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54/100

54話 細かい事は後で考えろ。ムカついたら、ただぶん殴ればいい・・・

威流たけるは見ていた。

醜悪なる化け物の姿を・・・



あれは、ゾンビの身体を繋ぎ合わせたムカデみたいなものなのか?

あんなものが自然に発生する事があるのだろうか?



遠くてよく見えていないが、胴体の節の部分が接合された感じだが・・・

ぬいぐるみの胴体に繋がっている接合部分が紐で繋げられ縫い目が見える、

正にそんな感じだ。



その部分だけにじゃない、あいつの脚の根元にも同様の縫い目が見える。

暴論かもしれないが、意図的に誰かがあいつを造ったようにしか思えない。



「何のために、あんなものを造る必要があったのか」


造られたものがおぞましければ、

製作者の思想もまたおぞましいと威流たけるは思う。


リリーは一体、こんなものに何を感じているのか。



巨大な化け物が動きが止まった。

化け物の下でAEDが何かしたのか?



威流たけるは動きの止まった化け物の頭頂部に、

上半身だけのゾンビが繋がれているのが見えた。



それが見えた威流たけるは絶望する。


「そんな・・・まさか・・・」



威流たけるが見たものは、上半身だけのゾンビの首元。

そこには貝殻で造られた首飾りが掛けられていた。



威流たけるは言葉を失う。



もしかしたら違うかもしれない。


むしろ、違っていて欲しい。


だが、多分間違い無い。



「・・・・・リリーの父親なのか」


なんであそこに父親が居るとリリーが知ったかは分からない。

きっと、泣いていた女性はリリーの母親なのだろう。


母親はリリーに父親が死んでいる事を伝えていないのかもしれない。

そして、まさかこんな事になっているなんて予想もしていなかったはずだ。



「幼い女の子になんて残酷な事を・・・」


あれを造った奴が、どんな目的があるかも分からない。

俺がやりたい事が正しいかも分からない。


だけど・・・


威流たけるはギリギリと強く歯を食いしばる。



動物を虐めている人を見た時。

子供に暴力を振るう親を見た時。

身勝手に他人へ迷惑をかける人を見た時。


そんな時に、威流たけるはこの癖が出る。



「リリーにこんな事していい訳ないだろっ!!」



目に宿る激しい怒りの炎。

拳を強く握り顔を上げ、威流たけるは化け物へ向かって歩き出す。


この時の威流たけるは後先の事など、もうどうでもよくなっていた。


ただ


”あの化け物はぶっ潰す!!”


それだけが頭を支配していた。



歩き出す威流たけるにスケルトンが襲い掛かって来るが、

意外な事に長剣の山賊僧侶がそれらを打ち払う。



そして、僧侶は何かを話し掛けてくるので、

威流たけるは巨大な化け物を指差し、手を握る仕草をして見せる。


何をするのか理解出来たのか、山賊僧侶は何かを大声で叫ぶと、

そこにゴーレム(見た目で判断)僧侶が後ろから駆け付ける。



山賊僧侶がゴーレム僧侶何かを伝えると頷き、

威流たけるの護衛に加わる。



ハードカバー過ぎる聖書で近寄るスケルトンを易々と砕くゴーレム僧侶。

山賊僧侶も行く手を阻むスケルトンを一刀両断していく。



村の入り口に着いた威流たけるは魔石を取り出す。

あいつを倒す魔法のイメージはもう出来ていた。



黄色の魔石を起動し火球を出し、それを紫の魔石の回転する風で包んだ。

緑の魔石で小石を集めて、更にそれを包む。


魔法で造った即席の”炸裂弾”



炸裂弾を右手で握り、投球体勢に入った。

化け物の動きに合わせてタイミングを計る。


山賊僧侶が化け物に向かって何かを叫ぶと、

どうやったのかは不明だが、AEDが化け物の動きを止めた。


威流たけるは振り被り、ありったけの力を込めて全力で投げる。



投げた炸裂弾は化け物を目掛けて真っすぐに飛んでいき、

もう当たる直前といった所で、AEDの拘束を解いた化け物が動き出す。



的を外した炸裂弾はそのまま飛んでいくが、

いつしか失速し、地面に向かって落ちていく。



だが、勘の良いAEDはそれを空中で掴み、

”これを投げつければいいのか”となんとなく理解した。



空中に居ながらも体勢を整え、

腰の回転と膂力りょりょくだけで炸裂弾を化け物に投げつける。



凄まじい速度を持った炸裂弾は、

化け物の頭部より少し下に当たる。



炸裂弾の中心にあった火球に強い衝撃が伝わり大爆発を起こし、

爆発によって押し出された空気が、それを包んでいた風を外に押し出した。

回転していた風は小石を四方八方に撒き散らし散弾を飛ばす。



炸裂弾の着弾地点から化け物は千切れ、

炎が千切れた端から徐々に燃え広がっていった。


最初は激しくのたうち回っていたが、暫くしてピクリとも動かなくなった。


頭部に繋がれていた上半身だけの男もただ静かに燃えていく。

化け物が動かなくなった後も、残っている人の脂で火が消える事は無かった。



最後の最後で美味しい所を持って行ったAEDだが、

爆風に巻き込まれ、若干の手傷を負う羽目となった。

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