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幕間 天下無敵のスーパーロボットが必要なのでしょう?

 さて、アイビーさんの教導と、学園での勉学どちらも順調に進んでいる……といいのですが。


 一つ私に問題が発生してしまったのです。


「リーリエ、お前にお客さまだ、帰ってきなさい」


 なんと、お父様直々に帰ってくるようにとのお言葉、まるで思い当たる節はありませんが、帰って来いと言われてしまえば、帰らねばならないですわね。




「お邪魔しております、リーリエ様」

「チェンジで!!」


 視線の先には実に、それはもう実に胡散臭い男がいるではありませんか。


 顔は悪くないのですが、それが余計に胡散臭く見えます。


 髪型はそれはもう胡散臭い、あまりにもソレらしいからこそ胡散臭い貴族そのものです


 声も服装も何もかもが胡散臭いのです。


 ここまで胡散臭い要素だけで作られた人間を見てしまえば、私が即座にチェンジと宣言したのも悪いはずがありません。


えぇ、人を外見で判断してはいけないというのは、概ね納得がいくのですが、ここまで露骨に胡散臭い方だと、例外に入れたくて仕方がないと言いますか。


 どうしてこんな方を、お父様は家に入れたのか。お母さまはそれを受け入れているのか。


「私には分かりませんわね」

「分からなくていいのさ、大事なことは彼がリーリエの力を必要としているということだよ」


 私のつぶやきを聞いていたのか、部屋に入ってきたお父様の姿。


 今では珍しいですが、その姿は聖機士に搭乗する時に必要となるナイトスーツ。


 端的に言えば、搭乗者が戦闘時の衝撃で倒れたりしないように保護するためのソレを身にまとっているではありませんか。


 ……はっきりと言って普段着にするような着心地では断じてありません。


 劣悪とまでは言いませんが、少なくとも長い時間着ていて気持ちがいいモノでありません。


 シミュレーターでそれを着る必要も無いということは逆説的にあることを意味します。


「……出撃する必要があると?」

「あぁ、そしてお前にも出てもらわねばならん」


 さて、お父様が出て勝てないというのは、それこそ世界トップランカーの化け物が現れることを意味します。


「……私を買いかぶりすぎではありませんか?」


 はっきりと言って、真面目にそう問わねばならない。


 私は学生で、素人で、戦闘のプロではありません。


「あぁ、私もそう思っている……だが、彼は違うと言うようでね」


 お父様が手を伸ばした先にいるのは、胡散臭い笑みを浮かべた男。


「っと、失礼名乗り忘れておりましたね、私は……とても遠い場所からやってきた、そうですね詩人とでもしましょう」

「名乗るのならば、職業よりも先に名前を名乗りなさいな」

「おっと、重ね重ね失礼」


 実に胡散臭い。それっぽい詩人とか名乗ってる辺りが実に胡散臭い。


 ついでに言えば服装も、この世界とは別というか、出てくる作品の世界観ジャンルが違うと言いますか。


 乙女ゲーム風世界という以前に、そもそもこの世界はロボはいますけれど、剣と魔法のファンタジー的な世界観ですもの。


 この男、明らかに胡散臭いスーツです。それも、広義の意味ではなく、狭義の意味です……えぇ、背広です。


 あまりにもこの世界観で出てくるには違和感のある服装……、えぇ、それはもう違和感です。


 まるで、個々とは違う世界の人のような――。


「私はウサンク、ウサンク・サイーゾというものです」


 名前まで胡散臭すぎませんかねぇ!? いや、まさか名前が胡散臭いぞはないでしょう!?


 自分でその名前を名乗っていることに違和感がないのですか!?


「で、リーリエ様に力を貸していただきたい理由ですが……世界の中には文字通り、物語の主人公のように世界を動かす要因となる人間がいるのです」

「……まさか、私がそれだと?」


 ありえない、私は主役よりもライバルキャラの立ち位置でしょう。


 なにせ悪役令嬢と思われる立ち位置ですもの。


 それが主人公の立ち位置……冷静に考えるとありそうですわね。


 とは言え、仮に私がそうだったとしても、まだまだ未熟な――。


「未熟結構、これより貴女に力を貸してほしい戦場には、貴女が本来経験できない戦いがあります」


 本来経験できない? ……妙なことを言いまわしね?


「そして、貴女が本来出会うことのない戦友たちと出会えます」


 出会えない……いやいや、まさか――。


「その中には貴女がよく知る英雄もいるかもしれません」

「行きますっ! 行かせてください! お願いします!」


 間違いありませんっ! 異世界です! それも鋼の勇者たちの祭典ですわ!!


 それはもう、私の理想の戦場ではありませんか!!


 ならば行かねばならない! たとえこの身が砕け散ろうとも!


「ははははっ、それはまた……ここまで喜ばれます?」

「もう二度と見ることができないと思っていた、推しとに直接会えて……しかも背中を守ることができる……一つの理想という奴ですわ」

「リーリエの言葉はよく分からんが、娘の望みとあらば叶えてやりたい、そして手助けもしたいのさ」


 お父様も共に戦っていただけるというのであれば百人力、この胡散臭い男が何者であろうと、私が知る彼らが戦う戦場だというのであれば、信じるに値するのでしょう。


「では、この世界とは別の世界で力をお借りします」

「どんと来いですわ!!」


 彼らが天下無敵のスーパーロボットが必要なのでしょう? ならばその端っこででも、私も力を貸す一人となりましょう!!

幕間の話は本編とは何ら関係がありませんので

リーリエの戦う戦場が気になる方は、別の作品魔鎧戦記ゴウザンバーもどうぞ

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― 新着の感想 ―
[一言] うわ、出た。 ロボ好きが夢の競演(と書いて祭)に参戦出来るなら手弁当でも行きますよね。
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