第7話
「……うぅ……頭が……割れる……」
翌朝。
壮真はギルド併設の安宿のベッドで、完全に二日酔いの状態で目を覚ました。
(昨日……何杯飲んだんだ……?バルドさん……絶対あれ殺す気だっただろ……しかもここは何処だ?)
なんとか体を起こし、ふらつきながら階段を下りる。
階段を下りると――
「壮真さん!?」
受付嬢リリアが驚いた顔で駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫ですか!? 顔色が……」
「だいじょぶ……です……」
「全然大丈夫じゃないですよ!」
リリアは慌てて水を差し出し、
壮真はそれを一気に飲み干した。
「昨日、バルドさんに飲まされたんですね……」
「……はい……」
「もう……あの人は新人を見るとすぐ飲ませるんですから……」
「で……リリアさん……ギルドは……宿もやっている……のですね……」
「そうです、1泊大銅貨2枚の格安料金です。ただし食事代は無しで素泊まりです。そして今回の料金はバルドさんからちゃんともらっているので安心してください」
リリアは呆れながらも、どこか楽しそうに笑った。
「それでは壮真さん、依頼を受けに来たんですよね?」
「はい……軽めのやつを……」
「分かりました。では依頼掲示板へ」
掲示板には昨日よりも多くの依頼が貼られていた。
リリアはその中から三枚の依頼書を取り出し、壮真に見せる。
■【薬草採取:ヒーリングリーフ10枚】
・危険度:低
・報酬:大銅貨2枚
・草原狼の生息地より手前の安全地帯で採取可能
■【草原狼追加討伐:3〜5体】
・危険度:中
・報酬:大銅貨5枚
■【ホーンラビット討伐:1〜2体】
・危険度:中
・報酬:大銅貨7枚
リリアは壮真の顔色を見て、苦笑しながら言った。
「……今日は薬草採取がいいと思います」
「……ですよね……」
壮真は二日酔いで頭がガンガンしている。
戦闘依頼は正直キツい。
「薬草採取なら安全ですし、草原狼の生息地より手前なので危険も少ないです」
「じゃあ……薬草採取でお願いします」
「はい、登録しますね。気をつけて行ってきてください」
壮真はギルドカードを受け取り、草原へ向かうためギルドを後にした。
ギルドを出て草原へ向かう途中、背後から豪快な声が響いた。
「おーい! 兄ちゃん!」
振り返ると、昨日の中年冒険者――バルドが手を振っていた。
「昨日はよく飲んだな! ははは!」
「……死ぬかと思いました……」
「新人はあれくらい飲んで強くなるんだよ!」
(絶対嘘だ……)
「それよりバルトさん宿代まで出してもらってすみません」
「いいてことよ!昨日の報酬は貯めといて、少しでもいい装備を買いな!」
バルドは笑いながら壮真の肩を叩いた。
「で、今日は何の依頼だ?」
「薬草採取です。二日酔いなので……軽めのやつを」
「はっはっは! 賢明な判断だ!草原狼は数が増えると厄介だからな。今日はゆっくり慣らしていけ」
壮真は少し驚いた。
「バルドさんって……意外と優しいんですね」
「意外ととはなんだ意外ととは!」
バルドは豪快に笑い、壮真の背中を軽く叩いた。
「兄ちゃん、冒険者はな――“生きて帰る”のが一番偉いんだ。無理せず、少しずつ強くなれ」
壮真は静かに頷いた。
「……はい」
「よし! 薬草採取が終わったらまた飲もうぜ!」
「いや、それは……ほどほどで……」
バルドは大笑いし、壮真は草原へ向かって歩き出した。
(よし……今日は安全に行こう)
新たな依頼。
新たな一歩。
そして――冒険者としての成長。
壮真の冒険は、まだ始まったばかりだった。




