↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後ノート〜翠明高校ライティング部〜  作者: やた
13.リライト・フレンドシップ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/103

08.先輩からの言葉

 数日後、湊、結衣、くるみの三人が丹精込めてリライトを重ねた『翠明高校まるごとレポート』は、Webメディア『Writia』に正式に公開された。


 公開直後から、その反響は凄まじいものだった。小野寺拓海が部室の大型モニターに映し出したアクセス解析のグラフは、見たこともないような角度で垂直に上昇していた。


「おいおい、見てみろよ!アクセス数が通常の定例記事の倍以上に跳ね上がってるぞ!特に、外部からのアクセスと、受験生や保護者向けアンケートの回答数が過去最高値を叩き出してる。データの裏付けは完璧だ。お前ら一年生チーム、本当にやりやがったな!」


 拓海がハハッと自信満々に笑いながら、湊の肩を強く叩いた。隣では中野太陽も「マジですげえじゃん!」と我がことのように飛び跳ねている。


「コメント欄も大絶賛だぞ。『進学の実績や設備が分かりやすくて安心した』っていう保護者の声もあれば、『ダンス部やサッカー部の先輩たちの話がエモすぎて、絶対に翠明に入りたくなった!』っていう中学生の書き込みもたくさんある。結衣ちゃんの綺麗なロジックと、くるみちゃんの熱いハートが、完全に融合して大爆発したって感じだな!」


 三村陽菜も「本当によかったわねぇ」と、どこか母親のような優しい眼差しで一年生たちを見つめている。高城陸も静かにカメラの手入れをしながら、「……良い記事。写真も生きてる」と短く、けれど最大のリスペクトを込めて呟いた。


 完成した記事の画面をスマートフォンの液晶で見つめながら、結衣とくるみは、これまでにない確かな達成感を共有していた。


 部室の空気は、あの翠明祭直後のピリピリとした冷戦状態が嘘のように、温かく良好なものへと戻っていた。ライティング部と生徒会、それぞれのメンバーが互いの端末を見せ合い、健闘を称え合う。言葉が境界線を越えて、二つの組織をより強く結びつけた証拠だった。


 その日の部活が終わった後。


 すっかり秋の夜長が本番を迎え、帳が降りた学校の玄関口で、湊はカバンを肩にかけ直して一人歩き出そうとしていた。二人の美少女の間で右往左往し続け、心身ともにエネルギーを使い果たした湊は、心地よい疲労感の中で大きく息を吐き出す。


「おい、湊!ちょっと付き合えよ」


 不意に背後から、聞き馴染んだ爽やかで快活な声が響いた。振り返ると、遠藤駆が、ブレザーのポケットに手を突っ込みながら白い歯を見せて笑っていた。


「遠藤先輩……?ええと、何か用事ですか?」


「用事がなきゃ声をかけちゃ悪いか?ほら、行くぞ。今回の『まるごとレポート』、お前が間に入ってあの二人を最高の形で繋ぎ止めたんだろ。一ノ瀬からも聞いたぞ、お前のハイブリッド案がなきゃあのまま喧嘩別れだったってな。本当によくやった。今日は俺がお前に美味いラーメンでも奢ってやるよ」


「えっ、あ、いや、そんな悪いですよ……!」


「いいから付いてこいって!男には、美味いラーメンを食いながらゆっくり話さなきゃいけない夜ってのがあるんだよ」


 駆は快活に笑いながら、湊の首をぐいと腕で巻き込むようにして強引に歩き出させた。


「『ことのは通り』にある美味いラーメン屋、連れてってやるからな。戦略通りにリライトを決めた相棒への、俺からのささやかなご褒美だ。遠慮すんな!」


「あ、ありがとうございます……!」


 駆の強引だけど温かい優しさに包まれながら、湊はオドオドとしつつも、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じていた。自分には中身がないと思っていたけれど、先輩からこうして認めてもらえることが、何よりも嬉しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。