第一話 「神様(仮)、爆誕」
異世界に転生した主人公「時雨蓮」。彼が転移した場所はまさかの…
──パリン
「いてて、何が起こっ……」
「は?」
視線が大量に突き刺さる
男は少し怒りのこもった声で
「あ、俺たちの水の魔法陣が」
「最近は雨も降らないのに」
「もうおしまいだ」
おしまい?何のことなんだよ
「お前は誰なんだ!なんでいきなり?」
は?魔法陣?何のことだ?……え?
周囲を見渡すと、
おそらく水不足と思われるあたり一面の畑。
アニメでしか見ない、中世の建物たち。
そして…
猫耳の獣人に一つ目……
「これってもしかして、異世界転生?!」
「うるせぇ!何言ってやがる!だいたいお前どこから来たんだ!お前のせいで村で唯一の水の魔法陣が」
「まてまて、水の魔法陣ってなんだよ」
「何言ってんだ、水の魔法陣は水の魔法陣だろ、
普通に水を召喚する…て、そんなことより」
「どう落とし前つけてくれるんだ?ただでさえ水不足なのに唯一の水の供給源が断たれたんだ」
やっぱり水不足なのか
「この村にそれを複製できるやつはいないのか?」
男は目をそらしながら
「いるにはいるが……」
いるのかよ。ならさっさと作ってもら
「……水の魔法陣には人族の死体が必要で」
背筋がヒヤッとした
(あれ?この流れは不味くないか?)
男は少し申し訳なさそうに、それでいてためらいなく
「よし、生きるためだ、仕方ない。お前ら、やつを囲め」
「了解」
そういうと何人かが斧を構えた
「まて、まずは話を…まてまて!その斧どうするつもりだ…」
───ブォォン
「危ない!」
「避けるな!次で終わらせてやる」
(ヤバい、殺される…何かないか?何か……ん? あの鳥、やけに低く飛んでるな。ツバメ、低空飛行、雨。雨が降るかも。でもそれだけじゃ俺を信用してはくれないし話も聞いてくれない……)
くそ、これしか
「お前ら、お、俺が誰だかわかってるのか?」
「あ?知らねえよ」
「いいからさっさと」
やるしかない。
その一心で俺は両拳を握りながら
「──我は神なり」
「は?」
「何言ってんだお前」
再び斧が振り下ろされる。
(だめか……)
そのとき、明らかに豪華な服の女がやってきた。
「まあまあ、そう言わず。でもね、神だと言うなら証拠の1個や2個出せるんじゃないの?」
女は蓮を見ていた。疑いと──ほんの少しだけの期待を込めたような、そんな目で。
「………」
(証拠なんて言われてもあるわけねぇだろ)
「どうなの?」
(……いや、ある。あることにしなければ)
殺される
「──仕方ない」
───ドックン ドックン
村人たちの視線が再び蓮に集まる。
蓮は一度深呼吸して、
「今一度言おう。──我は神なり」
両隣で斧を構えている男たちを視界に入れながら
蓮は、はっきりと言った
「天を見よ諸君」
斧を構えた男を除いて、ほとんど全員が見た。
──そのなかにはあの女も含まれていた。
「遥か天空におりしわが盟友たちよ、地上に降りた我にどうか力を授けてくれぬだろうか?いま、この大地に再び水の恵みを!」
──ポツポツ
「?!」
(?!)
──スン
「………」
(降ってくれ……頼む……)
──ザァーザァー
村人たちは互いに顔を見合わせていた
「まじかよ」
「え?まじで降らせたよ」
「まさか……本当に?」
(そうだ、そのまま騙されてくれ……)
「どうだ?お、恐れおののいたか?これが我の力だ。我には天を……」
「いや偶然だろ」
(おいおい冗談じゃないぞ。頼む、信じてくれ……)
場を仕切ったのは、やはりあの女だった
「う〜ん。まぁ、とりあえず『仮の』神様としときましょう。」
(よかった、ん?──仮?)
「たしかに。ダメだったら水の魔法陣の生贄にすればいいしね」
「おいおいちょっとま」
「まぁよろしく頼むぜ、仮様」
「仮様…」
「あと──、一応名前だけ教えてくれ」
(名前…どうしよ、異世界風の名前がいいのか?でも思いつかねえな。無難に現世の名前で…)
「時雨蓮」
女は少し神妙な面持ちで
「シグレレン──あまり聞かない響きだな」
「う、うるせぇ」
「フフッ。すまんすまん。この村の名前はアーリノ村。そして私はこの村の長であるエマ・アーリノ。よろしく、シグレ」
「あ、あぁ」
異世界転生なんてろくなものじゃない。転生特典なんてないどころか、いきなり殺されかけた。でも、俺はこれから彼らにとっての神であり続けなければならない。どんな手段をとっても。
───俺が、生き残るために
次回はこの世界の設定とかを色々公開していこうかな。




