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CARD37

 ◇


 第二回戦。相手は見知らぬ高校だったが、彼らも県大会を突破してきた猛者であることに間違いはない。

 このままでは、ここで俺たち戦いが終わってしまう。

 だが、それを回避できる望みが一つだけあった。俺はその望みにかけて、対戦順の決定を見守る。

 そして――願いは通じた。対戦順は、俺、姉ヶ崎、そして先輩の順番。これで、時間を稼げる。

「姉ヶ崎、いいかよく聞け」

「なに?」

「負け確実って状態でも絶対サレンダーするな。最大限、時間を稼げ」

「うん、わかった」

 さて、まずは俺の戦い。ここで負けてしまってはもうどうしようもない。

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 当然のように【ゴブリン】のミラーマッチ。

「<酒場>発動」

「<角笛吹き>発動。<召喚士>をサーチ。そのまま詠唱。<騎兵>を詠唱してターン終了」

 今日何度も見たし、何度もプレイしたこの展開からゲームがスタートする。

「<ゴブリンの角笛吹き>を詠唱」

 お互い伏せカードが多めだったため、慎重な展開になり、勝負はやや長期戦になった。

 そして後半、相手が俺の仕掛けた伏せカードに、理想的な形でハマってくれる。思わず俺はガッツポーズをしそうになった。

 だが流石に堪えて、慎重に相手にとどめを刺す。

「サレで」

 とりあえず手堅く一勝。

「姉ヶ崎、あとは頼んだ」

「うん。任せて」

 俺は時計を見る。今のデュエルはだいたい十分くらいか。もし姉ヶ崎が負けて、しかも試合がすぐに終わってしまったら――おしまいだ。 

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 姉ヶ崎が勝ってくれればそれに越したことはない。だが、最悪負けるにしても、時間を稼いでくれ。

 デュエルは相手の優勢で進む。姉ヶ崎も決してミスはしていないが、いかんせん引きで負けていた。

 彼女は粘った。そして、結局負けを宣言することなく、サーヴァントのライフを最後まで削り取られた。

「ごめん」

 先ほどの勝利のことなど、彼女の頭の中から吹き飛んでしまったようだ。今にも泣き出しそうな顔。

「いや、今のはしかたがない。引きが悪かったよ」

 もちろん最大限運の要素を排除するため、デッキ構築とプレイングに磨きをかけるのは必須だが、どんなに工夫しても百選百勝は難しい。今の勝負は完全に運に味方されなかっただけだ。

 本来であれば、他の二人がそれをカバーすればいいだけのこと。

 だが、

「三人目は、どうしますか」

 審判が僕たちに聞いた。

 今俺たちには、一敗をカバーしてくれる頼れる先輩はいない。

 ――ここまでか。

 同じプレーヤーがもう一度戦うことはできない。三人目のプレーヤーがいない俺達のチームはここで敗北。

 俺は歯を食いしばって、審判に事実を告げようとした。

 だが次の瞬間。

「おはようございまーす」

 気の抜けた挨拶が、しかし体育館に響き渡った。


 ◇


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