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第2話 通知の意味

消えるはずの表示が、視界に残っている。


 内容は、もう分かっている。


 噴水の音も、人の声も、風も、

 正しく存在している。


 だが、同時に重なると噛み合わない。


 気になるのは、反応までの余白。


 一歩、足を動かす。


 視界の奥が、わずかにずれた。


 音も気配も、一拍遅れて届く。


 景色は変わらない。

 だが、立っている位置だけが違う。


 白と金の粒子が集まり、形を成す。


 二つ。


 空に、火の色を含んだ鳥。

 地に、夜色の狼。


 右上と左後方。

 配置だけが、最初から決まっていたようだった。


 案内役は話し続けている。

 周囲の誰も、反応しない。


 世界は、これを異常として扱わない。


 噴水の水面に、自分の背後の影が映る。


「……基準値を超えたのは、私じゃない」


 案内板ではなく、外縁を見る。


 境界だけが、揺れている。


 一歩、近づく。


 まだ、どこかへ移ったわけではない。

 それでも、誰とも同じ場所にはいない。


 警告が灯る。


 【初期観測行動が基準値を超過しています】


 閉じない。


 世界が、

 彼を「想定通りの測定対象」として扱うのをやめ始めた瞬間だった。

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