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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第七章 ジルド過去編
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第81話「被害者は賢者、犯人は仲間?」



前回のあらすじ……。


担当:ワルキメデス・アスヴァルト・グラウディーナ

今回はワシが担当かいな。

珍しい客が来よったと思っとったら、シュナイザーにベルナール、それとそのツレやった。

それと……もう一人“同胞”もおったが、まあそれは触れないでおこうか。

その事をクロームドに伝えようとしたら、海で溺れとったらしい。

さっきから仕掛けた“発信機”でやけに海をただよっとると思ったら、そう言う事やったらしい。

なんでワシがソレを持っとるかは、今は知らんでええ。

サファールは恐らく次の賢者、ブエノースを狙っとる。

そこへ向かうシュナイザーとクロームド。

どうサファールが動くか見ものやな……。



――帝都――



 ばくばくばくばく――

「なぁリード……」

 ばくばくばくばく――


「なんだいアーク……」

 ばくばくばくばく――


「俺達、“城下町まで送る”っていう話だったよな?」

 ばくばくばくばく――


「よそうアーク。君の言いたいことは分かる……」

 ばくばくばくばく――


「でもさぁ……なんで宿屋まで連れてってこういう事になってんだよ!?」

 アークはそう激しく訴えるが、オレはもう腹へってそれどころでは無かった。

 海を漂流した事で予想以上に体力を消費していたらしい。

 もういくらでも食えそうだ。


「ふひ~! ひっさびさに喰ったわ~」

 オレはとりあえず眼に付く物は全て平らげ、ムカツク笑みを作り腹を叩いた。


「食ったのはいいけどおっさん、金あんのかよ?」

 ん……? 金……?

 あれっ? オレ持ち合わせあったか?

 いや無いな、うん、探すまでも無く無一文だ。

 やべえどうしよ。

 ここはあれだ、大丈夫なふりしてトンズらこくしか無いな、うん。

 大丈夫、おっさんモードのオレの力を借りれば何とかなるはず!


「んん? ハッハッハァ! チミ達ぃ……おっさんを誰だと思ってるんだい? 1万Jなんてぇ、安いモンさぁ~!」

「いやていうかあんた誰だよ!?」

 我ながらなんて胡散臭い演技だ!

 このキャラ……ホントくせになりそうだな。


「ん? まあまあおっさんの事はどうでもいいじゃない」

 名前は知られてない筈だが、賢者である以上アークには正体を隠さなくてはいけないわけで、名前はなんとなく教えたくは無い。


「それより、あなたはどうしてあそこで倒れていたんですか?」

 金髪の友人が、おっさんに聞いてきた。

 アークによると名前はリードというらしい。


「あ? あぁ~、実はねぇ。無人島から脱出したのは良いけど、高波にさらわれちゃってね、近くの岸に流れ着いたんで帝都に向かおうとしてたって訳よ」

 嘘は付いていない。

 そもそも、あの時テレスの通信さえ掛ってこなければ転覆しなかっただろうが。


「それでおじさんはあの森で行き倒れたんですね。大変でしたね」

 心配そうに言ってくれるのは二人の連れのエルと呼ばれた嬢ちゃんだ。


「そうなのよぉ~! おじさん大変だったのよ~! もう長旅でやつれて、身も心もズタズタだわ」

 いやぁ~ホント死ぬかと思った。

 ここで出会えたのは幸運だったな。


「そこにいるのは……おや! アークにリードにエルじゃないの!!」

 そう大声で言ってきたのは、どうやらこの宿屋の店主のようだ。

 それから店主とアーク達はなにやら話し込んでしまった。

 よし、ここいらが引き時かな!


 んじゃさいなら~、とおっさんは心で言い残し、この場を去ることにした。



――帝都・城下町――



さて、とりあえず帝都へなんとか辿り着いたので、まずはマクラーレンに連絡を取ってみるか。

 オレはテレスを使った。

 指定された周波数を入力すると、すぐに繋がった。


「もしもし?」

『クロームドか。無事だったのか?』


「まあ……一応ね。で? 前回の話、詳しく聞きたいんだけど。どこ行けばいいの?」

 ザイルと騎士団が繋がっているとして、一体何を企んでいるのやら。


『ああ……、実はな、俺は急遽編成された騎士団の作戦部隊に組み込まれて、今はドーイング付近にあるバスキルト砦へ向かう事が決まっている』


「バスキルト砦!? 実はオレもとある筋から情報を手に入れたんだが、ザイルは今バスキルト砦に居るらしい。目的は多分ドーイングに住んでいる賢者の殺害だろう」

 まさかこんな偶然があるとはな。

 丁度いい、オレもこうなったらドーイングへ向かうしかないな。

 

