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45話 降りかかるのが”火の粉”ではなく”溶岩”なら避けるのが正解です・・・

威流たけるが飛び起きると、いつも通り朝になっていた。



寝床から降りると、こげちゃんが池の近くで首を横に振っている。

池の中を覗くと、しらがみ様がじーっとこげちゃんを見ていた。



こげちゃんはあのエルフがしらがみ様だと感じ取っているのだろか。

怯えた様子でその場から走り去っていった。



「おはようございます、しらがみ様。

 あんまりこげちゃんを刺激しないで下さいね」


威流たけるが声を掛けると、方向を変え泳いで行ってしまう。

いつも通りのしらがみ様であった。



それ以来、水を飲む時はコソコソとしながら池に近づくこげちゃんなのでした。



「今日も集落の監視にいくか。リリーはまた来るかな?」



朝の用事を済ませ、集落の監視に向かう威流たけるとこげちゃん。

いつも通り集落付近の海岸で時間を潰しているとリリーが駆け寄ってくる。



来るなり、リリーはこげちゃんを胸に抱き頭を撫で回す。

その後は追いかけっこをしたり、貝殻探しをしたりと、

リリーは新しい友達との時間を満喫していた。



ご飯の時間になれば、威流たけるに「うまい」と伝え、

気に入った貝殻を数個持ち、リリーは家に帰る。



夕方まで監視を続けた威流たけるは池の広場に戻る前に、

エルフに教えて貰った魔石の使い方を練習していた。



それからというもの、リリーは毎日顔を出すようになった。

貝殻探しや追いかけっこなど、いつも同じ事を繰り返していた。



数日経つと、リリーが珍しくモジモジしているので、

威流たけるはどうかしたのかと様子を伺っていると、

貝殻に穴を空けて、草で編んだ紐を通した首飾りをプレゼントしてくれた。



威流たけるは嬉しさにのあまり、何度もリリーの頭を撫でた。

それから首飾りを毎日着けていく威流たけるなのであった。



こんな平凡な毎日が続いていたある日の事だった。

威流たけるがいつも通りに集落の海岸へ向かうと、

いつもとは違う重い雰囲気が漂っているのを感じた。



身を隠しながら集落に近づいていくと、

いつもの海岸に仁王立ちをする男が一人。



遠巻きに確認をすると、どこかで見た覚えのある男だった。



「確か、あいつAEDの配下じゃないか?」


そうだ!!ロングソード持ちの僧侶だ。

なんであいつがここにいるんだ!?


「・・・リリーに聞いたのか」


小さな女の子が今日あった事を母親に話すとか普通にあるよな。

そしたら「不審者と遊んでました」じゃ、そりゃそうなるか。



威流たけるの推測は、おおよそ当たっていた。


リリーが心を込めて作った貝殻の首飾りを誰にあげたのか気になって、

母親のデイジーがリリーに聞いてみると、相手が”謎の不審者(タケル)”だった事を知った。



慌てたデイジーはすぐさま教会に報告しようと思っていた所に、

村を巡回中のマティオンがリリーの様子を見に家を訪ねて来たのだった。



デイジーから話を聞いたマティオンはリリーからも話を聞く。

不審者の来る場所や時間、その人物の特徴などを。


「タケルは良い人だよ?」


リリーがそう伝えてもマティオンは意に介さず、

押さえきれぬ怒りを胸に海岸へ向かった。



殺気がダダ洩れの男が待ち構えているとなれば、

当然、威流たけるの選択肢は逃げ一択。



威流たけるがこっそり逃げようとしていたその時、

こげちゃんの長所が悪癖となり、ここで暴発する。


警戒心の無いこげちゃんは、普通に僧侶に向かって走り出してしまった。

威流たけるやリリーとの出会いもあり、より警戒心が薄れていたのだろう。



リリーから茶色の塊の話を聞いていたマティオンは、

威流たけるが居る事に気付いてしまう。



こげちゃんに向かって僧侶が走り出す。

威流たけるは慌てて岩陰から飛び出し、こげちゃんを掴み、胸元に押し込む。



標的が姿を現した事でマティオンは走りながら長剣を抜き、戦闘態勢に入る。


日頃から鍛錬を欠かさないマティオンの強靭な脚力がここで意味を成す。

”長剣を構えながら砂浜を走る人間" の速さとは到底思えない勢いで迫って来る。



「僧侶から殺し屋にでも転職でもされたんですか?」

と聞きたくなる目つきで、砂埃を巻き上げながら迫り来るマティオン。


それに恐怖した威流たけるは、緑の魔石を起動する。


僧侶と接敵するまでには、まだ距離があった。


威流たけるは集まった石を板状にして防壁を作る。

その場から後方へ走り、離れて僧侶の様子を伺う。



迫りくる僧侶は防壁にそのまま突っ込んでくる。

いとも簡単に防壁を突き抜け、弾け飛ぶ石にひるむ事も無い。



流石に突進を止められるだろうとたかくくっていた。

しかし、止まらぬ暴走特急僧侶に威流たけるは絶叫した。


「いやぁぁぁぁぁーーーー!!あの人、おかしい!!」


すかさず、威流たけるは青い魔石を起動する。

指先に電撃を溜め始めるが、殺戮僧侶がどんどん近づいて来る。



指先を僧侶に向けるが、焦りでなかなか照準が定まらない。


こんな事なら「もっとFPSゲームをやって、エイムりょくを鍛えておくんだった」

と考える余裕も無く、威流たけるは適当にトリガーを引いてしまった。


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