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第1話:処刑台の赤
――刃が落ちる、その瞬間まで。
キャルロットは理解できなかった。
なぜ、王に忠誠を誓い続けた父が、反逆者として処刑されるのか。
「キャロ……目を閉じなさい」
震える声でそう言ったのは、父だった。あの、誰よりも優しくて、誰よりも人を信じる人。私の愛称「キャロ」と呼ぶ声はこんな時でもまだ優しい。
母は最後まで気丈だった。だが、その瞳の奥にある悔しさと無念は、娘であるキャルロットには痛いほど伝わってきた。
罪状は――王家への反逆。
ありえない。絶対に、ありえない。
だって父は、誰よりも王を敬っていたのだから。
(違う……これは、誰かの罠だ)
分かっている。分かっているのに、どうすることもできない。
縄で縛られ、跪かされ、民衆の罵声を浴びる。
その中に、見覚えのある顔を見つけた。
ヴァイス子爵。そして、その隣には息子――かつてキャルロットに求婚し、断られた男。
彼らは、笑っていた。
(……ああ、そうか)
すべて、繋がった。
断ったからだ。ただ、それだけの理由で。
——少なくとも、表向きには。
だから彼らは、この家を潰したのだ。
喉が焼けるように熱い。叫びたい。否定したい。けれど声は出ない。
ただ一つ、胸に残ったのは――
(許さない)
それだけだった。
刃が振り下ろされる。
世界が、赤に染まった