『本当か!? よし、俺は今騎士として活動している以上、砦に入るまで単独行動出来ない。砦内で合流しよう。こっちは明日午後出発する。砦内なら人気は少ない。そこで俺が調べた情報を話そう』


「ん~分かったわ。こっちは念の為向こうの賢者と接触を図りたい。早めに出発しておくわ」

『了解。それじゃあ、砦で会おう』

 そう言って、マクラーレンはテレスを切った。


「さあて、なにやら面白い事になってきたねぇ」

 オレは自然と笑みを浮かべていた。

 ここ最近、全く進展が無かったザイルの事が着々と分かってきている。

 マクラーレンに会えば更に分かる事は多くなるだろう。


 だが同時に、もう新たに二人の賢者が犠牲になっている。

 これ以上増やさない為にも、先を急がなければいけない。



――ドーイング――



ドーイングは酪農の村という二つ名で有名だ。

 その長閑な雰囲気と、田舎であるにも関わらず、広大な土地を利用した立派な家や施設がある事から、古めかしい感じもしない、まさに“新しい村”だ。

 だが、オレが着いた頃には、長閑どころか、村中が慌ただしく、騒然とした雰囲気だった。


 村の中を騎士が走り回っていたり、村人は家に引きこもり、商店はしまっているか空いていても客は少なかった。


「ちょっと、オレ余所から来たんだが、なんかあったの?」

 その辺の中年騎士に聞いてみた。


「せっかく来たのに災難だったねおじさん。ついさっき、村で殺害未遂事件が起こったのさ。しかも、刺されたのは帝都即応艦隊の、アレン・ブエノース大佐殿。上の連中は只でさえ忙しい時にって怒り狂っててさぁ」

 やれやれ、と中年騎士は両手を広げる。

 どうやらとんでもない時に来てしまったらしい。

 マクラーレンの奴が変な事で巻き込まれなければいいが。


「へぇ……ちなみに、犯人は捕まったの?」

 オレの目的に関係は無いが、興味本位で聞いてみる。


「ああ、現行犯だったらしい。名前はルネ・アーサス。なんでも大佐殿の姪だったらしい。本人は容疑を否認してるらしいが、ここの駐留軍長、ウェルナー大尉に目を付けられればお終いさ」

 ん……ルネ・アーサスって……まさかあのアークとサリー島で一緒にいた?

 まさかね……。


「おっ、丁度今戻ってきた所だな。あの女だよ」

 中年騎士が言った。

 犯行現場から取り調べ室へ向かう所らしい。

 どれどれ……って。


「だからあの剣はその辺で拾った奴で、魔物を斬った時に血が着いてただけだって言ってるでしょこの!!」

「うるさい! 黙って歩け小娘が!」

「小娘で悪かったわね! このブ男!」

 

 …………あぁ、間違い無い、オレの知ってるルネ・アーサスだな、あれは。


 えっ、ていうかマジなのか?

 マジで殺っちまったのか?

 うーん……それは物凄く気になる所だが、それよりまず賢者に接触を取らなければ。

 これに関してはこれからアーク達が来るだろうし、ルネの方は少年達に任せよう。


 と、ここまで考えて、そう言えば賢者の名前を知らない事に気づき、ワルキスに連絡を取って確かめると、


『あぁ、そうやったな。名前はアレン・ブエノース。帝都即応艦隊の大佐や』

 と帰って来たので、色々驚きで声が出なくなった。


「はぁ!!? だってその人、今ドーイングで傷害事件の被害者って騒がれてるけど!?」

『ほぉホンマかい。なら多分サファールにやられたんやろうなぁ。ま、一足遅かったっちゅー事やな』


「ちょっと待て! こっちの騎士の話だと、犯人は現行犯でルネ・アーサスっつー嬢ちゃんになってるぞ? お前ん所にも来ただろ」

『おお知っとるで。なら、それが間違いってことやな。今ドーイング駐留軍は魔物の凶暴化と大量発生でてんてこ舞いや。多少捜査がいい加減になっとる可能性は十分あるっちゅー事やな』

 なるほど……さっきの騎士が只でさえこんな時にって言ってたのはこの事だったんだな……。


 しかし……、これはこれでまた厄介な事になってきたもんだ……。



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