修行の始まり
すいません。仕事が多忙な時期であったのと、ストレスで体調を大きく崩していました。
1話1話は短くなるかもしれませんが、少しずつ更新を再開します。
毎日更新は難しいですが、大きく間が開かないよう、完結までがんばります。
面接の後、モルヴェントは信用できる人物を何名か頼り、リチアが孤児院から王都へ身を移しつつも、紋の修行に専念するための環境づくりを行った。
――浄化の紋の成長に遅れがみられる。紋の育成に専念できる環境を整え、経過を観察することにする。
事実を歪めない範囲でモルヴェントが報告すると、意外にあっさりと承認された。
ヴィヴィアナがその意見を後押ししたのもあったし、何よりも『浄化』の紋の成長が、他の紋に比べ芳しくないのは事実だったからだ。
生活に必要な雑貨や衣類は現地で取り揃えることとなり、孤児院には私物のようなものも無かったため、面接を受けたその翌日から、すぐさま王都での生活がスタートした。
費用はすべてモルヴェントの負担だ。
王宮が予算を出そうとしたが、出費を盾に妙な縁ができても厄介なので、モルヴェントが断固として拒否していた。
「週に2,3回。『浄化』の力を発現するための訓練を行う。それ以外の紋の育成法については、ここにある書類に纏めておいた。午前の時間に欠かさず行え。その後はしっかり休息を取れ」
「紋の力は使えば使うほど成長すると聞いたのですが」
「お前はやりすぎる気がある。必要以上の鍛錬はかえって効率を落とす。休む時間もしっかりと作れ」
リチアは今まで一日のほとんどを、最低限の休憩以外は、けが人の治療や『浄化』の訓練に割いていた。始めは激しく疲労したものだが、使命と思ってやりきるうちに、疲労にも慣れてしまっていた。
「……あの」
「なんだ」
「休息って、何をすればいいでしょうか」
顔を赤くしながらリチアが尋ねる。質問していて恥ずかしくなったらしい。
休め、というよりは『好きに過ごせ』のようなニュアンスだとリチアは受け取っていた。実際にモルヴェントもそのつもりで言っている。
だが、今まで何もかもを人に教えられてきたリチアにとって、自由とは不安だった。
少し深刻そうな息が鉄仮面の奥から漏れる。
リチアも羞恥と情けなさから、服をきゅっとつかんだ。
「王都を歩いて、人と世界を見てみろ。散歩だ」
「散歩……」
「訓練の前に、感想を聞く時間を作る。散歩の感想を教えてくれ。言っておくが正解は無い」
「……」
「歩いて、お前の言葉を探すんだ」




