第20話:復学
俺は楓と共に登校した。
途中、小野山とも一緒になった。
楓は小野山に怯えているようだ。
「何もしねえよ」
「ひい!?」
「心の傷が深すぎたな」
「ごめんな、源?」
「き、気にしないで下さい」
まだ怖いのか。
「坂上、気晴らしに今からゲーセン行こうぜ」
「ダメ」
「ええ、いいじゃん? 行こうよ」
「殴るよ?」
「ごめんなさい」
俺たちは学校に着き、校門を通り抜けた。
校舎に入り、上履きに履き替えて教室に向かう。
「おは……!?」
扉を開けた瞬間、バケツが飛んで来て俺の顔面にクリティカルヒットした。
「痛! 誰だバケツ投げたの!?」
「げ、番長に当たっちゃったよ!」
「番長って言うな!」
バケツを投げたのは男子で、乱闘騒ぎがあって物が飛び交っていたのだと言う。
「教室でスマブラってんじゃないよ、あんたたち」
俺はそう言って自分の席に着いた。
「坂上、痛くないか?」
「痛いよ。全く、どうして男子どもはこうもバカなの?」
そう言う俺も男子でした、草。
「そういえば、女子がいないね」
と、楓。
言われてみれば、確か女子がいない。
連中は何をしてるんだろうか。
「女子なら、なんか全クラスで一斉に体育館に移動したぜ」
と、男子が言った。
「私たちも行こうか」
俺たちは体育館に向かった。
扉を開けて中に入る。
女子生徒が、一斉にこちら振り返る。
全員が、エメラルドグリーンの宝石を首から提げていた。
壇上には、見覚えのない男が立っている。
「まだ女子が残っていたんですねえ」
なんだか違和感を感じる俺。
「綺麗な宝石だね」
と、楓が言った。
「お嬢さん、君もこちらへ来て首に提げなさい」
楓が壇上に上がり、宝石を受け取った。
「綺麗」
楓が宝石を首にかけると、瞳が魚の目のようになり、集団の中へと混じっていった。
これは何かあると踏んだ俺は、ネックレスを受け取り、首にかけてみた。
すると、体の自由が利かなくなった。
俺は咄嗟に分身として聡の体を出現させた。
全意識を聡に移動させる。
「男がいたか。お前はいらない。消えろ」
と、怪しい男は言う。
「みんなに何した?」
「我々メタン人には女がいないからな。洗脳して子作りをさせるんだ」
「そんなことはさせない!」
俺が男を殴ろうとすると、聡美が拳を受け止めた。
「そやつは私の操り人形になった。もうお前の仲間じゃない」
「そうかよ!」
俺は聡美の腹に蹴りを打ち込んだ。
「ぐっ!」
怯む聡美。
貰い物の体とはいえ、自分の体を痛めつけるのは罪悪感がある。
「スレイ様」
と、聡美が男に声をかける。
メタン人のスレイ。覚えたぞ。
「こいつ、私の一部なんです。引き込みましょう」
「そうか。それは面白い」
「そいつか!」
俺は反対の手をネックレスに伸ばすが、聡美に弾かれてしまった。
ここは力ずくか。
俺は聡美と戦闘を開始した。
だが、同じ力同士では優勢になれず、引き分けになってしまった。
「私とあんたが同様の力を持ってるのを忘れてたわ」
お互い、息を切らしている。
「私がとどめを刺してあげましょう」
スレイが鉈を取り出した。
「やめろ!」
小野山が躍り出た。
「小野山さん、下がって!」
「坂上には借りがあるからね」
「その借りを今返すのは間違いだ!」
スレイは言った。
「そちらから洗脳されに来るとはね」
スレイに首にネックレスをかけられ、意思を失う小野山。
「さあ、残りはお前だけだ」
「上等じゃん」
俺は気合で聡美と小野山を吹っ飛ばし、スレイに鉄拳を浴びせた。
「ぐっ!」
怯むスレイ。
「スレイ様!」
聡美が高速移動で迫って来る。
ブン!──殴られ、俺は吹っ飛んだ。
空中で姿勢を整え、光弾を聡美に放つ。
聡美は光弾を弾き飛ばした。
「できればあんたとは戦いたくないのだけど……」
「俺だって嫌だよ」
「だったらこっちについてよ」
「それはできない。俺たちの目的はなんだ? 邪神を倒すんだろ?」
「邪神マデラ様ね。あのお方は偉大だわ。素晴らしい教祖様よ」
あのネックレスをなんとか破壊できれば……。
と、聡が考えてることくらい私にはわかる。
「波!」
俺は気合砲を放った。
吹っ飛ぶ聡美。
「聡、変身すれば? 少しは優勢になるんじゃない?」
そう言われても、ブレスレットはバッテリーが切れている。
「無理か。だってバッテリーないもんね」
「知ってるなら言うなよ」
そこへ、騒ぎを聞きつけた男子生徒がやって来る。
「なんだ? 浮いてるぞ?」
「女子たちはどうしたんだよ?」
野次馬が口々に言葉を放つ。
「お前ら、逃げろ! ここは戦場だ!」
「ふふ」
聡美が男子生徒たちに向かって光弾を連射した。
「うわああああ!」
爆発に巻き込まれる男子生徒たち。
そこへ見覚えのある男が現れる。
「片桐さん?」
五年前の片桐隊員だった。
「メタン人、お前らの悪行もこれまでだ!」
「なんだよお前?」
「俺は片桐。地球防衛軍の隊員だ」
更に、健の父親も現れる。
「おじさままで」
「うん? 君は誰だ? て言うかなんで浮いてる?」
「そこは気にしないで下さい。それより、あのネックレスを破壊するのを手伝ってもらえますか?」
俺は聡美を指差した。
「わかった!」
二人が聡美に迫る。
「させるか!」
スレイが邪魔立てをしようとするが、俺が遮った。
「野暮なことはやめとけ。お前の相手は俺がしよう」
俺はスレイと交戦する。
長時間にわたり、激闘を繰り広げ、俺は辛うじてスレイに勝つことができた。
俺はとどめの鉄拳をスレイに叩き込んだ。
「グフ!」
爆裂霧散するスレイ。
それと同時に、聡美のネックレスの破壊にも成功した。
倒れる聡美。
「お嬢ちゃん、しっかり」
「ああ、それは入ってませんよ」
「え?」
俺は聡美に重なる。
「はあ、元に戻れた」
俺は立ち上がった。
「君、女の子の着ぐるみを着てるのか?」
「なんでですか。それより、ネックレスの回収をお願いします」
「わかった。協力感謝する」
俺はネックレスの呪縛から解放された楓と小野山を連れて、教室に戻った。




