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Desire Verse Online Next ~悪童と呼ばれた剣神、次の世界では悪目立ちせずに過ごしたい~  作者: 廿楽
第二章 『アフター・グロー』

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第28話 クエスト申請

 神殿を出た俺とエタニティ、ユークリッドは、中央区にある冒険者ギルドの受付カウンターに来ていた。

 カウンターには大勢のプレイヤーがごった返しており、パーティ募集の呼び込みも盛んに飛び交っている。



「しかし意外だ。お前がギルドを作るのに興味があるとはなあ」


「意外ですか?」


「『四神連合』に誘われた時も断ってたし、サービス終了まで結局どこにも所属したことなかったんだろう?」


「別に、大した理由は無いのですが……」


「まあそんなものだよねぇ。ぼくも特定のパーティとか入ってなかったし」


「ユークリッドはまた別の話じゃないか……?」



 この少女の恐ろしいところは、巡礼の長旅を終えた後も、定期的に徒歩での放浪の旅を行っていたところである。

 巡礼の旅の中で見られなかった街を、秘境を、絶景を観光目的で渡り歩く辻ヒーラー。行く先で出会ったプレイヤーと共闘したり、未知のクエストを発見したりと、彼女こそが本当の冒険者である、と呼ぶプレイヤーもいた。



「まあまた旅はしたいかな! 北大陸の樹氷原とかまだ歩けてないんだよね」


「そこにいるだけで冷気ダメージを受ける魔境なんだけどな、あそこ。クエストで一回だけ行ったけども、クリア後即帰ったくらいには過酷だったし」


「それも旅の醍醐味ってやつだよ。準備も含めて楽しまなきゃ」



 本当に楽しそうに笑う少女だ。未知の場所への好奇心に満ちている。

 それは、隣にいるエタニティの表情とは対照的。



「お兄様」


「何?」


「わたくしが、このクエストを終えてギルドを立ち上げた時、お兄様はわたくしと共に来てくださいますか?」



 いつになく真剣な表情。

 彼女のこんな真剣な表情を見たのは、それこそ件の同居騒動の時以来だ。

 彼女の心境に、どんな変化があったのかは分からない。しかし今まで誰かとつるんで遊ぼうとしなかった彼女が、ギルドを作るという。


 兄は、妹のわがままを聞いてやるものだ。



「いいぞ。でもその前に、まずはクエストをクリアするところからだ」



 エタニティの、その奥の永久(とわ)の表情がぱっと輝いたように見えた。



「ええ、その言葉を聞けただけでわたくし、勇気凛々です」


「わあ、ぼくアニメ以外で聞いたの初めてかもしれない、勇気凛々」


「茶化さないでくださいっ」


「とはいえだ、ダンジョン探索に3人で挑むには、ちょっと厳しいものがあると思う。剣士2人に魔術士1人だと探索要員いないし」



 初期から挑めるダンジョンとは言え、トラップの類や奇襲の対策などを怠ると酷い目に遭う。これはデザバス時代に痛いという程思い知らされている。

 そこで俺はフレンドへとメッセージを送る。

 ダンジョンアタック行くから、時間合ったら付き合って、と。

 程なくして、了承の返事を受け取った。



「人脈って大切だよなぁ」


「リリース2日目で、もうレンジャーのフレンドに当てがあるんだ?」


「昨日一緒にパーティを組んだ子らでね、神官とレンジャーの2人だ。デザバス未経験だから優しくしてやれよ、エタニティ?」


「わたくしを何だと思っているのですか、お兄様」


「外面だと平気そうに見えるけど超絶人見知り」


「オブラート、オブラートを要求します!」


「あははっ。エタニティって初対面の時は結構かっちりした子だと思ったけど、そっちの方が自然な感じがするね」


「ユークリッドさんも!」



 ユークリッドと2人がかりでエタニティを弄って談笑していると、予想よりも早く卯月(うづき)闇食(やみは)みの2人が到着する。



「セツナさん、今日はお誘い感謝です! そちらの2人が今回のパーティメンバーですか? はじめまして、卯月(うづき)です、職は神官です!」


「ちょうどレベリングもキリ良かったし、ダンジョン、楽しみです。私も自己紹介を。闇食(やみは)みです。レンジャーやってます」



 小柄な人間男性神官、卯月(うづき)と、火竜人(サラマンダー)のハーフのレンジャー少女、闇食(やみは)み。

 レベリングも順調なようで、昨日のサンダーバード戦、ラストアタックで経験値ボーナスを得た俺と同じレベル5まで2人とも上がっている。

 ちなみにエタニティとユークリッドは現状レベル2である。



「はじめまして。エタニティ・アサルトバスター、人間で剣士です。本日のクエストの募集主になります。まずは参加に感謝を」


「ぼくはユークリッド・カノンだよ。人間で魔術士(ウィザード)僧侶(クレリック)の掛け持ち。2人とも、今日はよろしくね」



 お互いに自己紹介を行ったところで、辺りがざわつき始める。卯月(うづき)闇食(やみは)みはデザネクからのプレイヤーなので知りようもないが、エタニティとユークリッドはかなりの有名プレイヤーだ。


 我先にと周囲からパーティへの加入を申請されるが、人見知りモードに入ったらしいエタニティが全員笑顔で門前払いしている。貼り付けたような笑顔がミリも動かないのが怖い。

 ユークリッドはどうも旧知のプレイヤーもいたらしいが、エタニティを(おもんぱか)ってか断っていた。



「……セツナさん、あの2人って有名人?」


「まあ、デザバスやってたプレイヤーなら大体みんな知ってるかな……」


「あー、ゴドーさんやふぉーりなーさんみたいなものか。……大丈夫ですかねセツナさん、ヤミはともかく俺虐められたりしませんかね……?」


「ユークリッドは人畜無害だから大丈夫。エタニティは人見知りするのと、慇懃な態度であんまり近寄らせようとしないけど、根は良い奴だから」


「ちょっと卯月(うづき)。なんで私はともかくなの」


「だってダンジョンならレンジャーは重宝されるだろ。俺の方は、ユークリッドさんと微妙に役割被るんだから」


「気にしなくていいと思うぞ。メインはアタッカーしたいらしいし」


「そうなんですか? 良かったぁ……」



 あらかたの加入申請を断ったらしいエタニティが、クエストカウンターへと駆けていく。応対が面倒くさくなったのだろう。5人でのクエスト申請を行っている。



 元『凶剣』、剣士、エタニティ・アサルトバスター。

 元『癒神』、魔術士(ウィザード)僧侶(クレリック)、ユークリッド・カノン。

 元『剣神』、剣士、セツナ・リンドー。

 神官、卯月(うづき)

 レンジャー、闇食(やみは)み。


 ダンジョン探索クエスト、『集いし星』が受注された。

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