CARD43
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「二人共、今日はありがとう。あたしはちょっとだけ休んでから帰るから、先に帰ってて」
先輩は一年間幕張だけを目指して戦ってきたのだ。そして今年もダメだった。今は、一人になりたいだろう。姉ヶ崎も先輩の気持ちを察したようだ。
「じゃぁ先輩、また明日」
「うん」
俺たちはその場を後にする。そのまま駅に向かい、電車に乗る。俺と姉ヶ崎は一言も喋らず、かといってスマホをいじったりもせず、ただ窓の外の景色を見つめていた。
やがて姉ヶ崎の地元の駅に着く。
「俺もちょっとここで降りるわ」
俺がそう言うと、姉ヶ崎はちょっと驚いた顔をした。
「言わなきゃいけないこと、あるの忘れてた」
誰もいないホーム。俺たちはベンチに隣り合わせで腰を掛けた。
ふぅと、息を吐き出す。そして俺は、
「こないだのことだけど」
そう切り出した。
「うん」
「やっぱ、お前とは付き合えない」
自分でも、一体いつからそんな偉そうなことが言えるご身分になったのだと思った。でも、それが俺の気持ちなのだ。
「俺、先輩のことが好きだ」
姉ヶ崎は、何を考えているかわからない表情だった。悲しいのか、それとも後悔しているのか、はたまた意外とどうでもいいと思っているのか。
「あおい先輩は、カードのことしか考えてないのに、それでもいいの?」
「うん、わかってる。でも俺、諦めたくない」
「そっか」
と、今度は姉ヶ崎がすぅと息を吸い込んだ。そして
「わかった」
そこですっと立ち上がる。そして体の向きを変えて俺を見た。
「じゃぁあたしも諦めない」
彼女はそう笑顔で言った。その笑顔は、もしかしたら強がりだったかもしれない。
「お互い片思いで、でも諦めないってことで。うん」
「そうだな、うん」
俺もほっと胸をなでおろす。今日で、姉ヶ崎との仲もおしまいかと思っていたから、それに関しては一安心だった。
「とりあえず、また明日から練習の相手、よろしく」
「ああ」
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