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『無能と追放された俺のスキルは“その時不思議なことが起こった”でした』   作者: 楓真パパ


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第1話

四月の朝。

いつもと変わらない教室。


壮真は机に突っ伏し、

「……ねむ……」と呟いていた。


周囲ではクラスメイトがそれぞれの時間を過ごしている。


蓮は剣道部仲間と笑い合い


真理亜は参考書を読み


ひよりは友達とお菓子を分け合い


大地はスマホゲームに夢中


玲奈は窓際で静かに読書


俊は自撮りでキメ顔を作り


ことねはぼんやり空を見つめ


直哉は工具をいじっている


“いつも通り”の朝だった。


――その瞬間までは。


バチッ。


蛍光灯が弾けたような音。

次の瞬間、教室全体が白い光に飲み込まれた。


「うわっ!?」

「なにこれ!?」

「目が……!」


壮真は反射的に目を閉じる。

耳鳴り、浮遊感、足元の消失。


(……地震?爆発?)


違う。


光が収まった時、

そこは――教室ではなかった。


壮真はゆっくりと目を開ける。


「……は?」


そこは巨大な石造りの広間。

天井は高く、壁には古代文字のような紋様。

赤い絨毯の先には、王冠をかぶった男が立っていた。


クラス全員が無事だが、

全員がパニック状態。


「え、どこ……?」

「夢じゃないよね……?」

「なんかRPGみたいなんだけど!」


(いやいや、そんな漫画みたいな……)


しかし王冠の男が口を開いた。


「異世界よりの勇者たちよ!我が王国へようこそ!」


広間が静まり返る。


(……マジかよ)


王は厳かに語る。


「我が王国は今、魔王軍の侵攻により危機に瀕している。ゆえに、皆を召喚した」


クラスがざわつく。


「魔王軍……?」

「戦争してるのか……?」

「なんかヤバそう……」


壮真は王の言葉を聞きながら、どこか違和感を覚えていた。


(……魔王軍の侵攻が理由?でも、なんか言い方が妙に芝居がかってるな)


王の背後で、大臣たちがひそひそ声で話している。


「これでようやく“封印兵器”を起動できる……」

「異世界人のスキルは強力だ。魔王軍だけでなく、帝国との戦争にも使える」

「無能は切り捨てればよい。使える者だけ残せばいい」


大臣が杖を掲げる。


「これより、皆様に“固有スキル”を授けます。どうか期待していてください」


クラスがざわつく。


「スキルって……マジでゲームじゃん!」

「俺、絶対チート来るわ!」

「いやいや、私こそ!」


壮真はただ呆然と立っていた。


(……頼む、普通でいい……普通で……)


光が一人ずつ包み込み、頭上にスキル名が浮かぶ。


●神谷 蓮

剣聖ソードセイント


「おおおっ!剣聖だぞ!」

「王国の英雄だ!」


大臣たちが満足げに頷く。


●白石 真理亜

大賢者アークセージ


「全属性魔法……!?」

「王国の宝だ!」


●天野 ひより

聖女ヒーラーオブライト


「本物の聖女だ……!」

「癒しの奇跡……!」


●黒川 大地

竜操者ドラゴンテイマー


「竜を従えるスキルだと!?」

「戦争兵器じゃ!」


●三浦 玲奈

『影歩き(シャドウステップ)』


影に溶けるように姿が消える。


●佐伯 俊

重力操作グラビティマスター


床の石がふわりと浮く。


●水瀬 ことね

未来視フューチャーサイト


「……未来が見える……」


●藤堂 直哉

創造クリエイト


手のひらにナイフが生成される。


「次、高杉壮真」


壮真の身体が光に包まれる。


(頼む……普通でいい……!)


光が収まる。


頭上に浮かんだ文字は――


『その時不思議なことが起こった』


「…………は?」


「え、なにそれ」

「スキル名……?説明は?」

「いや意味わかんねぇ……」


大臣が鑑定魔法を使う。


「……説明欄が空白……!?使えん……!」


王様が冷たく言い放つ。


「無能か。不要だな」


「ちょ、ちょっと待ってください!」


王の冷酷な一言に連は

「おい、待てよ!壮真は――」


「黙れ、剣聖」

連を一言で制し王は続ける。

「高杉壮真。貴様は“無能”として追放する」


「……は?なんでだよ!勝手に呼び出しておいて使えないから捨てるって!?」

壮真は大声で抗議するが大臣たちは王の言葉は絶対だと口々に

「無能は切り捨てればよい」

「使える者だけ残せばいい」

と言い放つ。


そして壮真は、その日のうちに、城門の外へ放り出された。


装備なし。

金なし。

説明なし。


「……マジかよ。俺だけ無能扱いで追放って……」


風が冷たく吹き抜ける。


(……なんで俺だけ……なんでこんな……)


壮真は拳を握りしめる。


「……クソ。でも……生きるしかないよな」


その時――


カランッ


足元に、“ちょうどいい旅人用の剣”が転がってきた。


「……え?」


誰もいない。

風も吹いていない。

落ちてくるような場所もない。


ただ、剣だけがそこにあった。


「……まあ、いいか。武器は必要だしな」


壮真は剣を拾い、遠くに見える帝国の街を見つめる。


「……行くか。俺の冒険は、ここからだ」


壮真はまだ知らない。

自分のスキルが“世界最強のご都合主義チート”であることを。

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