CARD24
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とうとう俺たちは県大会を迎えた。会場は幕張南の体育館。ラッキーなことに俺たちは初の公式大会をホームで戦えるのだ。
試合開始の一時間前に部室に集合。
「おはようー今日は頑張ろう!」
「おはようございます」
ギャル子は、露骨に緊張していた。無理もない。彼女にとっては初めての公式大会。この日のために真剣に練習してきたとはいえ、彼女はまだまだ初心者だ。
「緊張する……」
ギャル子がそんな弱音を吐いた。
「安心しろって。俺が代わりに勝ってやるから。お前は気楽にやれって」
とはいえ、俺にとっても二年ぶりの公式大会。大会には独特の雰囲気がある。まして、学生プレーヤーにとっては最大の公式大会だ。
幕張はアーツプレーヤーにとっての甲子園だ。ここにいるやつらは全員、今日勝つために一年間練習してきたんだ。
俺たちは最後にもう一度デッキリストを確認する。カードゲームの試合では基本的にデッキの中身をすべて記して運営に提出する。途中で勝手にデッキを変更できないようにするためだ。
今回の大会は、一本勝負のトーナメント方式。基本的に同じデッキで戦っていくことになるが、決勝トーナメントまで勝ち進めば、一度だけ5枚のカードを入れ替えることができる。
あとはリラックスして待つ。
「ギャル子、乾パンないの」
「あるよ」
「食べようぜ」
「あたしもちょーだい」
三人でザクザク乾パンをつまみ、一袋食べ終えたところで、そして試合開始時間の三十分前になった。
「そろそろ行こうか」
今回会場になる第二体育館に向かう。中入ると、既に生徒と運営の社員で溢れかえっていた。
受付を済ませると、顔見知りが声をかけてきた。
「優輝くん、おひさー」
その明るい声は、中島さんだった。横には大野さんと、小川さん。昨年の代表校、君津総合の三人だ。
中島さんは近づいてくると、いきなり俺の手を取って顔を近づけてきた。
「今日はよろしくねー」
ふわっと、柑橘系のいい香りがした。中島さんは制服姿だったが、そのスカートは異様なまでに短かった。短すぎて、もはやそういうエッチなコスプレにしか見えない。
俺を油断させるためのハニートラップかなにかなのではないかという疑念すら湧いてくる
「間違っても、あたしたちと当たるまでに負けないでよ」
「うん、わかってる」
と、次の瞬間だった。
あたりの空気が変わった。
入り口から三人の生徒が体育館に入ってきた。たったそれだけのことだった。
その三人の中に、学生最強の男がいた。
例によって無表情だったが、しかし彼が胸のうちにこんな思いを秘めていることは、ここいる全員が理解していた。
――お前たちは、全員僕に倒させるために、ここに来たんだ。
と、絶対王者と目が合った。彼は、畳の上を歩く武道家のように、隙のない動きでこちらに向かってくる。
「こんにちは、優輝君」
彼は、わずかにだが、確かに、ほほ笑んだ。
「早く戦いたいね」
「俺もだよ」
「今日は面白くなる」
そういって貴文は受付のほうへ歩いて行った。
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