CARD11
◇
結局日が暮れるまでゲームを続けた。初心者相手とは言え、さすがに疲れた。
「もう暗いし、送ってくよ」
我ながら紳士。
だが、ギャル子は想定外の言葉を返してきた。
「ってことは、送るだけの時間はあるってこと?」
「え?」
「送るのはいいから、その代わりにもう一戦しよ」
俺ですら、数時間デュエルを続ければかなり疲れる。ましてギャル子は初心者で、しかも常に真剣にプレイし続けている。
「どうしてそんなにガチなんだ」
俺は思わずそんな質問をしてしまった。確かにアーツはゲームとして面白い。だが、これほど長時間、集中してやるのは、決して楽ではない。
すると、彼女は意外なことを口にした。
「五月には、大事な大会があるんでしょ?」
全国高校生選手権。先輩が、いやアーツをやる学生ならだれでも目指している大会。
「このままじゃ迷惑かけちゃうから」
彼女は心配しているのだ。大会はチーム戦。自分が勝てなければ、チームの、桜木先輩の足を引っ張ることになる。だから人一倍頑張らなければ、と。
ギャルな見かけと裏腹に、どこまでもまじめだ。
「なるほどね」
でも内心、俺は思った。そんなにマジにならなくてもいいのに。




