね」
「陽子さんが……可愛いから……」
「春人も可愛いですよ」
「あは……」
蕩けるな。
セクハラしたみたいな気分になる。
それからある程度、写真を撮られ、
「これで呟かれるんですよね」
心底脱力。
今日の処は着替えることにした。
コミマも無事終わり、私は残っているサークルを巡って、同人誌漁り。
人気のサークルはさすがに完売している。
けれど、掘り出し物はあるものだ。
「百合系……?」
ギクリ。
春人が私の手元を覗き込んでいた。
そりゃ然もあろうけども。
いまは金髪碧眼だ。
前髪をヘアピンで纏めているので、ぶっちゃけ異国の人形のように可愛らしい御尊顔をしていらっしゃる。
これがコスプレでなくて、地だというのだから畏れ入る。
「女の子の知り合いがいないから」
今は、ね。
「女の子と……仲良くしたいの……?」
「それはまぁ」
春人が言うと、少し怖じ気づく。ぶっちゃけ女の子以上に女の子らしいのが春人=アンデルスだ。
「僕は……?」
「可愛すぎ」
サムズアップ。グッと。アーイルビーバック。
「何人分……?」
「五人分」
我ながら何言ってんだ……って話だけど。
「陽子さんも……可愛いですよ……」
うん。
知ってる。
「妬み嫉みも飽きたから」
「だよね……」
陰キャ帝国。
「春人はまだパパ活やってんの?」
「えと……はい……」
「エッチな目で見られて嬉しい?」
「ゾクゾクします……」
ドスケベですな。
「女の子に生まれたかったの?」
「どうでしょう……? アニマが……強いだけな……気もしますけど……」
「女性嗜好ね」
「はい……」
「その意味で無害よね」
「?」
となる春人でした。
「友達続けられそうって事」
「えへへ……」
愛らしく笑む春人さん。
そんなこんなで、帰って来たご先祖様を放っておいての大戦は終わり、日は西に沈むのだった。
なんか不条理なことを考えた気もするけどスルーの方向で。




